「自分のお仲間以外全員敵か奴隷」という本音が口から漏れ出す人たち
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「自分のお仲間以外全員敵か奴隷」という本音が口から漏れ出す人たち

荒川和久/「結婚滅亡」著者

どこのどなたか存じませんが、この記事の論者の言いたいことを意訳してまとめると、およそ以下の通りです。

移民の受け入れは国・地域の生き残りをかけた問題になってきた。介護士やサービス業の仕事は機械では代替えできない。コロナ禍でみんな思い知っただろ?そもそも移民は本来、文明国としての生き残りを助けてくれる働き手だった。先進国の人口減少はそういう人たちがいなくなる危機なんだ。

「機械では代替えできない仕事がある」というという部分には共感する。しかし、この人はそれがいろんな仕事の人に敬意と思いやりを持つという方向にはいかないのだな。

要するに、「移民がいないなら一体誰がゴミの収集をしてくれんだ?」ってことを言ってるようにしか、僕には聞こえない。インタビューの全体から醸し出される、「俺様感」というか選民思想臭が酷い。

移民という言葉を使っているが、彼の欲しているのは奴隷ではないかと思う。自分ではとてもやりたくない肉体労働・単純労働・危険労働を低賃金で担ってくれる奴隷がいないと「俺が困る」と言っているのと同じではないか?

こういう人って普通に社会に存在していて、まさに、ピケティが命名した言葉を活用すれば、バラモン左翼的高学歴で、高所得で、意識高い系の発言を好み、仲間とか感謝の言葉を多用し、倫理的なことを言うが、自分が正しいということをひけらかしたいだけのエリート意識丸出しのいけすかねえ連中」とでもいえばいいでしょうか。

ピケティは、そういう輩は「多文化主義とか経済のグローバル化を支持しつつ、ブルーカラー的な仕事に従事する階層の低い人々を性根では見下し、まるでナチズムのような排他主義・全体主義に走る土壌を作っているのではないか」とまで言っている。その通りだと思う。

だから、彼らは「自分たちの主張を全体主義的」と批判されることをものすごく嫌う。全体主義は基本的に極右的な扱いをされていると感じるからだろう。しかし、僕から見れば、右翼も左翼も一周回って最終的には同じ到達点に達するという意味では同じ穴のムジナである。どっちも自分のお仲間以外全員敵か奴隷っていうことだから。

コロナ禍においても、彼らは医療従事者に関しては表面上敬意を払う言動をするものの、それ以外のエッセンシャルワーカー(食品の製造や販売、飲食、物流などの従事者)たちに対する態度は冷たい。彼らがいてこそ自分達の日常が成立しているという意識も感謝もないし、あまつさえ、配達員の服装が汚い、などの理由で非難さえする始末。

悪気があってあえてやっているならまだマシかもしれなくて、本人は、それは非難ではなく「自分が正しい指摘をしているのだ」と思い込んでいるもんだから余計に悪い。「そんな仕事にしかつけない人間なんだから下に見られて当然」という差別意識が根底にある。

ツイッターなどでも人権派と銘打った弁護士が、他者の人権を踏みにじるような書き込みをしている例なんて日常茶飯事です。自分たちのお仲間以外に人権はない、人間ですらない、という本音の表れでしょう。

移民云々の問題ではなく、こうして一部の勘違い人間がいることで起きるそもそもの国民の分断や対立の方が深刻です。

この世界は名もなき誰かの仕事でできている。缶コーヒーのCMのコピーにあったように、社会の本質的な人のつながりを理解していない人間は、いかに高学歴だろうと、いかに高所得だろうと、誰からも助けてもらえなくなる。たくさんの金を抱えて、タワマンの高層階にいながら、一片のパンも届けてもらえず餓死するんじゃないの?

職業によって所得の違いが発生するのは仕方ない。この世界に平等なんてものは存在しないのだから。しかし、平等じゃないからこそ、それぞれが相手を思いやる心を持つことが必要では?平等じゃないから足蹴にしていい、無視していいとは違う。

ちなみに、僕は人間がそもそも元から善人であるとは思っていないし、悪人だとも思っていない。善悪なんて所詮人間が作ったくだらない基準のひとつでしかなく、誰かの善は誰かの悪でしかない。逆も然り。差別意識のない人間なんていない。だが、それを表に出すか、そういう行動や言動をとるかどうかとは違う。

バラモン左翼とビジネス右翼というものに関して、わかりやすく漫画で表現されているのはこちらです。


ところで、移民というか外国人人口に関して調べると、日本は2019年時点で約270万人の外国籍人口があり、30年前の1990年と比べれば2.8倍に増えています。これは、世界の7位にあたります。なんだかんだ言いながら、日本はもはや決して移民が少ない国というわけではありません。

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しかし、今後も日本に移民がきてくれるかというとそうは思わない。

こちらは各国の平均賃金の長期推移です。

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日本は30年間、唯一といっていいほど、ものの見事に賃金があがっていない国です。かつて下位だったイギリス・フランス・北欧諸国やニュージーランドに抜かれ、遂に韓国にまで抜かれた。

日本人でさえこんな安い賃金なのに、それ以下でこきつかわれるような移民が日本に来てくれるとは思えない。もはや日本は、海外の人にとって魅力のある出稼ぎ場ではない。後進国並みに賃金の安い国になってしまっています。

冒頭の論者の言う通りならば、日本人が海外の高所得層にとっての奴隷となってしまうのかもしれませんよ。

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荒川和久/「結婚滅亡」著者

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。

これからも更新しますね!
荒川和久/「結婚滅亡」著者
11/13に新刊「結婚滅亡」が発売です!他著書「ソロエコノミーの襲来」 「超ソロ社会」「結婚しない男たち」等。東洋経済等でコラム執筆したり、テレビ・新聞によく出ます。独身研究家として活動させていただいてます。メディア出演・執筆・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージから。