事務用消しゴム市場で5割超のシェアをもつ「MONO」の #マーケティングトレース
本日のマーケティングトレースは、事務用消しゴム市場で5割超という圧倒的なシェアをもつMONO
青白黒「MONO」デザインバスのプロモーションで話題になっていましたね。
MONOの象徴的なアイコンを使って、SNS上でもUGCを生み出す素晴らしい仕掛けだと感じています。
消しゴムが走ってた、かわいい・・・というTwitter上でのUGCは、まさに狙い通り!という感じでしょうか。
消しゴム=MONOというブランドイメージを確立している強さ。
改めてその根底にあるブランド・マーケティング戦略を読み解いてみます。
MONOのブランド・マーケティング戦略ポイントを要約
①コーポレート×商品ブランドを上手に掛け合わせ
②MONOは色彩商標を取得→知財戦略で優位性を築く
③ユニクロとのコラボなど広く認知を獲得するプロモーション
④修正液・筆記具などブランド接点は拡張→生活者の日常に浸透
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事務用消しゴム市場で5割超という圧倒的なシェア獲得
早速トレースしていきます!
コーポレートブランドと商品ブランドの関係生
ポイント①
コーポレート×商品ブランドを上手に掛け合わせ
まずは、MONOのブランド構造を整理していきます。
MONOの商品ブランドの運営は、株式会社トンボ鉛筆です。
コーポレートブランド:Tombow
商品ブランド:MONO
コーポレート・商品ともに、象徴的なアイコンが存在しています。
Tombow
=トンボ
MONO
=青白黒のトリコロール
Tombow=コーポレートブランドのコンセプト
人が何かを生み出すとき、なくてはならない文具。
MONO=商品ブランドのコンセプト
知的活動を完璧にサポートする
コーポレートブランドと商品ブランドの関係生を時系列で整理すると下記の通りとなります。
1.もともとは鉛筆のおまけであった消しゴムの可能性に着目
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2.商品ブランドとしてMONOを独立させる
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3.MONOが消しゴムの象徴的なブランドとして認知・好意度を確立
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4.商品ラインナップを拡張しながらシェア拡大
コーポレート×商品ブランドをうまくミックスさせる好例であることがわかります。
ブランドを保護するための知財戦略
ポイント②
MONOは色彩商標を取得→知財戦略で優位性を築く
MONOは知財戦略の側面から分析しても、非常に参考になるブランドです。
下記はMONOのブランド×知財戦略を表現しているフレーズです。
老舗の中堅企業として<色彩商標3社>の一角に食い込んだトンボ鉛筆は今年4月、2018年度の知財功労賞の経済産業大臣表彰を受賞した。消しゴムの「MONOブランド」の色彩商標を戦略的に活用しているだけでなく、全世界の全商品に統一して使用するコーポレートブランド「Tombow」と、商品コンセプトに合わせた「MONOブランド」などの個別ブランドを併用する複合ブランド戦略が評価された。
象徴的なアイコンをコラボレーション→広く認知獲得
ポイント③
ユニクロとのコラボなど広く認知を獲得するプロモーション
象徴的なアイコンを、より広い層に認知してもらうための仕掛けは様々なところで仕掛けています。
ユニクロ「UT」とのコラボ!
このTシャツ欲しい!!
シャープの電卓とのコラボレーションも行っています。
卓上をMONOブランドで飾るというコンセプトです。
象徴的なアイコンを広いユーザーに浸透させるためには、コラボレーションという選択肢は、戦略設計の早いタイミングで考え、交渉を進めていくことが大切だと感じています。
SNS時代はUGC(ユーザー発信型コンテンツ)を生み出すことがブランド認知獲得に繋がるため、Tシャツなどの日用品とのコラボは考えやすいですね。
商品ラインナップを拡張する考え方
ポイント④
修正液・筆記具などブランド接点は拡張→生活者の日常に浸透
MONOは消しゴムのイメージが確立されていますが、消しゴムだけではなく修正液や筆記具などのラインナップを揃えています。
下記記事が商品開発とマーケティング戦略についてまとまっていて参考になります。
ある性能に対してニーズがあるけれど、改良の範囲内で対応できない場合は、シリーズ展開をして対応します。そのようにして、「モノライト」や「モノエアタッチ」などより消し感が軽い商品が生まれました。
ブランドを確立したら、シリーズ展開してラインナップを拡張していくことは王道の戦略。
その時に考えるマトリックスとして、
・ニーズが高い⇆低い
・対応可能範囲高い⇆低い
で考え、ニーズが高くて、既存の組織キャパシティで対応可能性が低い場合はシリーズ化という考え方は、他のブランドでも応用可能な考え方だと思います。
MONOのマーケティングトレースまとめ
改めてMONOのマーケティング成功ポイントを整理すると下記の通りとなります。
①コーポレート×商品ブランドを上手に掛け合わせ
②MONOは色彩商標を取得→知財戦略で優位性を築く
③ユニクロとのコラボなど広く認知を獲得するプロモーション
④修正液・筆記具などブランド接点は拡張→生活者の日常に浸透
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事務用消しゴム市場で5割超という圧倒的なシェア獲得
4P戦略を整理
上記を4P戦略で整理すると綺麗にまとめることができます。
Product商品
50年の間に培われた消す技術と信頼性を獲得したブランド
商品ラインナップは消しゴム以外も柔軟に拡張
⇅
Price価格
抵抗のない価格
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Place:流通・小売
文房具屋・コンビニ・通販など、どこでもいつでも気軽に買える
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Promotion広告
象徴的なアイコンからUGCを生み出す
その背景にはコラボレーション
もし自分がCMOだったら・・・
①SDGs発想を入れ込む
最近注目を集めているSDGs。
MONOに社会性を加えることはブランド強化のために重要だと考えています。
まったく環境に負荷をかけない消しゴムとか開発できたら、信頼性と海外市場での普及も広がるのではないかと考えています。
アディダスの完全リサイクルできる靴の消しゴムバージョンとか作れたりしたら面白いかと。
https://sustainablejapan.jp/2019/04/19/adidas-futurecraft-loop/39044
②デジタル消しゴムで市場拡大
デジタル化の波は避けられない。
書く・消すといった行為もデジタル上で行われるようになってきている。
それであれば、MONOブランドをデジタルの世界へ。
iPadのノートアプリの消しゴム機能に、MONOのアイコンを入れ込み、ライセンス収入を得られたりしないかなと考えています。
以上、事務用消しゴム市場で5割超のシェアをもつ「MONO」の #マーケティングトレース でした!
MONOは、ブランディングを考える上でのヒントが盛りだくさんなので、ぜひ参考にしていただけたら嬉しいです!