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素敵な「たまり場」を生み出す内輪感と新規性のバランスとは

近年、コミュニティについて考える機会が多く、様々な角度からコミュティについて考察してきました。
自分自身もいくつかのコミュニティ運営に関わっているのですが、その中の1つにSHIBUYA BALCONという月に2回実施している"つながる場づくり"をしているプロジェクトがあります。

先日、そのSHIBUYA BALCONとヒカリエの8階で"アートの社会実装""クリエイターの支援"を目的とするプロジェクト『make (a) Camp』さんとコラボしイベントを開催しました。そのイベントは「たまり場について考えてみる」というテーマでトークセッションを実施し私もファシリテーターとして参加しました。

以前から述べていますが、「コミュニティ」という言葉は人それぞれの解釈があり、良くも悪くも捉え方が千差万別、フワッとしている表現でもあります。一方で今回のイベントで"たまり場"について議論を進めてみると、"たまり場"という表現の方が割と共通のイメージを持っていることが分かりました。そこで、"たまり場"という視点でコミュニティ醸成について考えてみるのも面白いのではないかと考えたわけです。

今回は"たまり場"を考察する中でコミュニティの解像度を上げられるか考えてみたいと思います。

「たまり場」ってなに?

 割と若い時から「たまり場」という表現を耳にすることはありました。学生時代に所属していた部活やサークルの仲間が集まる場所を「たまり場」や「たまり」などと言っていたことを思い出します。
定義について調べてみると、「たまり場」とは特定のグループや仲間が集まって交流したり、時間を過ごしたりする場所を指します。
最近では、地域の飲食店や居酒屋、スナックなども地域の人々が集まる場が「たまり場」であり人々の心のよりどころになっているという話も下記の記事のように耳にするようになりました。

さらに深堀していくと"たまり場"には下記のような定義も考えられます。

【コミュニティを形成する場所】

「たまり場」は、コミュニティを形成する重要な場所です。仲間、つまり同じ趣味や関心を持つ人々が集まる場所であることから、共通の旗(目的)を持った仲間との交流を深めることができる場になります。たまり場に集い、共通の旗印の元活動することでコミュニティが醸成されていく重要な役割を果たします。

【リラックスする場所】

「たまり場」は、リラックスする場所としても重要です。現代社会では、仕事や学校などでストレスを感じることが少なくありません。そんな中、リラックスできる場所が「たまり場」として存在していることは、QOL(Quality of life) を上げる1つの要因ともなります。

【リレーションを築く場所】

「たまり場」は、新しい出会いが生まれる場でもあるので、新たな友人や知人と出会いつながる場所でもあります。同じ場で過ごす時間が長ければ長いほど、人間関係を深めることもできます。人とのリレーションを築くことは、新たな気づきやアクションのきっかけを生み出すことにもつながっていきます。

【社会参加のきっかけを提供する場所】

「たまり場」は、社会参加のきっかけを提供する場所としても重要です。例えば、たまり場での活動を通じて知ったボランティア活動やイベント参加などが、新たな出会いや自己実現につながる可能性もあります。

内輪感 vs 新規メンバー

先日のイベントの中で、スピーカーだったCampの新田さんが話していたことがとても印象的だったのですが、地域にある居酒屋は自分にとって"たまり場"であり、とても大切な場所だと言います。そして、引っ越した時に初めて顔を出した居酒屋が、新参者の自分を受け入れてくれるケースと、拒絶するケースの両方があるんだ仰っていました。それはどちらが良いとか悪いとかではなく、それぞれのたまり場のあり方なんだろうという話になりました。

内輪のメンバーを中心に醸成された「たまり場」は一度メンバーになってしまえば、行った時に知っている人しかいないので安心感は高く、緊張もせずにリラックスして過ごすことができます。

一方で、新しいメンバーも快く受け入れてくれるたまり場は、当然のことですが、新参者にとっては新たなコミュニティに入りやすいので、ただでさえ新しい場に参加する時に緊張感があるなか、安心して参加できる貴重な場となります。また既存のメンバーにとっても新たな出会いの機会にもなり、コミュニティが活性化する要因ともなります。

大切なのは内輪感と新規メンバーのバランスではないでしょうか。どちらかに偏ってしまうと、コミュニティ全体の活性化に影響が出ると思われます。内輪感が強すぎると、いつも同じメンバーで話をすることになるため、集まる回数を重ねるうちに話す内容や考え方が硬直化してしまいやすくなります。また、新規のメンバーばかりの場だと、そもそもの仲間意識やコミュニティへの帰属意識を持ちづらくなります。

内輪感と新規メンバーのバランスの取り方

ではどのようにバランスをとっていくのが良いでしょうか?

まず、内輪感を防ぐために、そのたまり場・コミュニティの理念や目的、つまりどのような旗印のもと集まっているかを既存メンバーで再度共有することが大切だと思います。そして、新規メンバーを迎え入れる前に、そのたまり場の中でのルールやマナーを明示し、全員が気持ちよく参加できる環境を整えることが大切です。

コミュニティでは知っている人同士の方が安心してコミュニケーションも取りやすいので、とかく内輪感に陥りやすくはあります。そうした前提で、新規メンバーを迎え入れるために、新規メンバーでも参加しやすいイベントやアクティビティを定期的に開催することをオススメします。そして、新しいメンバーが参加した時に、そのメンバーがどのような期待を持って参加しているかを知り、そのニーズを把握した上で、フォローしていくことが大事だと思います。

そして、拙著「コミュニティづくりの教科書」でも書いていますが、たまり場においても、常に参加しているコアなメンバーと、2,3回に1度参加する常連さん、そして新規メンバーがざっと1:1:1の割合くらいでいると代謝の良い場になっていくのではないかと考えています。その割合であれば、内輪感が強くなりづらいですし、新規メンバーが入ってきても、常連さんやコアメンバーが新規メンバーをしっかりとフォローしてあげることができます。
こうした人数的なバランスも重要だと考えています。

まとめ

「たまり場」の存在意義は、上述の通り、コミュニティ形成、リラックス、リレーション構築、社会参加のきっかけ提供など、様々な視点から考えることができます。コロナ禍で世の中のオンライン化が急速に進み、3年ほどオフラインの「たまり場」での活動は制限されてきました。しかし世の中が落ち着き、オフラインの場での活動が増えてきた今、実際に人と人が会うことができるオフラインの「たまり場」の存在意義は増していくのではないでしょうか。

また、「たまり場」をつくることができるのは、「場所」と「人」です。人との出会いや交流を楽しむ気持ちや、共通の目的や趣味を持った人々の集まりがあって素敵な「たまり場」は生まれていきます。

イベントなどをきっかけに身近にある「たまり場」に参加してみることで新たな出会いや居場所、あなたにとっての「たまり場」が見つかると思います。是非皆さんそれぞれの「たまり場」を見つけていただけたらと思います。

私も今回考察した「たまり場」の考えを自分自身のコミュニティ活動にも活かしていきたいと思います。

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