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全ビジネスパーソンの必須スキルとなる「プログラミング的思考」

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

本日26日、岸田首相肝いりの「新しい資本主義実現会議」の初会合が行われました。総裁選では何度も「分配」に関して強調していましたが、会合では「成長と分配の好循環」と発言していました。分配のための原資を確保するためには経済成長が必須です。その意味では正しいメッセージに調整されたのだと思います。

一方で、アベノミクス3本の矢においても、経済成長は1つの柱となっていました。その後の菅政権においても議論されてきましたが、以前として日本は低成長から脱却できていません。

政府は低成長からの脱却に何度もつまずいてきた。12年に発足した安倍晋三政権は未来投資会議を立ち上げ、後を継いだ菅義偉政権も成長戦略会議で成長戦略を議論してきた。それでも12年と20年の実質国内総生産(GDP)を比べると米国は14%、ユーロ圏は4%伸びたが、日本は2%の伸びにとどまる。民間企業の競争を促し、創意工夫やイノベーションを喚起するには至らなかった。

そこで好循環の起爆剤として、DX(デジタルトランスフォーメーション)やイノベーション力の強化を挙げています。有識者会議のメンバーにはヤフーやLINEを傘下に擁するZホールディングスの川辺健太郎社長や人工知能(AI)の開発を手掛けるスタートアップ、シナモンの平野未来社長など、デジタル分野の専門家も多く加わっています。

首相は新しい資本主義実現会議のほかに、デジタル田園都市国家構想実現会議やデジタル臨時行政調査会(臨調)などを立ち上げる予定で、全体的に「デジタル」を大きな成長の柱にしようとしているのかもしれません。

近年目覚ましい成長を遂げているデジタル産業を盛り上げることは理にかなっていると感じる一方で、それを担う人材の不足は深刻です。経産省によると国内のIT人材は20年に最大41万人、30年に同79万人の不足を推計しており、特に先端ITに精通した人材は市場に少なく、その育成も遅れています。

コロナ禍で特に小売やサービス産業の雇用環境は急速に悪化しました。国の成長のためには、産業構造の変化に対応して成長分野への労働移動を促すことが欠かせません。職業訓練制度の充実や、民間を巻き込んだ再教育プログラムを通じて裾野を広げていくことが求められています。

環境の変化に対応し、すでに動き始めている企業も出てきました。

パソナグループは小売りやサービス業などからIT(情報技術)未経験者を中途採用し、グループ内のデジタルトランスフォーメーション(DX)を担う人材に育成する。2024年5月までにまず300人を再教育する。経済産業省は30年に国内のIT人材が79万人不足すると推測する。DX対応が求められるなか、民間主導で企業の生産性向上に欠かせないIT人材の底上げを急ぐ。

10月から新たに「デジタルアカデミー社員」と呼ぶ中途採用枠を設けた。小売りやサービス業などからIT職の未経験者を正社員や契約社員として迎え入れ、1年間かけてIT人材に再教育する。

ポイントとなるのは、ITの技術革新です。近年、複雑なプログラミング技術がなくても業務に必要なレベルのアプリケーションを短時間で開発できる「ノーコード・ローコード開発」という手法が現れました。これを駆使することで、これまでは開発会社にお願いしなくてはならないような業務アプリケーションを内製することができたり、訓練を受ければExcelを使うくらいの気軽さで複雑なデータ分析ができるようになりました。

これらを習得する上で重要なのが「プログラミング的思考」です。プログラミング(コーディング)能力そのものではなく、あくまで「的な思考」です。もしくは、論理的思考の一部と捉えればわかりやすいかもしれません。小学校にプログラミング教育が導入される理由も、この思考を育成していく目的があります。

文部科学省は「プログラミング的思考」を、

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力

と、述べています。人に指示を出すのと、コンピューター(マシン)に指示を出すのはちょっと異なります。コンピューターがわかりやすい手順で過不足なく指示あげること、その基本となるのがこの思考です。より具体的に興味がある方のために、参考となるサイトを紹介しておきます。

このような思考は、すべてのプログラミング(コーディング)の基本となるものです。わたしは今後すべての方がAIやロボットの「同僚」を持ち、一緒に働くことになると予測しています。人間同士の協働においてコミュニケーション能力が重要なように、機械との協働におけるコミュニケーションにはこのような新たなスキルが必須となるでしょう。

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タイトル画像提供:CORA / PIXTA(ピクスタ)

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