経営者の勘はだいたい正しい
ネットフリックスは1997年に郵便によるDVDレンタルで創業。07年に始めた動画配信事業で成長し、足元では新型コロナウイルスによる巣ごもり需要で会員を増やしている。20年末には全世界の有料会員数が2億人を超える見通しだ。
同社は自社の企業文化について「チームであって家族ではない」と話すことが多い。即戦力となる人材に業界最高水準の報酬を支払い、予算などの細かいルールを押しつけずに自由と責任を与える。もし成果を出せなければ多額の退職金を払って辞めてもらうという。優秀な社員が最大限に力を発揮できる環境が成長を支えていると説明した。
11/10〜11にオンラインで開催された「経営者会議」に初めて参加しました。どんな内容が語られていたかは、以下のサイトが参考になります。
視座が高まると言いますか、自然と背筋が伸びる想いで話を聞いていましたが、もっとも注目したカンファレンスの1つがネットフリックスのリード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)のお話です。
「どこにおんねん?」
とツッコミを入れざるを得ないラフなスタイルからは想像もできないくらいに鋭いコメントがバンバン出てきて、本当に良かったです。
一方で、インタビュアー側が「説明が長い」「要領を得ない」「核心を突かない」の三重苦で、ほんとつまらなかった。
話が聞けて一番良かったと思ったのは、以前から「経営者の勘は正しい」と抱いていた仮説が確信に変わり始めたということでしょうか。
以前、某社会インフラ企業で講師を勤めた際に、副社長から「松本さんは過去のデータから未来を予測できると言う。では私の勘と、データによる未来予測、どちらが正しいか?」と問われました。
「正しいかどうかはともかく、精度が高いのは勘では?」と答えました。
理由は簡単で、どちらも過去のデータを参照しているからです。勘はヒラメキという言葉で正当性を有耶無耶に表現されますが、説明のつかない論理で「右だ」「左だ」と言っているだけで、実際には過去の経験から導き出されている訓みたいなもの。
私の回答に、副社長は「ふふん」としたり顔でした(なんなのだ、この「サラリーマン金太郎」展開は…と思いましたが)。大企業の副社長クラスともなれば、泥水の1杯や2杯は飲んでいるでしょう。どうして、情報の欠落したデータが精度で勝てましょうか。
経営者(創業者)って、びっくりするぐらい事業について真剣に考え、誰よりも詳しいんですよね。ロックオンの岩田さんも、デコムの大松さんも、JX通信社の米重さんも「はぁ〜、そういう世界観か」とため息をつくぐらい先を見据え、かつそれを実現したいと考えている。何なら、そういう世界観を実現させられない自分が悪いと思うぐらいに。
そういう蓄積がある人の、一見は「それって今、適当に思い付いた勘ですよね?」という言葉は意外と核心を突いていて、かつ当たっている場合が多いものです。
リード・ヘイスティングスさんだって、そう。当時、レンタルビデオ屋だったのに、Youtubeを見て「これからはネットで映画を見る時代だな」と思う(2007年)だなんて、どんだけ先見の明があるんですか。
2007年のTwitterなんて、しょっちゅう落ちてましたよ。
経営者の勘は正しい。真剣にとことん考えているからこそ、だいたいヒラメキは当たっている。そんなことを思っていますし、リード・ヘイスティングスさんの話を聞いて、ますます確信に変わりました。
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