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老人をケアする若者の家賃が激安に?高齢者増加への取り組み

最近ネットでとあるニュースがバズっていて、いろんな観点で面白いなと思い注目しています。これはもしかしたら日本でも検討すべき事例なのでは(もうありますか)?

月に10時間老人の付き添いをしてあげることで家賃が免除されるという若者募集のニュース。お年寄りのケアが必要、家賃が高いから困っている若者を救う、という組み合わせ。

ご存知の通り、高齢化が急速に進んでいる中国。また、若者の失業率が高まっていることは日本でも話題になっていますね、詳細はちょっと前にnoteに書きました↓

日本でも同様と思いますが、中国でも都市で働きたい人、働いてる人にとって家賃は最も大きな出費で死活問題。このニュースはすぐに話題になりました。

このバズった報道の事例は杭州。浙江省杭州市滨江区社会福祉局が第三回”多世代同居”の同居者を募集してるとの記事でした。詳細は、若者は月額300元の管理費を支払うだけで、滨江区内最大の老人施設に住むことができます。その代わり、月に少なくとも10時間の高齢者の”付き添いサービス”を提供することが必要とされます。

ここでの”付き添いサービス”というのはみなさんがイメージする介護ではないです。お年寄りと一緒に施設のイベントに参加したり、話したり、一緒にご飯を食べたり、散歩したり、スマホの使い方を教えてあげたり、と様々な形があるようです。

記事によると、このような”多世代同居”のアイディアは杭州市滨江区社会福祉局のローカルイノベーションで、2019年からすでに2回、それぞれ15人が採用され、今回は3回目の募集。予定では15〜20人で、1年間の採用となるとこのとです。

(画像:杭州民政局から)

↑実際に入居する部屋のイメージ。シェアルームになりますが、杭州のような都市では、社会に出たばかりの若者はシェアルームに住むとしても1800〜2500元が必要になると(4-5万円くらい)。その相場感だと、300元(6千円くらい)はコスパ的には非常に魅力的な条件だと思います。

記事によると、募集の情報が公開されてからまもなく、すでに100人以上の応募者がいるとのこと。

第7回全国人口調査によると、中国では65歳以上の人口比率はすでに13.5%に達していて、高齢化の度合いでは世界平均の9.3%を上回っています。そして、人口構成的にはこれから高齢人口比率がますます増加しますので、高齢者の心身のケア需要が高まることになります。

杭州のようなアプローチは、高齢者と若者が共に生活し、相互に利益をもたらす可能性があります。ただ、このモデルが普及するには十分な宿泊施設と双方の受け入れが必要ということが議論されています。

まず空きベッド(住む場所)が必要で、老人用以外に受け入れ可能な範囲で一定の割合の宿泊施設を若者に提供していくこと。また、老人施設が若者の生活圏に近くなければいけません。そうじゃないと、限定地域で限定された規模の事業にしかなりません。

調べてみると、簡単には実現できなそうにも思います。例えば北京の場合、常住高齢者人口は約465万人で、これは常住人口の21.3%です。でも現在、合計571の老人施設にはわずか11.2万の老人ベッドしかありません。お年寄りへのベッド(住む場所)供給量すらも不足している状況で、若者のための宿泊モデルの実現はハードルがありそう。

ただ、日本も中国もこれから来る(すでにきている)高齢社会と向き合っていかないといけませんね。若者と老人をマッチングしてお互いに利益をもたらすようなモデルを考えて実践している人たちは応援したいなと思いますし、ビジネスチャンスが無限大にあるように思います。

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(参考資料)


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