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お疲れさまです。uni'que若宮です。

今日は「隠れブラック」について書きたいと思います。


「ブラック企業」とは「搾取工場」

従業員を搾取し、経営層だけが利益を得る「ブラック企業」。

昭和には多かった「ブラック企業」。企業利益のみを追求し、「使い捨て」のように人材を扱う姿勢は社会問題となり、「働き方改革」も含めてだいぶ企業の意識は変わってきました。

ブラック企業のことを英語ではSweatshop(搾取工場)というそうです。ブラック企業の本質はこの「搾取」にあるのです。

なぜ企業において「搾取」が行われるのか?それはコストの削減のためであり、それによって「利益」を最大化するためです。企業が自社の利益のみを追求するならば人件費はできるだけ削減したほうがよく、二束三文で「搾取」した方が(少なくとも短期的には)効率がよいことになります。

そしてこうした「搾取」の対象となるのは「社会的弱者」です。

一部の業界では未だに搾取が行われているところもありますが、たとえば「非正規」「若者」「外国人労働者」などが搾取の犠牲になっています。なぜ搾取がまかり通るかと言えば、それに対して「異を唱えることができない」権力の非対称性があるからで、故に搾取は「弱者」に集中する、という構造的な問題があります。

イヤな仕事や尻拭いを「押し付け」られるのも社会的弱者です。彼らはNoをいうことができないため、望まない条件や労働を強いられ、そのことについて「泣き寝入り」をするしかなかったりします。

こうした「搾取」を行う企業は社会的に糾弾されるようになり、ブラック企業は(少なくとも見た目上は)減っています。ただ、その視点を企業の外にまで広げれば、まだまだ「見えない搾取や押し付け」が行われているケースもあるのではないでしょうか。


①ルールを押し付け搾取する「隠れブラック」

行政や大企業とのやりとりでは隠れた「搾取」が生まれることがあります。

自治体の手続きや銀行の紙や手書き文化、納期や金額に関する強制、などなど。僕も大企業や行政から仕事をいただくことがありますが、特定の事務処理を押し付けられたり、先方の要求を「社内ルールなので」と「押し付け」られた経験があります。社内の決裁が遅々として進まず何ヶ月も待たせた挙げ句、ベンチャーや個人に対しては「来週までに必須で」とか言ってくる企業や自治体は、これは本当にあるあるです。

そして、これがなぜ「搾取」かというと、こうした「押し付け」によって追加で生じる手間には報酬が一切支払われないからです。

今回、文化庁の補助金で起こったこともこうした「搾取」の一種だと僕は考えています。審査期間の一方的な遅れや資料の再提出など、彼らの「ルール」には則っているかもしれませんが、その結果、多くの団体が一銭にもならない過大な労働とストレスを強いられ、負債を抱えることになりました。

「強者」にある人達は自分たちでルールを決められます。そしてそれを守るのが当然だと考えます。それにともなう無駄な手間を相手先に「押し付け」一銭にもならない労働を強いる「搾取」を行っていることすら気がついていません。相手方が合わせるのが「当たり前」だと思っているからです。

今回の文化庁の件でも、声をあげると「補助金をもらう側なのに文句を言うな」「ルールを守れ」というような批判が飛んできます。しかし、社会保障のために納税した税金を分配することは「お恵み」をいただくように平身低頭し、ただ黙って従わなければならないのでしょうか?それはまさに「給料もらっているくせに文句をいうな」という旧来のブラック企業と同じ精神ではないでしょうか。


自分たちの手間が減るようにルールを定めれば、自分たちの業務は効率化されるかもしれません。しかしそれをどこかに「押し付け」ているだけであれば、手間がこっちからあっちに移動した、というだけで本質的な効率化ではありません。
(それどころかルールを増やした結果自分たちの稼働すら増やしてしまっていることも多いのですが)、僕はやはりこういう「搾取」がある場合には社会全体の生産性まで考えて、制度を見直していくべきだと考えます。そのためにも「ルールなので」と黙って従うだけでなく、改善の声を挙げていきたいと思っています。それは「文句を言う」ということではなく、「搾取」を再生産せず、社会全体の生産性をあげていくために「強者」に問題に気づいてもらうことだと思うからです。

あなたの務める企業ではこうした「搾取」や「押し付け」をしていないでしょうか?あなたの日々の業務によって外部の人に無用な稼働が発生してはいないでしょうか?ルールや制度を見直すだけで、「目に見えない」ところで起こっている膨大な「搾取」が改善されるかもしれません

