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夏のビッグイベントはどうなる?最新動向をチェック=ドイツ、アニメイベント編

ドイツサッカー連盟(DFB)とドイツ舞台芸術協会(Deutscher Bühnenverein)らは22日、スポーツと文化に関する大型イベントの再開に向けたガイドラインを発表(ドイツ語)しました。今回はドイツのイベントをめぐる最新動向をチェックします。

イベントの再開基準については日本でも先日、専門家組織が見解を発表しています。(下記の記事参考)

スポーツ・文化イベントは3レベル・コンセプトで

ドイツで発表された今回のガイドラインは、サッカーや舞台芸術だけでなくドイツの文化とスポーツに関する40以上の団体が研究者と作成したものです。今後の政府のコロナ対策の緩和にも影響を与えそうです。

というわけでざっくり内容を見てみましょう。

大型イベントの再開に向けて3つのレベルが用意されています。

レベル1)基本コンセプト
屋内イベント:25%から30%の収容率で実施可能。
屋外イベント:同35%から40%。
共通するのは、「対人距離の確保」、「手指の消毒」、「マスクの着用」、「効果的な換気」、「接触履歴の追跡可能性」です。

レベル2)専門医による衛生コンセプト
「基本コンセプト」に上乗せする形で、イベント毎に専門家によるコンセプトを作成するパターンです。実際の会場の設計、設備に即したコンセプトを個別に作成することが重要となります。このコンセプトにより、「基本コンセプト」における収容率の上限を超えることが許されます。

レベル3)「最大モデル」
レベル2のコンセプトにさらに積み増す形で提供されるのがこの「最大モデル」です。会場での抗原検査の実施を条件に100%の収容率が可能となります。(PCR検査の陰性や予防接種をデジタル証明できる場合は抗原検査を免除します)

少し補足します。「基本コンセプト」は、昨年の夏から秋にかけて一部開催されたイベントでの感染対策に相当します。また、100%の収容率での開催条件に抗原検査の実施を課しているのが大きな特長だと思います。興味を持たれた方のために原本へのリンクをシェアしておきます。(PDF、ドイツ語、21ページ)

「キャラバン・サロン」などの成功事例に学ぶ

ドイツでは昨年9月頃に一定の感染収束を受けて大型イベントが開催されました。感染予防対策を徹底したイベントです。ドイツ見本市産業協会(AUMA)が今月に公開した報告(ドイツ語)によると、ヴィースバーデンで業界関係者向けに研修会が開催されました。そこでは、デュッセルドルフでリアルイベントとして開催されたキャンピングカーなどレジャー車両・用品の大型見本市「キャラバン・サロン」やハイブリット開催で注目を集めたフランクフルト国際書籍見本市、オンライン開催となった国際ゲーム産業見本市「ゲームズコム」の事例が取り上げられました。

「キャラバン・サロン」が開催された9月のデュッセルドルフでは筆者も現地取材を敢行したアニメイベント「ドコミ」もあり、いずれも集団感染の報告はないとされています。

夏のアニメイベントの行方

筆者の得意分野はドイツにおけるアニメイベントです。最新の動向から傾向を探ってみます。

例年3月に開催されるライプツィヒ書籍見本市は5月に開催を延期した後、中止を発表しました。漫画出版社と漫画ファンが多く集まるマンガ・コミック・コンベンション(MCC)を併催する春のビッグイベントですが2022年に持ち越しとなりました。

例年5月に開催されるドイツ最大のアニメイベント「ドコミ」は8月に延期すると発表しました。ほぼ同時期に予定されていた老舗商業イベント「アニマジック」は中止を発表しています。

「ドコミ」と「アニマジック」で対応が別れたのは非常に興味深いと筆者は見ています。というのも、「アニマジック」は例年、日本から「京都アニメーション」などアニメ業界の関係者が多数参加するイベントで、日本からの「名誉ゲスト」はイベントの主要プログラムとなっています。渡航制限が今持って見通せない現状を考えると中止もやむを得ないのかもしれません。

一方で、「ドコミ」は「ファンによる、ファンのための」イベントを掲げることもあり、日本からの招待ゲストの存在は「アニマジック」ほどのウェイトを占めていません。このあたりが明暗を分けているようです。さらに、「ドコミ」は昨年9月にコロナルールの元で開催を実現しており、その経験がアドバンテージになっているとも考えられます。

ドコミは夏のビッグイベントとして開催されるのか、欧米のアニメイベントがリアル開催を見送る中、その動向に関心が集まっています。

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タイトル画像:イメージ画像です。noteの画像機能「みんなのフォトギャラリー」から選択しました。
訂正:「抗体検査」→「抗原検査」(2021.2.25)

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