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TikTokを席巻する「地下鉄ガール」現象

今、英語圏のTikTokでは「Tube Girl(地下鉄ガール)」現象が起きている。

地下鉄の中でファビュラスなMVの主人公のように自撮りすることで一躍大トレンドセッターになった「Tube Girl(地下鉄女子)」。

マレーシア出身で大学院生であるSabrina Bahsoon氏(22歳)は、ロンドンの地下鉄で撮影しているその動画の人気ぶりで瞬く間にネット上で「現象」を起こし、ブランドとのパートナーシップやランウェイにまで登場している。

「自信満々」な主人公的オーラを放っている姿が唯一無二で、他の人が真似しようとしてもなかなかこの雰囲気が出せないことで話題になってる。この「main character energy」というのはZ世代のキーワードにもなっていて、「周りの目を気にしない」動画が生まれる鍵になる。
「みんなもっと自信を持っていいんだよ!」と溢れ出るエネルギーとメッセージは、MACやSpotifyなどのブランドにも注目され、インフルエンサーとして広告に起用されている。

https://adage.com/article/digital-marketing-ad-tech-news/tiktoks-tube-girl-trend-how-brands-are-embracing-her-self-confidence-ethos/2518051


現在、新曲のGot Me Startedが大ヒット中のアーティストであり元チューチューバーのトロイ・シヴァンとのコラボ動画も投稿しており、それぞれが「バズ」の効果を最大限活用し、認知度を互いに高める作用をもたらしている。そして、インターネットトレンドの未だかつてない速さも感じる。

この現象は、若者が公共交通機関を好み、バスや電車が支援されることを望み、車を運転しなくなっている昨今の傾向を表しているとも言われている。

https://www.npr.org/2021/02/05/963329938/one-thing-millennials-arent-killing-public-transportation

さらには、多くの若い女性たちが地下鉄などの公共交通機関で「他の人に見られること」を極端に恐れ、自分に自信が持てず、堂々と行動できない、と感じている中で、周りの人にどう見られようが全く構わず、自分が主人公!と満面の笑みでスマホのカメラを駆使しながら、好きな音楽に合わせて口パクをして「自分という存在」を楽しむ彼女は、大きなインスピレーションとニッチなムーブメントを起こしているのだ。「常に人に見られている」というのをあえて逆手にとり、見られても最高に輝いているし構わない、というスタンスを絶対に崩さないことから「自信のあり方」が伝染していく。

https://www.news.com.au/lifestyle/real-life/news-life/gen-z-women-are-taking-over-public-transport/news-story/08503f9a24804e0fe39d5aed837220ad

もちろん、地下鉄ガールに対して公共の迷惑とか「こういうことができて褒められる人は特権的で、ホームレス状態の人や美人でなければ嫌がられる」との意見に対して、「でも自分らと同じ有色人種の女の子が(普通は白人インフルエンサーにしか与えられない)機会を得てスターになっているのだから応援する」と反論している動画もある。

ニューヨークにあるFordham大学の学生は、記事でこのように書いている。
「このトレンドは、自信を持って支持できる。個人的な経験から言えば、人前で自分の写真を撮りたくても、見知らぬ人からの批判が怖かったことは何度もある。論理的に考えれば、道ですれ違った人に会うことは二度とないでしょう。そんなことは本当はどうでもよくて、このトレンドは、たまにはコンフォートゾーンから抜け出すことの楽しさを人々に伝える楽しい方法」



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