Big Thiefから見る、アーティストと政治の関わり方について
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Big Thiefから見る、アーティストと政治の関わり方について

竹田ダニエル

Big Thief、イスラエルでのツアー公演についての声明文を発表。「パレスチナでの惨事を認め、パレスチナ人への寄付」を表明しながらも、公演を行うことに対して大きく批判された。 そして先日、イスラエルでの公演をキャンセルすると発表。 アーティストと政治の関わり方が大きく問われている例となった。

イスラエルでの公演に関しては、BDS(イスラエル文化ボイコットをうながすパレスチナ人主導の運動)がボイコットを求めている時期に、その求めに反して公演を行うことが強く批判された。

しかも、その声明文自体が2年前と同じもののコピペであることもファンの指摘によって明確になった。 先進的でラディカルなファンが多いバンドだからこそ、その信頼を裏切るような行動にショックを受けている人も多い。

Big Thiefを過去にインタビューした人からの告発も話題になった。

「私のBig Thief話:数年前、ある新聞社からリード・シンガーのプロフィールインタビューを依頼されました。それまで人種や政治に関係のない記事を依頼されたことがなかったので、私は楽しみにしていました。友人に、これは私のフリーランス・ライターとしてのキャリアにとって良い兆候だと思ったと話したのを覚えています。
彼は納得してくれませんでしたが(笑)。私はまだ、明らかに甘さを捨てていなかったのです。というのも、シンガーへのインタビューの途中で、彼女は、バンドメンバーの一人がイスラエル出身なので、イスラエルで演奏していること、そしてBDSには賛成していないことをぽろっと言ってしまったのです。私はただじっと見て、「わかった」と言って、次に進みました。
私はパレスチナ人ではないのですが、こういうことはよくあります。私のアラブ系の顔を見て、イスラエルに対する彼らの立場を私に知らせなければならないと考える人がいるのです。変な話だし、私は自分の仕事をするためにその場にいたのだからと、インタビュー中には何も言いませんでした。翌日、新聞社の編集者から電話があり、バンドの広報担当者から、私のインタビューに対して歌手が「非常に不快」だと感じており、この記事の掲載を望んでいないことを聞いたと言われた。彼らが不快だったって?笑)。私はびっくりしました。そして、私はギャラを減額してもらい、その場を後にしたのです。
当時、そのことをツイートしたら、彼らのファンの一人から、私のことをモンスターだと言う即時メール以外のリアクションはありませんでした(笑)。だから、そのツイートは削除した。その時は本当に対応に困った。
イスラエルで演奏するという、数年前と同じ立場の彼らの発言が大きな反響を呼んだのは、3年の間にどれだけ状況が変化したかの表れでしょう。
これは「Two Hands」のリリースのためで、それ以前はこのバンドを聴いたことがありませんでした(一応、音楽は好きだったのですが)。
インタビューの内容と彼らの曲の歌詞を照らし合わせてみたのを覚えています。
私は政治的な歌詞だと思っていたのですが(笑)、彼らにとってはただのバイブスであり、喚起的な美学に到達しただけだということがわかりました。」

「この公演の収益をパレスチナの子どもたちに医療・人道支援を行うNGOに寄付することを約束したにもかかわらず、その反発はバンドにとってあまりにも大きく、1週間後、Big Thiefは公演を取りやめることになったのです。
BDSが文化的ボイコットを呼びかけている時期にイスラエルで公演を行うことについて、「『どこに道徳的優位性があるのか』がわからない」とバンドは述べています。...はっきりさせておきたいのは、私たちはパレスチナの人々の不法占拠と組織的抑圧に反対しているということです。私たちは、すべてのパレスチナ人の完全な自由と自決を信じます。"
レディオヘッドのトム・ヨークは2017年、自身のバンドのイスラエル公演に先立ち、そのように発言した。Big Thiefと同じく、メンバーのJonny Greenwoodはイスラエルと家族ぐるみの付き合いがある(Greenwoodの妻はイスラエル系アラブ人)。”BDS運動に賛同しない人は、僕たちも含めて非常に多い」とヨークは当時ローリングストーン誌に語った。「J.K.ローリング、ノーム・チョムスキー、その他大勢の人たちとともに。...このすべてが分裂のエネルギーを生み出している。人々をひとつにすることはできません。対話も理解も促進されません。どんな社会でも、物事を進展させようとするならば、分裂を生み出せば、何を得ることができるのでしょうか?”
平和のための手段として芸術を推進するために集まったエンターテインメント業界の著名人たちからなるNPO、CCFP(Creative Community For Peace)のディレクター、アリ・インゲルは、この思いを共有する。
”Big Thiefが行ったことは、より大きな敵意を生み、より大きな分裂を引き起こしただけです」と、インゲルはVariety誌に声明を発表しています。"彼らは、共存を公然と拒否し、イスラエルの破壊を求めるボイコット運動の要求に屈し、関与、寛容、対話の原則を台無しにしたのです”」

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竹田ダニエル

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竹田ダニエル
Daniel Takeda/米国在住のZ世代/Freelance音楽コンサル/日米カルチャーライター/AWA公式キュレーター/日英通訳・翻訳/執筆ジャンルは「音楽・カルチャーアイデンティティ x 社会」/翻訳・寄稿依頼等はdanieltakedacontact@gmail.com