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東南アジアの若者の間で日本イメージは低下しているらしいが・・・

先日、経済と日本語を大学院で学んでいるイタリア人の子と話していたら、「修士論文をオニツカタイガーのマーケティング戦略に絞って書こうと考えているのですが、どう思います?」と聞かれました。

ミラノ市内にも直営店があって動向が気になっていたぼくは、「それ、いいんじゃない。ナイキの初期の関わりも考えると面白いかも」と、以前読んだナイキの創業者フィル・ナイトの自伝「SHOE DOG(シュードッグ)」を思い出しながら答えたのですね。

ぼくが小学校の頃ー中学の時はアディダスやプーマに人気があったーに履いていたシューズが、イタリア人の子の修士論文の素材になる時代の変化に好奇心が働いたわけです。

彼女が資料集めにどう苦労するかはまったく考えず・・・。

そうしたら、翌日、次の記事をみて、親会社のアシックスがこんなにも伸びているのか!と驚きました。オニツカ好調が貢献している、と。

上の図、こんなに大きくなくても・・・とも躊躇するのですが、今年の売り上げ予想は4年前の2倍ってすごいので、早めのご祝儀として載せることにしました。純利益なんて4倍じゃあ、きかなそうだし。

アシックス富永社長「M&A検討、30年に売上高1兆円超」という別の記事をみると、次のような図が掲載されています。えらい勢いがいいですね!

ただ、世界のスポーツ市場をけん引してきた海外の大手メーカーもこのまま黙っていない。独アディダスはプロ向けシューズの投入や取り組みで業績が回復基調であるほか、不振にあえいだ米ナイキも新たな経営陣で奮起を誓う。海外大手とアシックスの勝負は始まったばかりともいえる。
アシックスはこれまで、ブランド体験価値の向上やファンづくりに努めてきた。今後も商品力に加えてアシックスならではのエコシステムを充実させ、収集してきたデータを開発や満足度に還元していく取り組みの継続が欠かせない。

勢いはいいけれど、ナイキやアディダスが黙っているわけないじゃない、ということらしいです。そりゃあ、そうでしょう。で、ぼくが気になるというか、関心の高いのは、上の記事にある太字にした部分です。

商品力はおよそ数値化してやろうと思えばやれる領域であることが多いですが、エコシステムについてはかなり幅広い経験を要します。だから、アシックスさん、どうするだろう、と興味が湧くわけです。

あっ、ちなみにですが、冒頭の子は、アシックスという社名は知りませんでした。オニツカタイガーというブランドが社名だと思っていたようです。別に驚くことでもなく、そういうものでしょう。

そうしているうちに、次の記事に出合います。

若者の消費はグローバルサウスがけん引する。

欧州の調査会社ワールド・データ・ラボによると、20代以下の若者の世界の消費額は2044年に約40兆ドル(約6000兆円)と24年の2.2倍になる。全世代の3割にあたる。

ほう、そうですか。これからおよそ20年後には世界消費の3割が若者によるのですね。そう予想されるなかで、現在、東南アジアーつまりは消費の牽引するグローバルサウスの若者たちの間で日本へのブランドイメージは落ちているとのデータを紹介しています。

サウスが引っ張る消費 インド・東南ア伸び大きく
日本ブランド、好感度大幅減

上の図には、以下のような解説があります。

野村総合研究所がタイなど東南アジア6カ国で実施した調査によれば、日本企業の商品への20代の好感度はこの10年で大幅に下がった。

「健康的」とのイメージは23年、14年より30ポイント下がって14%になった。「洗練」は19%(21ポイント減)、「丁寧」も24%(18ポイント減)に低下した。全20項目のうち18項目で落ち込んだ。

一方、中国は14項目で上昇した。「個性的」が14ポイント増の25%、「クリエーティブ」も13ポイント増の32%になった。逆に「手頃」は29ポイント減の17%になった。「安かろう悪かろう」のイメージが変わり、中国の商品が憧れのブランドになりつつある。

なるほどねえー日本文化が外国の人をひきつけていると浮かれている場合じゃないじゃない。

とすると、オニツカタイガー、こうした流れのなかでイタリア人の子は現在のマーケティング戦略を分析するとして、どのようなアングルで今後への展開を課題として指摘するのでしょうね。

スポーツ用品の領域は疎く、ぼくは日経新聞電子版の記事を読んでいるだけです。ですから彼女に大したことはアドバイスできないですが、何が言えるだろうと思案中です。

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冒頭の写真は、2022年10月13日、ローマ大学で高級ファッション企業の創業者であるブルネロ・クチネリが名誉博士号を授与したときに撮ったものです。大学生たちがクチネリのスピーチを熱心に聞き、その後のレセプションでも学生たちはクチネリを放しません。


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