フットサル観戦で学んだ、スモールステップ育成法。成長を促す「計画的失敗」と「痛覚の刺激」
35歳最後の朝を迎えました、ふじじゅんです。
なんか最近、「青春」にやたら刺激されるんです。昨日なんか、丸一日かけてドラマ『ウォーターボーイズ』(2003年)を一気見しちゃったりして、ボロボロ泣いてました。
なんでそんなに青春みを求めるようになったかというと、先々週観に行ったフットサルの試合の影響が大きくて。
僕は普段、中野区を中心に活動している某フットサルコミュニティによく参加しているんです。このコミュニティには男女ともに競技フットサル経験者もいれば、初心者の方も居て。あくまでコミュニティではありつつも、派生してできたOver40のチーム(東京都マスターズフットサルリーグ所属)もあったりするんですが、最近では10名ほどの女性が集った女子フットサルチームもできたようで。競技経験者と未経験メンバーがざっくり半々くらいの構成です。
多くのメンバーがよく一緒にフットサルをしたり飲んだりする仲間というのもあって、そのチームの練習試合があるってんで、観に行ったんですね。対戦相手は人数ギリギリながらも、東京都女子フットサルリーグに加盟するれっきとした競技チームであり、できたばかりかつ未経験メンバーもそこそこいるなかでどこまで戦えるのかというのは、まだファンともいえない初観戦の人間の身からしてもなんだかドキドキでした。
でも蓋をあけてみると、対戦相手が人数ギリギリという体力的なハンデを抜きにしても、序盤から互角以上の戦いで、13分9ゲームやったなかで6ゲームを勝ち越し、トータル15-5の圧勝でした。競技経験者組の活躍はもちろんですが、15点のうち5点が未経験組による得点であり、その得点のたびに1点以上の喜びと興奮を感じたんですね。
さてさて、ここまでは前置きで、実はこの日、試合の興奮を覚えた以上の学びを個人的に得たため、今回のnoteをしたためようと思い立った次第です。
前プレのデメリットを「あえて度外視」した意図
その試合では、「前プレ」と呼ばれる、前線から激しいプレスをかける攻撃的な戦術をとっていました。ざっくりメリット/デメリットを解説すると、ボールをうまく奪えればすぐさまシュートチャンスが生まれますが、逆に自陣の守備が手薄になりそのスペースを突かれるリスクがでます。
この日、前プレによって生まれた得点も多かったのですが、一方でそのデメリットがそのまま反映された失点、あるいはそのようなピンチを招くシーンも多く見られました。
ボールサイドと逆にいる選手が「絞る」「カバーする」ことを一定意識できていれば防げたのかもなあ、修正できたのかもなあというのが客観的にみていて気になったので、試合後、監督に質問してみたんです。すると、このような回答をもらいました。
「確かに、ゆくゆく前プレを仕上げていくには絞ったりカバーしたりの意識を高めて身につけていく必要はある。一方で、未経験メンバーもいて、なおかつ練習機会も多くないなかで、一度に詰め込んでもかえって身につけるのは難しい。なので、今日はとにかくプレスをかけることだけをテーマにしたんだよね。前プレにチャレンジした結果の失敗は問わず、デメリットは度外視でとにかく走るようにって。今日、メリットと同時にデメリットも体感したからこそ、デメリットへの対策も身につける必要性もみんな感じているだろうし、考えてくれるとも思うよ。」
スモールステップ法による戦略的な育成
僕はめちゃくちゃハッとしました。
前プレは、皆が連動しないとかえって危険を招く可能性があります。そのため一人ひとりが自然と実行できる状態が重要で、つまりはどれだけ習慣化していけるかというのがポイントになるかと思います。
その点、習慣化には「スモールステップ法」が効果的と言われています。
監督は、達成可能な小さな目標から段階的に進めるために、「前プレ」というワードだけでなく、「走る」「●●のコースを切る」「絞る」などの構成要素を具体的に分解し解像度を高めることでスモールステップ化しているのだと感じました。これにより、上達への計画が具体的になるとともに、選手としてもチャレンジの仕方がわかりやすくなるうえに効力感を得られやすくなるだろうなとも感じました。
さらに良いなと思ったのは、身をもって前プレのデメリットを体感したからこそ「前プレのデメリットを対策できるのか?」という「問い」が一人ひとりに残ることです。場合によっては、自ら予習したり仮説を立てたりという選手もいると思います。
ただただやらされるだけではなく「なぜやるのか」「何をやるのか」「どのようにやるのか」を理解しながら戦う自律的な組織になっていくうえでは、段階的にやるべきこと/やらないこと、実践の結果得たいもの/現段階では重視しないことをテーマとセットで明確に伝えるとともに、ネクストステップを意識するための良い失敗を計画的に織り込むことで「痛覚」を刺激するのはめちゃくちゃ大事だなと感じたんです。
これらはフットサルやスポーツだけでなく仕事でもなんでも同じことが言えると思うんですよね。
いきなり全ては手に入らない。
「千里の道も一歩から」とはよく言ったものだなと思いました。