イタリア混乱の本当の読み方
イタリア政局混乱は政権側の譲歩で一旦収束したかのように言われていますが欧州委員会がそれを許すかどうかはまだ予断を許しません。また、然るべき筋からの公表でもないというのも不安なところです。
・・・しかし、今次混乱の本当はそこではありません。ポピュリスト政権が出してきた財政赤字▲2.4%(修正報道では▲2.0%)というのは極めて「まともな数字」です。安定成長協定の枠内ですし、イタリアというのは過去数年見てもこの程度の予算編成でした。ポピュリストという割にはマトモだったと言わざるを得ません。これを欧州委員会が拒否している所に問題を感じます。
もちろん、構造的財政収支(基調的な財政収支)を均衡させることも欧州委員会の目標の1つでありそのためには▲2%を割り込まなければならないのでしょうが、それは今のところ格付け会社対策の域を脱しないものです。
折しもECBがQEの撤収をしているところです。財政赤字懸念を理由に金利が上昇しているのであれば、せめて緊縮と同時に金融政策での援護射撃がセオリーとして求められますがイタリアにはそれも期待できないわけです。この辺り、相変わらずの域内における構造欠陥が露呈した事案だと思います。本件について痛感すべき事実は「イタリアにも言い分はある」という事実ではないかと思います。