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中国No2のECサービスになった拼多多。Alibabaとの激戦は学びの宝庫です

JDを抜き、Alibabaに次ぐ中国第2位のECサービスになった拼多多(ピンドゥオドゥオ)。2015年に設立され2018年の8月にはナスダック上場。ユーザー数5億人突破と恐ろしいペースで成長してます。

ただ、強引なマーケティング方法はたくさんのユーザーに悪いイメージも与えてしまいました。それでもユーザーを増やし定着させる秘密はなんでしょうか。
(前回の続きです、こちらを先に読んでいただくのがおすすめ↓)

■百億元キャンペーンの威力

たくさんの地方ユーザーを獲得した拼多多にとって、alibabaがライバルとして現実的な存在になってきました。モバイルデータ研究报告によると、タオバオを使ってるユーザーの中で拼多多も使ってるユーザーは2019年3月の時点で10人中4人に達していました。

拼多多的「百亿补贴」到底花了多少钱?阿里聚划算的百亿补贴对它的冲击大吗?_-_知乎

↑2018年の1月から比べて10%以上も上昇、中国全土の拼多多ユーザーも3人に1人まで普及してきている。

このときのアリババ、拼多多、JDのアクティブユーザー数はそれぞれおよそ6.5億人、4.4億人、3.1億人。 この後、拼多多は数百億元の補助金を使ってキャンペーンをたくさん実施し、その結果2019年のQ4時点でユーザー数は5.4億人に!6.9億人のアリババとの差は1.5億人にまで縮まりました。

■キャンペーンの成果とalibabaの影響力

ここまでユーザーを増やした一因はさまざまなキャンペーンで使った補助金。でも闇雲にバラ撒いているわけではありません。間違いなくマーケティングチームは超優秀だし、「知乎」でのコメントを見ても彼らのキャンペーンは費用対効果がとても高いと言及されてます。さらにalibabaとの攻防が始まっているのです。

これは去年のダブル12(12月12日イベント)時の100億元キャンペーンの推移。

拼多多的「百亿补贴」到底花了多少钱?阿里聚划算的百亿补贴对它的冲击大吗?_-_知乎

左側はキャンペーンで補助された対象製品の1日の平均販売量、右側はキャンペーンで使われた補助金の金額の傾向です。費用対効果の高いキャンペーンが行われ、使った金額以上に販売量にインパクトを与えています。

でもライバルたちも黙ってない、alibabaのTmallでも補助金キャペーンが始まり、拼多多のキャンペーン成果は緩やかに下降することになります(図の↑のところはTmallの補助金キャペーンが始まった時点)。さらにalibabaには「聚划算」という拼多多とちょっと異なる集団購買の仕組みまであります。

これを拼多多の仕組みと同じと解釈してる人がいますがそれは間違いです。「聚划算」はTmallのキャペーンサービスで、集客を約束してメーカーに値引きを求め、承諾したメーカーは販売量で薄利多売で勝負する仕組みです。同じく集団購買を促すのですが、拼多多のように個人ユーザーがやるのではなく、プラットフォーム側が代わりに行います。しかも、まともなメーカーと銘柄が多いので、ベテランのECユーザーにとって拼多多より魅力的だと思われています。

この争いも面白いです。でも現実的には結局、価格に敏感なユーザーには値段の安さが正義。仕組みとか関係なく安いプラットフォームにいくのですよね。

■alibabaは王者の戦い方、勝ち目はあるのか

この勢いを保つこととできればひょっとすると利用ユーザー数No1のECサービスになるかもしれません。

上場して資金調達 
→得たお金を大量に使ってユーザーを集め
→できるだけ定着させ
→習慣化させて手放せないサービスにしてからマネタイズ

というのは中国ビジネスの王道パターンです。でも配車アプリやシェアバイクアプリなどの中国ITサービスのユーザー争奪戦を経験した僕からみて、補助金戦から最後まで生き残るのは非常に難しい。

拼多多が補助金キャンペーンを始めた時に、彼らの管理層は「もし自分たちが1億元の補助金を使ってキャンペーンする場合、タオバオとTmallが同じ値引きを実現したければ少なくとも20億元使わないと無理でしょう」と強気に公言しました。その理由は、巨大過ぎるプラットフォームでユーザーも品揃いも莫大だから、同様のインパクトを出すにはカネがかかるよってこと。

でもalibabaは王者の戦い方を見せます。20億元どころか100億元を軽く超える補助金を出し、まるで「金はいくらでも出せるよ」って感じ、恐るべし。

そしてアリババは補助金以外でも拼多多に圧力をかけます。上で紹介した「聚划算」や「天天特売」という低価格商品の購買者向けサービスも開始しています。

天天特卖

↑低価格用サービス「天天特売」。ダサい見た目まで真似しないで欲しい、研究所のメンバーからはろくなもの売ってないと非難の嵐です笑

■今後の展開のポイント

拼多多は上場で集めた資金でどこまで補助金キャンペーンを維持できるか、そして上場企業としての成績をうまく出せるのか、非常に楽しみにしています。(野次馬側はいつも気楽w)

そして最後にはサービスへのロイヤリティや信頼が効いてくるでしょう。キャンペーン合戦が行われて、価格差がそれほど大きくない(特に高価なものほど)場合にはユーザーは使い慣れたプラットフォームに戻る可能性が高い。偽物と戦う姿勢を示し続け良いイメージを確立したTmallとJDに現時点では大きな優位性があるように思えますが、どうなるか。

何れにせよ、切磋琢磨してサービスがどんどん良くなり、割引合戦も行われる環境はユーザーにとって素晴らしいです。そしてこの中から他でも応用できる知見が次々生まれるでしょう。今後もこの戦いと新たな気づきをみなさんに伝えたいと思います。

今年もちょっとマニアな中国情報を発信していきたいと思います、ぜひフォローしてご期待ください。

(参考資料)


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