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優れたUXは競争から生まれる。競争激化は消費者にとっては喜ばしいが。。。

数年前に実施した、ある通信会社の調査での顧客の発言には、はっとさせられました。

今、契約している会社に、満足なんて一切していません。

料金体系はわかりづらいし、知らないうちに想像以上の月額料金になっている。お店に行っても混んでいる上に、相談したいのに営業ばかりされる。

頭にくるけど、どうせ乗り換えても他の会社も同じようなものだから、もう諦めています。

UXを専門に仕事をするようになって20年を越えましたが、似たような状況が多々あったことを思い返します。

考えてみると、新規参入に規制があって競争が限定されている業界では、同様の事象が発生する傾向にあることに気付かされます。

その理由は、競争が限定されていることで、労少なくとも儲かっている状態にある企業は、顧客価値を高める必然性が小さいためではないかと推察しています。

英語で競争を意味する「compete」という単語は、ラテン語の共に努力するという意味の「competere」を語源としています。古来から競争は、未来をより良くするための原動力になると理解されていたわけです。

現代の民主国家においては、政府の規制は一定の役割を終えたという認識のもとで緩和、撤廃される傾向にあります。日本政府も、国民が日々享受するサービスの品質を高めるために、規制緩和を徐々に進めています。

例えば、最近では電子決済サービスによって給与支払いができるなど、金融業界でも少しづつ変化が生まれてきています。

それでも、日々のUX(企業と顧客間のやり取りの品質を表す)には改善の余地が残っており、まだまだUX向上への取り組みが大きなうねりになり切れていないのも事実です。

規制産業に属する伝統的な企業が積み重ねてきた資産は強大で、国内の新興企業では太刀打ちができず、本格的な競争にまで発展していないのも一つの背景でしょう。

しかし、最近ではデジタル化の進展に伴って、国際的なサービス展開の障壁が下がってきています。日本でも海外のデジタル新興企業が、言語や業界の垣根を越えて日本市場に参入しようとしています。

このアマゾンの薬局業への参入は氷山の一角に過ぎません。その他にも、YoutubeやTikTokがエンターテイメントやコンテンツ産業にもたらす影響が甚大なように、より強大な海外からの新規参入が続いており、これから様々な業界で競争は激化していきます。

競争の進展によって、日本におけるUXの水準が高まることは嬉しい限りですが、これまで規制と言語の壁に守られてきた企業群にとっては試練の時となりそうです。

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