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書店員の聖地 地元鳥取・定有堂書店の閉店に寄せて・そして本との出会いは。

リアル店舗の人気が復活しているらしい。

大型書店の閉店や一時閉店も

そんな中で3月末で東京駅の近くにある八重洲ブックセンターが閉店のニュース。大型書店の閉店や一時閉店のニュースも多い。

  • 三省堂書店 → 一時閉店。2022年5月に本社・本店ビルが築40年を迎え、小川町の仮店舗で営業を続ける。2025-2026年に再開業予定。

  • 八重洲ブックセンター本店 → 入居予定。再開発ビルに入居予定で、新本店と現本店をつなぐ情報発信を続ける。

  • 丸善ジュンク堂 → 閉店。2023年1月に渋谷の東急百貨店本店が再開発で閉鎖したことから。

リアル店舗が復活する一方で、閉店する大型店が多いのはなぜなのか。
単に再開発のタイミングに引っ掛かっているだけということもありそうだが、本屋の在り方が問われているのは間違いないだろう。
私自身、読みやすい本や、あまりこだわりのない情報収集のための本などは、オンラインだったり、そもそも紙ではない、電子書籍の形で本を読んだりしている。

しかし、やはりじっくり読みたいものや、装丁までこだわっているものなどは、手に取って製本されて読みたい。

さらに、ネット上の本屋では体験できないもの、それは本との偶然の出会いだと思う。

私は歩いていて時間があると本屋に行って特に買うものがなくてもうろうろするタイプなので、本屋がなくなるのはとても悲しい。
私の地元鳥取でも、先月2023年3月31日(4月18日になったらしい。)、書店員の聖地と呼ばれる本屋が閉店した。

定有堂書店

定有堂書店は、私が高校生の頃に出会った、人生を変えるきっかけとなった場所である。理系だった私が、哲学書や人文系の本に興味を持つきっかけを与えてくれたのは、この書店の不思議な雰囲気と独特な品揃え、配置だった。
学生の時に、メソポタミア文明の本や、ニーチェ、カント、サルトルなどの哲学書、シュルレアリスムなどと出会ったのはこの本屋のおかげである。
(絶賛中2病だったのがバレバレの選書である、、、)

最近ここで購入したのは、地球が滅亡した後のサバイバル図鑑や、仏教と宇宙論の関係について、カエルの本、などなどだ。

偶然の出会いを楽しむ本の配置

鳥取は自然に恵まれた地域であり、定有堂書店はそんな鳥取で数少ない文化の香りのする場所であった。哲学書と宇宙論が隣り合わせに置かれていたり、自然科学の棚にサバイバル図鑑が置かれていたり。棚の配置が独特であったことから、本との偶然の出会いが本当に楽しかったのを覚えているし、帰省し時間があるときは、本屋に立ち寄り、またそこでの出会いから新しい本を購入していたりした。

書店員の聖地と呼ばれる理由

この本屋がいかに素晴らしい場所であったかは、下記のリンク先の記事をご参照いただきたい。書店員の聖地と呼ばれていたことは、この記事を見て知った。

小さい本屋なのだが、本が生き生きとしているように感じるし、何よりも店主の方が本が好きという思いがあふれていた。しかし決して押しつけがましくなく控えめなんだけどちゃんとメッセージが伝わってくる。そんな本の並びだった。この記事を読んで知ったのだが、たくさんの学生さんがここの影響を受けて、人生を歩んでいるようだ。
本当に個性的で面白い本屋であった。

これからの本との出会いをどうするか

さて、この素晴らしい本屋がなくなってしまい、本と偶然出会う場所が一つなくなってしまった。Amazonのおすすめなどをたどっていても、自分が想像していない範囲の本との出会いは難しい。(関係が深いものがおすすめされがちなため。)
ネットなどで人がおすすめする本をたどるというのも、いいかもしれない。

人と会った時におすすめの本を聴くというのもいい。

でもやっぱりリアルな店舗でも本と出会いたい。

そういえば本屋という枠組みを離れると結構面白いサービスがあるんだよなあ。と思いだしたものをいくつかご紹介してみようと思う。

実はまだサービス使ったことないんですが使ってみたい。

選書サービス

選書サービスは、自分が好きなジャンルやテーマを伝えると、専門のスタッフがその人に合った本を選んでくれるサービスです。自分では選びにくいジャンルや意外なジャンルからも選んでくれる、偶発的なサービスらしい。

Book Pick Orchestra

Book Pick Orchestraは、個人はもちろん、カフェやお店、共用空間などの本棚の選書もしてくれるサービス。ここが手掛けた場所、大変興味深い。

いわた書店

いわた書店のサービスは、1万円で、選んだ本を箱に詰めて送ってくれるというもの。いつもオーダーがいっぱいになっていて、眼には見えないけれど行列ができている模様。


Book Hotelという選択肢

BOOKホテルは、ホテルの部屋や、共用部分にたくさんの本が置かれていたりする。
本×ホテルというと、おそらくここが老舗だと思う。
NYCのライブラリーホテル。
部屋ごとにテーマがあり、テーマに関連した本が置いてあるらしい。

日本にもBOOK HOTELはいくつかある。まだ泊ったことがないが、いつか一人で行ってみたい。

BOOK HOTEL 神保町

私の本を見つけるホテル、というコンセプトだとのこと。

箱根本箱

宿泊すると本に囲まれて「暮らす」ように滞在するというコンセプト。
本好きじゃない人もターゲットになっているのが素敵。

本に囲まれて「暮らす」ように滞在。
初めて開く写真集から得るインスピレーション。
ふと手に取った本から得る意外な事実や知識。
ジャケットが気になって手に取った本から得られる安らぎ……

本は私たちに様々な“きっかけ”を与えてくれるものです。

「箱根本箱」は、本をテーマにしたインタラクティブ・メディアホテル。
けっして本好きな人だけに向けたホテルではありません。
むしろ「あまり本は買わない」「最近は本はご無沙汰だなあ」という人にこそ、
ぜひいらしていただきたい、“本と人との出会いの場”です。

一冊の本から始まる「新しい物語」。

箱根本箱はそんな空間であり、
そんな時間を提供するホテルでありたいと思っています。

箱根本箱のHPより


大好きな書店が閉店するということで悲しい気持ちになっていたが、いろいろなサービスが出てきているものだ。定有堂も、その存在から派生し、新たな芽が育っているという話も風の便りで聞いた。

春だなあ。


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