SDGsの時代は「搾取」や「押し付け」によって利益を得る企業には厳しく評価されていくことになるでしょう。(とくにパワーを持つ企業は)自社利益だけではなく、そのルールが「押し付け」になっていないか相手先やステークホルダーのことまで視野を広げる意識がますます重要になってくるはずです。


②家庭に押し付け搾取する「隠れブラック」

同じように「隠れブラック」な「搾取」や「押し付け」は「家族」に対してもあると思っています。

僕自身大企業で働いていた時もそうだったのですが、終電まで長時間の労働をしていることを「バリバリ働く」と称賛したり評価しているような企業もまだ割と多い気がします。もちろん、過去の「ブラック企業」とは違い、賃金は適正に支払われており、また「従業員本人」が望んで働いているとすれば、そこにはなんら問題がないようにも思えます。

しかし、長時間働いているしわ寄せで、家事や育児、介護などの負担が家族にいっているとしたらどうでしょうか。ここでも社会的弱者に「搾取」や「押し付け」が生じている可能性があります。自社の従業員がバリバリ働いていたとして、その陰で家庭に望まない条件や報われない労働が生まれているとすれば、本当にホワイト企業だといえるのでしょうか。

これからのマネジメントはこうした「搾取」や「押し付け」についても意識し、是正していく必要があるでしょう。

具体的には、たとえば社員との面談時に家庭の状況や負担などについても気をかけ、育児休暇などそれに応じたサポートをしたり、在宅勤務を含めて夫婦間でのキャリア構築のバランスを取るアドバイスをするなどが考えられます。これまでは仕事とプライベートは別、家庭のことは本人にまかせる、というスタンスだったと思いますが、これからの企業はこれまで以上に「社会に対してのインパクトや責任」について考えていく必要があります。業績を伸ばし利益を上げることよりも、その家族や地域まで含め、関わる人の幸福度をあげる企業が評価されていくのではないでしょうか。

企業ではCS(顧客満足度)に加え、ES(従業員満足度)が重視されるようになりました。これからはFamily Satisfaction(家族満足度)やCommunity Satisfaction(共同体満足度)なども考慮されていく時代になるかもしれません。


SDGsは「搾取」や「押し付け」を無くしていくこと

SDGsには17のゴールがあります。ジェンダーや人権に関わるものから、地球資源に関わるものまで多岐にわたりますが、SDGsの全てに共通するのは「搾取」や「押し付け」を止める、ということだと僕は考えています。

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wikipediaより引用

たとえばジェンダーや差別の問題は、社会的なパワーの非対称性によって一部の強者のみが利益を享受し、社会的弱者が搾取されたり不利を押し付けられたりしている状況を変えていこうとすることです。

同じように地球資源や気候の問題も、これまで人類だけが快適さや利益を得るために工業的に資源を「搾取」し、またそこから生まれたゴミや不利益を(ものいわぬ自然に)「押し付け」て来たことが原因です。

公害や環境破壊も、自分たちの利益の最大化だけを追求した「しわ寄せ」によって起こりました。こうしてどこかに「しわ寄せ」をしているうちに、汚染物質が下流に吹き溜まるように、社会のどこかにのゆがみや不具合が溜まっていってしまいます。社会全体としてみるとどこかに「膿」のような状態ができ、結果としてサステナブルではないのですが、自社だけのスコープでみるとそれに気づかないのです。(これはまちのジェントリフィケーションの問題にも似ています。「自分たちの目にみえるところをきれいに」するのに実は誰かを苦しめたり排除したりしているのですが、自分の周りだけはきれいなので気づかないのです)


「サステナブル」であるということはこうした非対称の関係性を見直し、自社が社会に与える影響を捉え直して、社会全体として共存共栄できる道を探していくことだと思います。

自社ルールによってどれだけの手間や非効率が他社や相手先に生じているか、自社の利益追求のしわ寄せが、取引先や従業員の家族まで含め、社会の中で「搾取」や「押し付け」をつくりだしていないか。

これからの企業経営はそうした広い社会との関係性への視点をもつことが必要になるでしょう。(とくにパワーのある企業は)自社利益だけではなく、そのルールを「押し付け」る相手先やステークホルダーのことまで視野を広げなければいけません。またそうした「搾取」や「押し付け」を見えないものにしたいために、私たち一人ひとりが社会のつながりの中で日々の仕事や活動の見直しをし、改善していくことが重要ではないでしょうか。


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