ECBが緩和解除したい「隠れた本音」

記事中にあるようにイタリアばかりではなくフランスやスペインの上振れ購入も続いており、キャピタルキー対比で約1%ポイントの上振れが発生しています。中央銀行である以前に国際機関として一定の加盟国へのエクスポージャーだけが増えていく様が不適切であり、それこそが現状のテーパリング検討の「隠れた本音」であると私は考えています。

 裏を返せば実体経済を評価した上でのテーパリング(正常化)ではないのだとすれば、やはりその息は長くないと考えます。

なお、ここからは補論となります(マニアックなので関心のある人向け、です)。ECBのQEにおける技術制約の議論に関しては、それがフローなのかストックなのかはっきりさせて置く必要があります。例えば、ストックベース、つまり15年3月以降から今年7月末までの累積購入額で見た場合、フランス、イタリア、スペインそしてドイツもキャピタルキーを上回っており、フランスやイタリアは約1%ポイントの上振れです(これが上記の私のコメントです)。

しかし、フローベースで見ますと、今年度に入ってから(それは即ち月間購入額が600億ユーロに変更されてから)、フランスやイタリアが実に2%ポイント以上、キャピタルキーを上回るようになっています。一方、ドイツはむしろ下回る(購入不足)という構図になります。この点が「買うドイツ国債がなくなっている」という現状の問題として今、クローズアップされているのです。

 現下、ECBが懸念し、恐らくはテーパリングの理由となっているのはフローにおける運営の難しさですが、「これまで購入した残高」という意味ではドイツもまたキャピタルキーをオーバーしている加盟国になります。

https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-bonds-idJPKBN1AN2F2

https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-bonds-idJPKBN1AN2F2

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