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なぜか、力強い成長へ。欧州景気

ユーロ圏の第1四半期GDP速報値は、この地域に対する楽観論を裏付ける。前期比0.3%のGDP成長率はコンセンサス予想0.1%を上回り、堅調な足取りでユーロ圏経済が2024年をスタートさせたことが示唆される。

主要4か国の成長率はいずれも第1四半期にプラスとなったのも大きい。とりわけドイツ経済がプラス成長に転じたことは景況感の懸念材料の払しょくを後押しするものとなると言える。

こうした成長に対して、概ね予想通りのインフレ率になったことも明るい展望である。前年同月比の総合インフレ率は2.4%で横ばいとなり、額面通りに受け取るとインフレ圧力は緩和していないように見える。中東地域の地政学的緊張の高まりを受けて、エネルギー価格が年末までに高まることもある。だが、コアインフレ率の0.2%ポイントの低下とサービス価格上昇率の6か月ぶりの4.6%から3.7%への鈍化がより重要な動向であると考えられる。

今後に目を向ければ、GDP成長率は数四半期にわたり底堅さを保つ公算が大きくなっている。すでに発表された第2四半期の一種のソフト・データ(ユーロ圏PMIなど)は第1四半期に見られたモメンタムが単に一時的なものではないことを示している。民間消費が実質所得の増加を背景に好転していることや、同調的な利上げサイクルによる圧力が和らぎ始めていることを示す兆しもある。投資と輸出が回復している初期の兆候も見られる。

とはいえ、下振れリスクはある。低迷するクレジット環境とそれが経済活動と投資の弱さに波及する可能性は否定できないし、また労働市場に対する懸念もECBは指摘している。5月10日発表された4月のECB理事会会合の議事要旨によると、6月会合の利下げの開始はほぼ確実だが、聊か上振れている欧州景気を見ると、そのまま利下げが続くとも考え難い。資金がうまく動くか、労働市場が安定しているか、この二点にしばらく注目である。

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