沼津市が37年ぶり人口転入超過。熱量による消費は社会を救う? #そのお金どう使いますか
日曜の昼下がり、とあるテレビ番組で、静岡県沼津市の人口増加の話題が取り上げられていた。
沼津市 37 年ぶり転入超過
沼津市の 2019 年(暦年)の住民基本台帳人口による社会動態※が、昭和 57 年以来、37 年ぶりに転入超過を達成しました。2019 年は、転入者数 7,988 人に対し、転出者数7,680 人となり、308 人(うち日本人 55 人、外国人 253 人)が転入超過となりました。
行政からのリリースには、具体的原因についての言及はないが、テレビ番組によると人気アニメ「ラブライブ!」の影響があるという。(一見、国籍内訳を見るに「?」とも思なくもないが、ここではテレビ情報を踏まえて。)
アニメーションやドラマのゆかりの土地をファンが訪れるいわゆる「聖地巡礼」という一時的な訪問から、「定住」すべく「移住」を決めたファンが多数いるという。
「ラブライブ!」自体は、2010年から始まった KADOKAWA アスキー・メディアワークス、サンライズ、バンダイナムコアーツ の三者による合同プロジェクトであるという。「ラブライブ!」というワードが、日本経済新聞への初出は、2013年KLabがスマホ向けゲームアプリ展開した話題だと思われる。(日経Online検索より)
その後、メディアミックスなどが話題となり、継続的に誌面に登場している。
IPによる市場創造の形
IP(Intellectual Property)ビジネスと聞くと、ディズニー、ジブリ、サンリオなどが想起されるかと思う。ことに、デジタル界隈では、前出のKlabや、ブシロードが有名であると思う。
昨今では、デジタル特化の企業とIP企業の協業により、「スマホの中」の経済圏だけでなく、「リアル市場」への進出を行っていることは、「ポケモンGo」の名前を出せば、万人が「あぁ」と納得するもの(体験もしている)となっている。
かくいう僕も、「ポケモンGo」の前身であるスマホゲーム「INGRESS」とのコラボを2015年に行い、企業とファンの新たなエンゲージにトライしてきた。(下記記事で取材されているのは、僕の当時の部下)
ただし、僕がトライしてきたのは、「一時的な」取り組みであり、「継続的な」仕組みではなかった。
「移住」ってカロリー(熱量)高い。
人々の可処分所得の多くは、「飲食」や「居住」やのために、費やしているようだ。「飲食」などは「お取り寄せ」なんてものもあるかと思うが、多くは居住するエリアで支出することと思う。
上記グラフを参照しても、地縁の要素(費目)は、他にもかなり多いことに気づかされる(交通費・水道光熱費・住居費・保険医療など)。
「自身の生活拠点をどこにするか?」を決めるファクター(要素)にIPが起因するとしたら、従来まで「一時的」だったり「ブーム」「トレンド」だった様相から、思考回路をシフトすることにより、これらの要素(費目)を「継続的」「サブスク的」な仕組みにできるかもしれないい、
その時、高い熱量を持っていても、行動に移せない時の要素(「移住」というハードル・障壁)を1つ1つクリアにしていくことで、シフトを促すヒントになるかもしれない。
少し脱線するが、継続的に課金しているけど、めんどくさくてシフトしないものの代名詞として、「携帯電話会社の変更」などがある。格安キャリアの参入がある中、生活者は、なかなかシフトしない。移動時コスト負担だけでなく、2年縛りの違約金までも負担する企業もあるほどだ。しかし、それでも生活者はシフトしない。その辺りの「なぜ?」を深堀することで、地方地域移住へのヒントがあるのではないかと思っている。
IPなどのコンテンツは、永久機関ではないので、恒久的に熱量を届けることは困難という側面ある。仮に「継続的な熱量」を届けていっても、受取側の「飽き」や世代やライフスタイルの変化による「離脱」は、起きてしまう。
前述の「ラブライブ!」も生まれてから10年という月日をファンとIPで紡いでここまで来ている。
「スモールマス」というマーケティング的新解釈もある中、生活者の「お金」の使い方やインサイトの新解釈により、熱量を持った顧客との「継続的な生産と消費の関係性」を「沼津市とラブライブ!」を事例に再考してみてもいいかもしれないと思った。
そして、ぜひみなさんも、自身の「消費」を因数分解してみては?