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2020年はフリーランス元年だった?激流の1年を振り返る

世界中を覆う疫病に翻弄された1年。
さまざまな楽しみの規制や縮小、未知のウイルスへの恐怖、深まる人々の分断、これまで問題なく続いてきたビジネスの軋み……様々な変化や混乱に立ち向かいながらどうにか今年を乗りきった皆様、本当にお疲れさまでした😭(年が明けたら人類全体でエア乾杯したい)。

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様々な立場の方が何かしら変化を強いられ、様々なことを考えた1年だったかと思いますが、5年前に会社員から独立し、フリーランスとして働いていた身にとって、今年はどのように映ったのか。年の瀬の振り返りをつらつらと書き連ねてみます。

世の中のビジネスワーカーの「総フリーランス化」感

フリーランスとしては在宅勤務やテレワークがもともとデフォルトではあったので、社会や働き方の変化の激震の余波は、実は体感としてはめちゃくちゃ大きいわけではなかったです。
むしろこれまで一部の変わり者・社会不適合者だけのものだった(?)フリーランス的な働き方が一気にキャズムを超え、市民権を得て新たな「普通」になりつつある空気をひしひしと感じていました(そういえば今年はニューノーマルという言葉が流行りましたね……)。

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また、まるで巨城のようなウルトラ大手企業で活躍されていた方々が続々と組織を離れ、個人の舟で新たに漕ぎ出しはじめる現場にもたくさん立ち会いました🚤🚢👏

そういった時代の流れを受け、新たな舵を切る方に少しでもお役に立てばと、ここ日経COMEMOでは「フリーランスの働き方」をテーマにした記事を今年は特に数多く執筆させていただきました。

どの記事も予想外に反響をいただくことが多く、フリーランス、ギグワーカーといった「組織に所属しない働き方」、もしくは「組織に所属していたとしても個人としての様々な外部と仕事をする流動性の高い働き方」への関心の高まりを肌で感じました。
こういった働き方はべつに全然ハードルの高い働き方ではないので、ご興味のある方はまずは副業から気軽に試みてみるのも良いかもしれません。自分も会社員時代、「フリーランスで働くのは難しそう……」と漠然と思っていましたが、「普通にそれで(社員としてでも)仕事して食ってる」ぐらいの職能があれば全然イケるのではと。

(フリーランス適性をまとめた記事もたくさん読んでいただきましたが、これは割とガチであるあるらしいのでご参考まで……)

場所の制約からの解放をどのようにデザインするか、攻めていくか

フリーランスとしても大きな変化だったのは、これまで対面が前提だったイベントや講演が場所に縛られなくなったので、仕事が効率化されたり広がった面も。遠方の大学でもZoomで気軽に講義ができるようになったり、ヨーロッパ在住の先生がホストする授業にも違和感なくサクッと出られたりと便利でした。

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↑京都芸術大学でのオンライン授業の様子

時給制でない自営業者にとっての大敵、時間食い虫である直接対面してのMTGが本当に減ったので、そういう意味では嬉しい変化でもありました。もはや「オンラインがデフォルトで、人と直接会うことが特別な高級品・嗜好品になった」感。

会社員時代から移住欲が高かった自分。「せっかくフリーランスになったのだから東京以外の街に住んでみたいけれど、今の自分の仕事が東京に紐付いたものが多いからなあ……」と気の長い話として半ば諦めていたのですが、それが全く夢物語じゃなくなりました。
付き合いの長い友人や周囲のフリーランスやクリエイターも次々と東京を離れて京都、金沢、山口、、と全国各地に散らばっていって、楽しそうに新天地で生活している様子を見てウズウズ、、、

今年は思い切った移住をエイヤでやれたわけではないのですが、伊勢市がクリエイターを招聘する「伊勢市クリエイターズワーケーション事業」で伊勢市に滞在したりする中で伊勢の街から色々とインスピレーションを受け、あらためて文化芸術の東京一極集中に疑問を感じたりも。

身を置く環境の変化はクリエイターにとって良い刺激になるし、「アーティストの遺伝子を各地に散らばす」みたいな感じで、日本各地にもっと分散した方が面白い。
伊勢市のクリエイターズワーケーション事業からは学びが本当に多く、事業の企画者である市役所の橘さんを取材させて頂いた記事もバズり、たくさんの方に読んでいただきました(以下は当時の反響まとめ)。

