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日本は今、未曾有の結婚経済破壊時代にある

「3組に1組は離婚」という説はマスコミがよくいうので、すっかり世の中に広まった感はあります。もちろん、マスコミの言うことがいつもすべて真実とは限りません。

たとえば「結婚したいと思っている未婚者は9割」などという報道もよくされますがあれは「嘘ではないが正確ではない」し、「草食男子が増えている」なんてのは完全にデータの読み間違い。あと、若者の「〇〇離れ」なんて言葉もよく使いますが、そのことごとくは事実と違います。

このように、マスコミは、わかりやすく単純化しようとするあまり事実と違うことをよく平気で報道して、訂正すらしません(特にテレビの生放送など)。

但し、この「3組に1組は離婚する」は事実その通りです。多分、統計上精査した上ではなく、「3組に1組は離婚する」といった方がインパクトがあってわかりやすいからという理由で使ったのでしょうが、結果としては正しい。

にも拘わらず、この「3組に1組離婚説」を真っ向から否定する人たちもいます。一般の素人なら仕方がないでしょう。驚くべきことに、学者や大学教授という立場にある人の中でさえ、「3組に1組は離婚するなんて説は大嘘だ」なんてことを言う人もいます。ただの目立ちたがりなのか、あまのじゃくなのか、単なる無知なのか、それはわかりません。

結論からいえば、残念ながら「3組に1組は離婚するなんて説は大嘘だという説は大嘘」です。

こういうと「それは解釈の違いだ」とか言われるのかもしれませんが、そんなこと(誰が正しいとか間違いとかの詮索や論争)はどうでもよくて、重要なことは、現代の日本が「結婚が作られず(未婚化)、結婚が壊される(離婚造)という少婚多離時代」に突入しているという事実をみなさんに認識していたただきたいだけです。

わかりやすく統計を紐解いて説明しました。ぜひこちらの記事をまずお読みください。

いかがでしたか?30年間累積でみれば実質作られた結婚のうち3割は壊れています。もちろんここには再婚も含まれるし、再婚後の再離婚の数字も含みます。ですから、一人で何度も離婚再婚を繰り返す「バツコレクター男」が多重計上されている可能性はあります。

そういう意味で僕の提唱する「恋愛強者の3割の法則」は離婚にも影響を及ぼしています。見合い婚が廃れ、自由恋愛による恋愛強者の結婚比率が高まれば高まるほど離婚率は増えます。結婚も離婚も恋愛強者の自家発電だからです(記事でも解説しています)。

これから結婚しようかと思っている若い人たちにわかりやすく説明すると、2015年国勢調査での男性の生涯未婚率は23.4%なので、4人に1人は一度も結婚できない。うち3人は結婚するが1人は離婚する。ということです。そしてこの離婚した1人が何度も婚姻と離婚を繰り返すので、時間差一夫多妻であり、そういう男が一人で統計泥棒をしているわけです。

ちなみに、女性でいうと、生涯未婚率14.1%なので7人に1人は一度も結婚できない。残り6人は結婚するが2人は離婚する。つまり、1人の離婚男が2人の離婚女を作っているということになりますね。

東洋経済の記事に書いた通り、現代は未曾有の「少婚多離」時代です。事実婚や婚外子の少ない日本では、実質婚姻=出生です。つまり、婚姻が増えなければ子どもは生まれません。ただし、婚姻だけを増やしても、離婚が増えれば結果それも増えません。

記事では「結婚破壊率」と命名した指標と出生率との相関は▲0.8以上。完全に強い負の相関があるといってよいでしょう。つまり、結婚が壊れればされだけ少子化が進むということです。

「結婚破壊率」とは逆の味方をすれば、「結婚持続率」という指標になります。に関する記事は、以前2019年に日経新聞本紙でも紹介されています。

結婚持続率の全国マップは以下の通りです。

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全体的に、東日本より西日本の方が低いですが、東京及び首都圏と愛知・大阪という大都市だけしか結婚持続率は高くないと読めます。こちらについて全国都道府県別ランキングなどをご覧になりたい方はこちらの記事をどうぞ。

だからといって、「離婚したいのに我慢すべき」というつもりはありません。子どものために我慢する必要もありません。とはいえ、実際のところ3組に1組離婚しているといっても、経済的な問題で「離婚したくてもできない」人もいるかもしれません。離婚したところで、慰謝料や養育費の不払いに悩む人も多いでしょう。子どもの貧困の問題はひとり親である環境が影響することも示唆されています。結婚は経済問題なのです。

とはいえ、経済力がないから結婚も出産もできないという話になっては本末転倒です。

未婚化が問題だ、少子化が問題だ、と騒ぎ立て、やれ「結婚しろ」「産め」というプレッシャーをかける人も相変わらず多いですが、産んだ後の子どもの成長にこそ大人・社会の責任があります


なので、大きな意味でこの政策には妥当性があると思っています。

児童手当を削減するというとそれだけですぐムキーっと沸騰する人がいますが、必要なところに必要な手当てをすることは間違っていない。

統計上、子どもの数が2人以上の世帯が50%を超えるのは世帯収入500万円以上です。つまりそれ以下だと、子どもを2人産むのに経済的に躊躇してしまう。さらにはおもしろいことに1250万円以上の高所得世帯になると、それはそれで子どもの数が減ります。

要するに、子どもを産み育てているマジョリティは、世帯年収500万円周辺の中間層なのです。この中間層がバブル以降どんどん減り、上位層と下位層へと格差が拡大していることも事実。

中間層のボリュームアップを図ることが安心して子どもを産み、経済的に安定することで夫婦が円満に暮らせる一つの要因になるのではないかとも思います。婚姻を増やすのも少なくとも中間層の仲間入りできるという未来の安心があればこそ。

今、結婚も出産も子育ても「贅沢な消費」になりつつあります。「金がなければできない」という思考を持つ人たちはそこからどんどん離れていきます。お金を配るという対処療法的なことではなく、全体的な経済の底上げこそが、結果として婚姻や出生の増加につながるのではないでしょうか。

経済を軽視するということは、今ある命を軽視するだけではなく、未来の命をも軽視することになるのだ。そういう意識を多くの人にもってもらいたい。

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。