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今の時代、結婚はゲイカップルのためにある。

先日、ゲイの後輩にこんなことを言われた。

「小島さん。実は僕、結婚に対する憧れがあるんです。」

僕が結婚制度に関して疑問を投げかけるような発信をしていることは知っての上での発言だったので、彼にとっては少し勇気のいる告白だったと思う。

彼はこう続けた。

「ゲイって、公的に認めてもらえる機会が少ないんです。子供は難しいし、どちらかが死んだって相続もできない。だから、公的に認めてもらえる結婚に憧れがあります。普通の結婚をしてみたいです。」

目から鱗だった。

いつも「普通ってなんだよ」と斜に構えていた自分からしたら普通に憧れるという感覚が新鮮だった。

■制度は「普通」を与えるためにある

改めて考えてみると、制度とは普通を与えるためにある。
育児にお金がかかる人の税金を控除したり、障害のある人の雇用を確保したり、格差を埋めて、多くの人に等しく普通を享受する権利を与えるのが制度だ。

結婚制度もまた、同じような背景のもとで生まれている。

男性が働き、女性が子育てをするのが当たり前とされていた時代、男女の社会的な立場には差があった。大学に行く女性は珍しく、ましては企業で女性が管理職になるのはおかしいと言われた時代、女性たちが生活、財産、立場に対する不安を解消するには「結婚制度」を使うしかなかった

結婚制度を使って(社会的に優遇されている)男性と生活、財産、苗字を共にすることで女性たちは不安を解消することができた。

例によってパワポにするとこんな感じだ。

そう考えると、結婚制度の功績は大きい。女性を不安から解放し、普通をつくりだしたのだから。

そんな結婚制度は瞬く間にブームとなり、制度は市場を作り出した。ウェディングドレス、結婚式、新婚旅行、婚活。結婚制度を土台として経済もまた発展してきた。

■その役割を終えつつある結婚制度

ご存知の通り、時代は変わった。男女雇用機会均等法が1986年に施行され、男女の社会的格差は徐々に是正されていった。

もちろんまだ問題は山積みだが、ここからは仮に男女の立場が平等になったとして話を進める。

議題はもちろん「結婚制度の必要性」だ。

格差が是正されたとすれば、格差を是正するための制度はもはや必要ない。それでも結婚したいとすれば当初の「制度としての結婚」ではなく、その後に生まれた「市場としての結婚」を求めているということだろう。

格差の是正という結婚の本質的な意味が失われた今、制度としての結婚に付随していた生活、財産、苗字の共有はメリットではなくデメリットに変わりはじめている。

この辺りは前回の記事「ポリアモリーは恋人を共有する」でも触れている。

■新たな是正対象「LGBTQ」の存在

女性が不安から解放され、制度を使わずして「普通」を享受できるようになってきたこの数十年、社会では新たな是正対象の存在が明らかになった。

それが冒頭の後輩も含まれるLGBTQと言われる人たちだ。

いわゆる普通の夫婦と比べ、LGBTQのカップルの社会的な立場は一般的な夫婦と平等とは言い難い。それこそ市場ではカップルとして認められていても、制度としてはなんの権利も保障されていないのに等しいのが現状だ。

例えばゲイカップルにおいて、パートナーが不倫をしたとしてもその相手に慰謝料を請求することは難しい。「普通の夫婦」では当たり前の権利がゲイの夫婦には適応されにくい。

■制度としての結婚を、ゲイカップルに

もし、制度の本質が格差を埋めて、多くの人に等しく普通を享受する権利を与えることにあるのなら、今制度を必要としているのはいわゆる「普通のカップル」ではなく、ゲイをはじめとする「LGBTQのカップル」ではないだろうか。

もちろんLGBTQのカップルだってその趣向は様々だろう。ただ○○婚、××婚など結婚の形を迷走している普通のカップルよりも、「普通の結婚制度」を求めている割合は多そうだ。

時代の変化に対応するのではなく、制度の本質に従って結婚制度のアップデートが行われること、結婚2.0が今必要とされている。
今の時代、制度としての結婚はゲイをはじめとするLGBTQのため存在するべきだ。

その結果、冒頭に紹介した後輩の喜ぶ顔が見れれば僕もうれしく思う。


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