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多様性教育と仕組み化は急務:窓ぎわのトットちゃんと才能マネージメント

12月8日に公開された、映画『窓ぎわのトットちゃん』を見た。

「子どもと多様性について話す機会ができてよかった」という感想をXで見てから、うちの10歳・8歳・4歳の子どもたちはどういう反応をするのかと、機会があれば見たいな程度の気持ちで、たまたま1月最後の週末を持て余したので鑑賞してきた。

うちの子どもたちが通っている葉山の小学校には、コスモス学級という制度がある。特別支援学級のようなもので、特定の授業は別の部屋で行うこともあるよう。まるで授業を専攻しているような雰囲気で、朝の会や帰りの会は同じクラスメイトとして一緒に過ごす。この仕組みが入学当初からあるので、落ち着いて授業が聞けない、みたいな子のことも特別なことと捉えていない様子の我が家の小学生。

「子ども同士のかかわりを大切に」「好きなこと(興味関心)、できることをさらに伸ばそう」「もたせよう自身、すきになろう自分」「進んで取り組もうとする意欲を育てよう」という意図の頭文字をとって「コスモス」。

長女は特に、他の子となんら変わりなく仲良くしており、「コスモスの子」とヤモリを共同で飼っていたことがある。毎日交代して家に持ち帰ってくる形式で、仲良くしていた。

そんなわけで、映画鑑賞後、子どもたちに感想を聞いていたら、多様性部分は特になんの感想もないようで、「◯◯ちゃんはどうして死んじゃったのか(亡くなった場面)」「突然、学校でさよならの会をしてたのは何故か(戦争で生徒を疎開させるために休校した場面)」「この話本当にあった話なの?!あの頭から飴を出すおばあちゃんが子どもだった時の話なの?!」というような感じだった。

私はというと、小学一年生の頃に母から「大ヒット作だから読んでみたら」と渡されて読んだときのことを強烈に覚えている。感想は、「ひとりひとりを大切にするなんて当たり前のことなのになんで売れてるんだろう」だった。うちの子どもたちと同じく、仲良しの子が亡くなるところが悲しすぎてあまりにもストレスで後味が悪く、読み終わってから2度と読むことはなかった。

何故か1988年の段階で、多様性を当たり前と思っていた7歳の私。2024年現在、いろんな人がいてみんないいとこあるよね〜という考えがふつうな時代を生きる、長女10歳、長男8歳、次男4歳も、同じように捉えていた感じだった。35年経っても変わらないムードが一部の層では繰り返されているのはなかなか興味深い。

窓ぎわのトットちゃんの刊行は1981年。黒柳徹子さんは1933年生まれなので、48歳のときに出版。当時、あまりに大反響だっただろうことが今となっては想像でき、周知の事実として徹子さん凄すぎる。そして、刊行の40年前からそういう教育をしていたトモエ学園の小林先生がさらに凄すぎる。まさに、多様性教育と多様性教育を浴びて育った先駆け的存在。

徹子さんのお父さんは12歳から三越呉服店で働き始めて、三越少年音楽隊でヴァイオリンに出会い、N響の前身新交響楽団のコンサートマスターに。お母さんも東京音楽大学の声楽科出身の、芸術夫妻。

両親ともいわゆるお金持ちで芸術家、徹子さん本人も落ち着きがないことを理由に小学校を退学になるくらい、多動性が強かったようだが、ご両親の考えと、適した教育者に出会えたことで、当時からすると珍しく全てを肯定され、伸び伸びと育った。かなり先進的なことだっただろう。

キャッシュフローとクリエイティブとが重なったからこそ、多様性が認められる世界に向けた前身的な展開があったと言える。

そして映画からは、戦争の体験から徹子さんが平和の意識を強くもっていることが伝わってくる。これは体験していない私たちにはわかることができない鮮烈な意識なのだろう。多様性を認めることが平和につながるのだと、メッセージを送られている気がした。

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1月は、あまりにも悲しい事件が起きた。

あまりにもショックな展開。私が掘り下げて記載するまでもなく幅広く取り上げられているし、多くの漫画家や作家、ファンに暗い影を落としたことだろう。

2018年に37歳だった私はこんな投稿を書いていた。

この考えは今も変わらない。ので、本当にこういうことが起きると不甲斐なく悔しい気持ちでいっぱいになる。大きな力から守られるマネージメントサポートなどの仕組みがなく、あまりにも個人マターになりすぎだ。

徹子さんは、窓ぎわのトットちゃんの映像化を30年も断ってきて、何故このタイミングでOKしたのかと思うと、テレビ放送の第一人者として、テレビ業界を知っているからこそだったのだろうと想像した。そんな徹子さんが納得される形で制作された作品は、本そのものの世界観だった。このことも、多様性と、キャッシュフローとクリエイティブの話と繋がっていると個人的には思っている。

30年前の私と同じ感想を持つ子どもたち、私たちは同じムードで、コスモス学級のように少しずつ浸透するものがあるのは素晴らしい。一方で、変化が少しずつであることが、それが正しい姿だと思う人ばかりでないことも象徴している。これからの日本が残る道は、こういった多様性の考えを元に立て直すことしかないので、加速させることに加担できるよう、諦めず張り切っていきたい。


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翠川裕美( KATALOKooo 代表 )
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