世界で最も人気のあるオーディオ・ストリーミング・サブスクリプション・サービスのスポティファイが大胆にポッドキャスト強化の戦略を進めていることが最近の記事で紹介されています。オバマ前大統領夫妻などとの契約によるオリジナルコンテンツ強化、ポッドキャスター専用のハリウッドの専用スタジオ建設、新機能の追加、今後のビジョンなどが詳細に描かれていてとても興味深いものでした。いくつか気になった点を挙げてみたいと思います。

スポティファイCEOのダニエル・エクはハリウッドでポッドキャストを活かして、世界ナンバー1のオーディオプラットフォーム創る計画がある（
Spotify’s Daniel Ek Has a Plan to Harness Hollywood for Podcasts and Create "the World’s No. 1 Audio Platform"）

①オリジナルコンテンツ人材獲得の強化
ネットフリックス、ディズニー、アップルなどによるビデオストリーミング業界で話題になっているのがオリジナルコンテンツ製作のための人材獲得競争ですが、ポッドキャストの世界でも同じようなことが起きつつあるようです。今年の6月にはオバマ前大統領夫妻がスポティファイ上でのオリジナル番組をプロデュースすることが話題になりましたが、その後有名なプロデューサー、ユーチューバーなどとの契約が進んでいることがレポートされています（ジョーダン・ピール（『アス』『ゲット・アウト』）、マーク・ウォルバーグ（『テッド』）などの名前が挙げられています）。
その他昨年6月には『VOGUE』や『GQ』を出版しているCondé Nastの元エンターテインメント担当プレジデント、Dawn Ostroff氏をコンテンツ担当のトップとして、また今年9月には元CBSニュース責任者のDavid Rhodes氏をコンサルタント、フェイスブック幹部だったAmy Hudson氏でスポーツ関連のポッドキャスト担当としても迎えています。更に現在も「Global Head of Podcast Business Affairs」というポッドキャストのグローバル展開の責任者も募集中です。

②ハリウッドに建設中のポッドキャスタースタジオ
ハリウッドで現在建設中のポッドキャストスタジオは154,000平方フィートと野球場くらいの大きな敷地で、そこには17のレコーディングスタジオ、ミキシング室、ライブイベントスペースがあり、同社の成長するポッドキャスティング事業の中心地となる予定とのことです。

③ポッドキャスト視聴者数の増加
10月末に発表されたスポティファイ社の四半期決算発表によると、今年7月から9月までの3カ月間に、ポッドキャストの利用時間は39％増加し、有料のプレミアムプラン購読者獲得に大きな貢献を果たしているそうです。スポティファイの世界中の月間利用者数は2億4,800万人、そのうちプレミアムプラン購読者数は1億1,300万人。特に若い世代（12歳〜24歳）のポッドキャスト利用率データを見ると、昨年の32％から今年は53％に急増していることに驚きます。

④ポッドキャストのプレイリスト作成・共有が可能になる新機能
ポッドキャスト利用者の間で課題になっていたことの一つに、どのようにして自分が聴きたいポッドキャストを見つけるか、という「発見（Discovery)」の問題があります。スポティファイが自分のお気に入りの曲をプレイリストにして、キュレーションを行い、AIのアルゴリズムで他の視聴者に自分にあった曲をオススメすることで成功したように、ポッドキャストでもようやく同様の機能がリリースされました。

2019年を振り返った際に自分のメディア消費のスタイルに最も大きな変化をもたらしたものは何かと聞かれたら、間違いなく「ポッドキャスト」と言えます。自転車での移動時、ジムやジョギングの際の、既に欠かすことのできない、生活の一部のメディアになりつつあります。

今までは「PocketCast」というアプリを使っていたのですが、今回のスポティファイのポッドキャストにかける意気込みを改めて知り、昨日から改めてスポティファイを利用してみることにしました。自分ならではのプレイリストなども是非今後作成して共有できたらと思っています。

スポティファイのリンクをウェブサイトで共有すると以下のように簡単に視聴出来る形になっていて、ポッドキャストがより身近なものになっていきそうです。

「The Daily（ザ・デイリー）」 はニューヨーク・タイムズが提供し毎日200万人が視聴している人気ポッドキャストです。米国東部時間の朝6時（日本時間の夜７時）に公開され、その日の大きなニュースを20分程度のダイジェストで届けてくれます。上記は先日公開された「The Spectacular Rise and Fall of WeWork（驚くべきウィーワークの栄枯盛衰）」というエピソードで、20分でダイナミックなドキュメンタリーを聴いているような気にさせてくれます。

*先日グーグル検索でもポッドキャストが検索結果に目立つように表示されるようになり、ポッドキャストに将来性を感じさせる大きな変化が起きつつあることを感じます。

過去1〜2ヶ月に一回程度、ポッドキャストについてnoteで書いています。いずれ国内でも拡がると思われるポッドキャストのことを理解するきっかけとして、よろしければ是非ご覧ください：）