「所属」しながら環境を変えて、新しい自分と「接続」する方法
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「所属」しながら環境を変えて、新しい自分と「接続」する方法

荒川和久/「結婚滅亡」著者

仮に平均寿命が90歳前後になったとした場合、4年制大学を卒業して働き始めた人は22歳前後から定年65歳まで43年働いたとしても、残り25年年金生活でやっていけるか?という話。

高齢者人口が少ないうちはよかったが、もう今後はそれではもたない。もっとわかりやすく言うと、65歳から年金なんか払えないよって話です。

私は拙著「結婚滅亡」のあとがきにも書いたように、高齢者人口が増えることが問題なのではなく、65歳を高齢者とすること、高齢者は働かなくていいという考え方自体かおかしいと思っている。もっといえば、高齢者といっても健康な高齢者なら「社会に支えられる側」じゃなくて「社会を支える側」として一生がんばれやという考え方です。

もちろん、病気などで働けない高齢者は別。しかし、そういう事情で働けない人は別に高齢者じゃなくたって「支えられる側」であるべきだし、なんで65歳になったら自動的に「支えられる側」になれると思ってんの?という話。

つまり、現役世代が高齢者を支えるなどという年齢による区分はやめて、何歳であろうと「働く人が働けない人を支える社会」でいい。

しかし、それを実現するためには、働ける場が必要であることはいうまでもない。

こんな記事もみかけた。

同社は他社に先駆けて65歳定年制を導入しただけではなく、役職定年制も廃止し60歳を超えても管理職として活躍できる制度にしています。今回の転勤に関しても、年齢によって機械的に振り分けないという点は評価できると思います。

が、現実は「活躍できる人に年齢関係なく活躍してもらう」よりも「活躍の見込めない人をどう処遇するか」という部分が課題なんでしょう。

むしろ本来は若い独身者層の1年単位レベルの短期的な地方ローテーションの方が、地方にとってはうれしいと思うし、人材の流動性という意味では望ましいのですが、当の若者は地方に行きたがらない。

東京圏の人口集中は完全に就職に伴う若者の人口集中によります。それは、こちらの記事にも書いた通り、今でも変わらない。

60歳以降の高齢者が地方転勤することで地方の高齢化はますます拍車がかかるかもしれません。

高齢での単身赴任を快適に思う層もいる反面、妻唯一依存の高齢男性などは孤独感に苦しむでしょう。「いい機会だから」と妻からの熟年離婚を提案される可能性もあります。いや、冗談抜きで、「働かない夫は捨てられる」可能性は高い。

そういう意味では、60歳をすぎて、あえて自分のことを誰も知らない土地に強制的に行かされることで、図らずも作り出される高齢になってからのコミュニティが見えるかもしれない。

私は、全国で講演などもやっていますが、東京の人と西日本の人とでは「人のつながり」の距離感が違う。特に、大阪の人は知らない仲でもどんどん立ち入ってくる。それが苦手な人もいるかもしれないが、「郷に入っては郷に従え」で、そういうもんだと付き合っていると、それこそまさしく「あなたの中の新しい自分」が生まれるかもしれない。

誰も知らない土地に一人旅をしたことがある人は経験済みだと思うが、恥ずかしがり屋でも引っ込み思案でも、見知らぬ人に道を聞いたり、話かけたりできるようになる。それは、どうせ知らない仲だし…という気楽さがあるからだ。知らない相手にあまり恥は感じない。

明治安田生命の高齢地方赴任。なかなかいいかもしれない。これが会社という所属を失ったあと、定年後に地方にいった場合はそうはいかない。どうせ、名刺を失ったら自己紹介すらできないんだから。会社の肩書があるうちに、「所属」しながら、新しい出会いに「接続」して、新しい自分を生み出すことは有効だ。

多分、ずっと東京にいたままでは発見できなかった自分を見つけられるかもしれないし、60歳過ぎてもあと20年以上生きる上で、新しい自分を生み出すには環境が変わることが効果的。見知らぬ土地に一人だからこそできることなのかもしれない。

働き方を変えるとか能書きでは変わらない。変えるなら環境を変えてあげるのが一番な手っ取り早い。環境が人を変えるのだから。人が変われるのは意志ではない、環境へ適応する時だ。

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荒川和久/「結婚滅亡」著者

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荒川和久/「結婚滅亡」著者
11/13に新刊「結婚滅亡」が発売です!他著書「ソロエコノミーの襲来」 「超ソロ社会」「結婚しない男たち」等。東洋経済等でコラム執筆したり、テレビ・新聞によく出ます。独身研究家として活動させていただいてます。メディア出演・執筆・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージから。