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リモートワークで終焉を迎える「年功型賃金」これからの給与は仕事で決まる

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

政府による緊急事態宣言以降、在宅勤務を経験している方も多いのではないでしょうか? 週に何回かだったり、ここ数ヶ月ずっと在宅勤務という方も。わたしも2月末からほぼ在宅勤務となっており、もはやこの働き方にも慣れてきたなぁという印象です。

一方で感染者数は減少傾向が続いており、経団連は緊急事態宣言解除を見据えて業種横断で守るべき対策のガイドラインを公表しました。

ガイドラインの期間は「治療法やワクチンの開発により安全・安心を十分に確保できるまで」を想定している。どの業種も内勤の場合はテレワークを引き続き奨励する。出勤が必要な際は公共交通ではなく自家用車を使うことも認める。勤務中はマスクを着けて換気を良くし、名刺交換はオンラインで済ませるといった内容も盛り込んだ。

出張は地域の感染状況を確かめつつ、不急のものは見合わせる。新卒や中途の採用活動は、オンライン面接を検討する。

宣言解除がされたとしても、しばらくは以前のような働き方に戻るわけではなく「新しい生活様式」への対応を進めていくことになりそうです。

在宅勤務を含めた新しい働き方はそれ自体が非常にチャレンジングなものですが、より慎重に検討しなければならないのが業績評価でしょう。これまで日本の多くの企業が導入しているのが、メンバーシップ型と呼ばれる雇用制度です。給与を決める基準が「人(業務遂行能力)」であり、社内でのキャリアや経験も含めて評価が決まります。

これは世界的に見ると非常にユニークな制度であり、かつての日本の高度経済成長を支えてきました。しかし、近年のグローバル化への対応や業種の垣根を超えた市場競争環境などにより、「仕事の中身」で給与を決めるジョブ型雇用への転換が迫られてきていました。

海外は仕事内容によって給料が決まる「ジョブ型」だと説明しましたが、このような状況下でジョブ型を適用すれば、異動で仕事内容が変わるごとに給与のベースが変わって大変です。仕事別に給与の基準をつくる作業も骨が折れます。「人」ベースの賃金の方が組織のフレキシビリティーを確保できる点で相性が良かったわけです。

しかし時代は変わり、「人」ベースの賃金の限界もあらわになってきました。
(筆者略)
近年、経団連などが「ジョブ型雇用への転換」の必要性をさかんに提言していますが、これは今に始まったことではありません。終身雇用や年功型の賃金では、グローバル化に対応できないとの危機感はずっと表明されてきました。

同じオフィスで常時(物理的にも)仕事ぶりが見えているときと異なり、リモートワークでは仕事の評価の仕方にも変化が訪れるでしょう。目標設定や評価方法など、特に管理職や人事、経営陣の意識変革が必要です。これを期に、給与や賞与の制度を変える企業も出てくると思います。

日本企業がジョブ型に変化すれば、人材市場の流動性は増してくるでしょう。以前、こんな記事を書きました。

グローバル企業では当たり前ですが、ある職能x勤務地に対して、ほぼ市場価格が決まっています。採用をしようと思うと、少なくともその範囲に入っていない限り選択肢にあがることもありません。よって、ステップアップを考える際にも、内部で昇格を狙うと同時に、社外で同じポジションがとれないかどうかを比較したりします(マネージャーがシニア・マネージャーになりたいとすると、シニア・マネージャーの求人を探す等々)。逆に言うと、同じ仕事であればどの会社でも給与面ではどっこいどっこいなので、それ以外の要素である福利厚生やオフィスの環境、働き方やカルチャーが自分に合うかといったソフト面が決め手になることも多いです。

先に述べた通り、メンバーシップ型雇用では社内でのキャリアや経験が「人」としての評価に入ります。また、終身雇用を前提にしているため市場の相場という外部の指標が入ることが少ないです。よって、全く同じ仕事をしていたとしても、会社によって給与が全然違うということが起きています。

ジョブ型であればそのようなことは起こりません。まさに同一労働同一賃金の世界です。その前提があれば、働く環境や会社のビジョンなどにやりがいを見出し、より気持ちよく実力を発揮できるということが会社選びの基準になるでしょう。

今回のことをが、自身の働き方について深く考えるきっかけになった方も多いでしょう。在宅勤務を望んでいたのに会社の許可が出なかった、などという話も見聞きします。会社に無理やり合わせるのではなく、主体的に自身のキャリアを作り上げていく。そんな時代がすぐそこまできていると感じています。

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タイトル画像提供:tiquitaca / PIXTA(ピクスタ)

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