こういった「身を置く場所を変えてみる」実験は来年も色々とやっていきたいと思っています。

「不確定要素」に出会えることが減った

今年一番しんどかったのが移動の制限、またそれに伴う様々な出会いやセレンディピティの減少。1年前、コロナ直前に開催されたシンガポール&東京での展示アーカイブを見ると、国境を超えていろんな人と簡単に集まれていた状況がすごく昔のことに思える……(涙)

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まだ多くの国から人が集まれていた1月のレセプションの様子😭

やはり今年のお仕事は基本的に新しく出会った方というより、これまでお仕事させていただいた方からの再依頼やご紹介が多かったです。フリーランスの働き方は出会いや人脈が重要なので、新規の出会いが減少するのがずっと続くのはジリ貧だなと……

あまりの移動のできなさに発狂して、自宅で機内食をつくって疑似旅行を味わう「自宅フライト」を夏頃にやってしまいました(まったく本質的なソリューションじゃないけど楽しいからヨシ&なぜか国内外で盛大にバズりました)→ 自作の機内食がすごいクオリティー!「機内食食べながら映画を観たい……」を実現する“自宅フライト”が謎に楽しそう(ねとらぼ)

コロナ禍になってからは出張も限られていたのですが、京都市京セラ美術館での再展示で京都に出張をした際に、やはり物理的な移動は嬉しい偶発性を生み出すことを実感。オンラインの方がもちろん効率的なものの、移動や旅の愉楽は確実にある……。

来年の年明けもまだまだ感染については厳しい状況が続くことが予想されるため、移動ができない中でどのように偶発性・セレンディピティをもたらすか?人間関係を広げていくか?ということは来年も工夫の余地があるなと感じました(これについては是非皆さんとアイデアを共有しあいたいです)。

副業容認・複業化の流れが加速

これからは複業が当たり前になる人類総スナフキン時代になる」という未来像がDCEXPO 2020 ONLINEで登壇した池澤あやかさんらとのトークセッションでも話題に出て、深く共感していました。

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自分もいわゆる「複業」タイプのフリーランスで、本業のアーティスト業を軸にしつつも企画や監修、講演、執筆などなどいろんなお仕事をさせて頂いているのですが、アーティストとしては邪道&器用貧乏とも言えるこのワークスタイルに今年は思いもよらぬ形で助けられることが多かったです(物理的な展示・イベントを前提にした稼業はシュリンクするが、他領域の仕事でそれなりにカバーできた)。
複数の柱があると時代がガラッと変わり例えひとつの柱がダメになっても、総体として足がいくつもあるため倒れにくそうという印象はあります。

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スキルセットの複数化もそうですし、インカムを得る組織もそうで「主要な収益源が一社のみ」というのは事業主としては結構恐ろしいこと。「自由は依存先を増やすこと」という言説を私は信じております。
もちろん雇用されている立場である以上は本業へのコミットメントが最重要ですが、とはいえ雇用先の一社だけではなく、個人としても社会全体と繋がりがあったほうが、やはりこの先行き不透明な時代でも安定感が高まってくる。

こういう時代だからこそ個人として情報発信を行い、「〇〇社の〇〇さん」だからではなく、自分を応援・信頼してくれる人を増やすことがこの時代に働く人の最大のリスクヘッジなのかも、と思っています(あれ、なんだか日経COMEMOのコンセプトっぽいな……)

今年は本当に働き方に関してエポックメイキングな年で、フリーランサーの労働環境向上を目的にした様々な省庁が連携したワーキンググループも立ち上がっているそう。

「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(案)の策定に向けた意見の募集を開始します(経産省)

フリーランスの増加により競争が激化する可能性もなきにしもあらず……ですが、とはいえ国としても推奨/保護する流れになってきているのは、これまで社会のマイノリティとして肩身の狭さも少なからずあった我々フリーランサーとしても嬉しいことです。

数年後に振り返った時に、「2020年はフリーランス元年だった」と言われそうなこの1年。この国の働き方のありようが、いよいよ本当にドラスティックに変わっていく兆しをビシビシと感じています。
来年のさらなる変化に思いを馳せつつ、振り返りを締めさせていただきます。

というわけで皆様、大変な1年をよくぞ乗り切りました……!(お疲れさまでした🙏)
来年はより明るい1年になることを祈りつつ。

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市原えつこ(メディアアーティスト)

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メディアアーティスト、妄想インベンター。弔いロボや喘ぐ大根、仮想通貨奉納祭など謎の発明品多数💡文化庁メディア芸術祭優秀賞、アルスエレクトロニカ栄誉賞、総務省異能など。 日本経済新聞COMEMOキーオピニオンリーダー http://etsuko-ichihara.com/