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男性の育児参加という言葉に透ける「片手間」感

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

「男性が育休とってなにするの?」 今では考えられないことですが、約20年前に私が育休を取ろうとした際に周囲から聞かれたことです。ひょっとすると、今でもこのような文化がある会社は数多く残っているのかもしれませんが。

2023年度の数字を見ると、男性の育児休業取得率は30.1%となり、その前年と比較しても大幅に向上しました。法改正により育休制度の周知や利用意向の確認を企業に義務付けたことなどが功を奏したようです。

厚労省は育児・介護休業法を改正し、22年4月から出産・妊娠を申し出た従業員に対して、育休制度の周知や利用意向の確認をするよう企業に義務付けた。厚労省の担当者は「従業員は意向確認をされることで『育休を取っていい』と思えるようになる」と指摘する。

22年10月からは育休を分割して取得できるようになったことなども追い風になった。23年4月からは従業員1001人以上の企業に男性育休などの取得率の公表が義務付けられた。取得率を事業所の規模別に見ると、500人以上が34.2%で最も高く、5〜29人は26.2%で最も低かった。

日経電子版

近年では積極的に育児参加する男性を「イクメン」などといってもてはやす傾向もありますが、そもそも「参加」とはいかに。と、モヤモヤすることもあります。

人間は単為生殖ではありませんから、子どもを授かるには両性間での繁殖行為が必要です。その後一人で育てることもありますし、同居や生計を一にして生活している場合には共同して育てることになるでしょう。そのやり方は十人十色ですし、関わる方同士が同意していればどのような形もあり得るし他人がとやかくいうこともありません。

ただ、たまに参加していることをことさら称賛することもないのかなとも思います。メディアの取り上げ方の課題なのかもしれませんし、少しであっても男性が育児をしているという事実を広めることは今の社会にとってはプラスなのかもしれません。

一方で、育児というのは家庭科の総合戦みたいなもので、日常のあらゆることを限られた時間で片付けていかなくてはいけないことが多く、通常の家事よりも複雑さが増します。かつ、突然の割り込みが頻発するため、最初のプラン通りにいくことは稀です。

育児参加するにしても、タスクの一部を片手間でやるだけでは戦力としては不十分です。例えば洗濯の場合は、乾燥機にかけるもの・かけないものの仕分けなどの前処理から始まり、干して乾いて畳んであるべきところにしまうまでの一連のタスクがすべてできて、洗濯完了です。実際にやっている方にとっては当たり前のことですが、今までやったことがない人が明日からいきなりやるのはなかなか難しいでしょう。

そのケースをサポートするために、育休取得を考えている人に対して家事をトレーニングするような取り組みがあってもいいのかもしれません。

わたしは実家でも家事を手伝っていたり、一人暮らし経験もありますので比較的家事全般が得意なほうです。原体験としては家庭科の授業が好きだった、というのが今考えると大きいかもなと思います。これは実際に研究結果としても明らかになっており、教育が与えるインパクトの大きさに驚かされます。

明治大学の原ひろみ教授らの研究は教育の驚くべきインパクトを明らかにした。かつて、男子は技術、女子は家庭科というように男女で異なる内容を学んでいた。しかし女子差別撤廃の国際的な機運の高まりを受け、1989年に学習指導要領を改訂し、技術・家庭は男女共修とされた。[注2]

このため、77年度生まれの世代からは男女共通の科目を学んだ一方、76年度以前の世代は男女で異なる科目を学んでいた。これら2つの異なる世代を比較したところ、両者の行動には大きな違いが見られた。

男女共修化後の世代では、それまでの世代と比べ、40歳ごろの時点で男性は25%も休日の育児時間が増え、女性は正規就業が進み所得も11%増えた。中学校におけるカリキュラムが、20〜30年後の行動を変えているとは驚きである

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ちなみにうちの家庭内はほぼ「ジョブ型」になっており、原則として得意なほうが担当する制度です。例えば、アイロンや裁縫といったタスクは私の担当ですので、家族はボタンがとれたり裾がほつれたりすると私のところにやってきます。子どもは昔からそれが当たり前ですので、ひょっとすると外では驚かれることもあるのかもしれませんね(笑)。


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タイトル画像提供:kouta / PIXTA(ピクスタ)

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