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30年ぶり賃上げでも増えなかったロスジェネ賃金

がんばれ、新社会人! 「脱デフレ世代」に期待 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

連合が公表した今年の春闘の集計結果によれば、平均で5%を超え、33年ぶりの賃上げとなっています。また、中小企業でも4%台半ば、非正規に至っては6%越えと波及も見られており、24年度の賃金上昇が期待されています。

事実、毎月勤労統計よりカバレッジが広い厚生労働省の賃金構造基本調査によれば、2023年の一般労働者の所定内給与は30年ぶりの賃上げもあって前年比+2.1%と19年ぶりの水準まで上昇しています。

しかし、年齢階級・学歴別にみると、けん引役は20代の若年層と60代以降のシニアであり、むしろ30代後半~50代前半のいわゆるロスジェネ世代では30年ぶりの賃上げにもかかわらずほとんど所定内給与が増えていません。

この背景には、就職氷河期に社会に出たことで就業機会に恵まれなかった層のボリュームが大きいことや、元々転職に保守的なことや年齢的な問題等により労働市場の流動性が低いことがあると考えられます。

一方で、家計の恒常所得の要素が強い一般労働者の賃金と名目家計消費の関係が深いことからすれば、ここ元の家計消費の低迷の一因は、第二次ベビーブーマー世代も含むボリュームゾーンであるロスジェネ世代の所得が低迷していることが一因であることが推察されます。

これまで日本で平均賃金の上昇を阻んできたのは、労働市場の流動化が乏しかったことで、経営者の人材流出に対する危機感が薄かったことも一因といわれています。そしてその背景には、同じ会社で長く働くほど賃金や退職金等の面で恩恵を受けやすくなる日本的雇用慣行も加担してきたことがあるとされています。

こうしたことからすれば、日本の個人消費を本格的に回復させるために必要なロスジェネ世代の恒常所得を引き上げるためには、対内直接投資の更なる推進等に伴う外圧の強化や、減税や補助金などによる転職支援の充実等が必要となってくるでしょう。

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