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企業の採用担当者って、世の中のことをもっと勉強したら?

文系修士の採用を避ける人事担当者がいるなら、それは「採用担当のあんたが悪い!」と言わざるをえません。学生が反省することではない。学生に就活で不利だと思わせる企業側は、あまりに社会をみる目がないとしか言いようがないのです。

「課題発見能力に期待」などと能力を細切れにせずとも、もう総合力で良いに決まっているじゃない。

今頃、何を言っているのでしょうね・・・。

ぼく自身は人文系学部卒です。しかし、大学で話す機会も多いし、大学の先生と一緒に仕事するのが日常です。また、社会人の修士や博士の相談もよく受けます。

その経験からいって、以下にある人文・社会系の学生が修士に進むと就職が心配と思うのは、周囲の人間の責任だと言いたい。よく知らずに学生の不安を煽っているに過ぎない。

下記を読んでも、おかしいなあ、と思いますよね。これだけ今のビジネスでは地政学リスクが筆頭に挙げられるのに、安全保障を研究した人間に面接官が興味を示さないってかなり常軌を逸しています。

「文系大学院生の就活イベントやサービスはそもそも少ない」。2023年春まで私大大学院で安全保障について学んでいた橋爪浩平さん(仮名、25)はこう嘆く。

(中略)
就職活動を通して自分が少数派であることを度々体感した。自身の研究テーマは企業活動と結びつかない。面接では研究テーマすら聞かれない時もあった。各社の社員の文系大学院卒の割合を聞いても「ほとんどいない」という返答が多かった。採用担当者は文系院生の研究分野に最初から興味がないのではないかと感じてもおかしくない。

およそ修士に対しての偏見は、理系の修士が専門性に期待を受け、人文・社会系の修士は専門性が「オタク」「頭でっかち」というところだと思いますが、そういう偏見をもつあなたこそ社会勉強が不足しているのじゃない?とぼくは考えるのですね。

今のビジネスのありようを分かっていない・・・。

例えば、冒頭の写真はミラノにある工業デザイン協会の美術館で開催されている展覧会のポスターです。The New Poetic Activism - Italian Design in Search for Inevitable Objects というタイトルです。

避けがたく、そこにある存在をどうしても消せないものの数々を(落ち葉が囲むスペースに)展示しているのですが、こういう作品について論じあえる人が、今のビジネスには必要なんです。論じ合うとは、一つの領域の知識で何かを判断するのではなく、多角的な観点から意見を言える、ということです。

もちろん、修士を終えたからといって多角的見地が獲得できるわけでもないでしょうが、多角的見地そのものに優先順位を高くおき、「自分の考えは多角的であるかどうか?」を問う訓練はされているはずです。

十分じゃない。

一本調子のことに振りまわれている人たちが多いなかで、そういう人が仲間にいたらいいでしょう?

「みんな、こう言っているけど、違った方向から見るべきタイミングじゃないの?」とか傍で言ってくれる人がいると助かるでしょう?

それとも、皆と同じ意見を同じような素振りで言ってくれる仲間をもっと増やしたいのですか?

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