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緊急事態宣言発出に伴う経済へのダメージ

首都圏で新型コロナウィルスの感染拡大が続く中、1都3県の知事らが緊急事態宣言の発令要請に踏み切りました。西村経済再生担当相はこの要請を受け、記者団に「国として受け止め、検討していく」と表明し、専門家による政府分科会の意見を踏まえ、慎重に判断する方針を示しています。

新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言は、外出制限や交通規制に対して強制力がなく、海外で行われているロックダウンを実施することにはなりませんが、昨年4-5月にかけての発出により2020年4-6月期のGDPが過去最大の落ち込みを示したことからすれば、更なる経済活動自粛の動きが強まることは確実でしょう。

実際、緊急事態宣言発動に伴う外出自粛強化により、最も影響を受けたのが個人消費でした。そこで、2020年7-9月期の家計調査(全世帯)を基に、外出自粛強化で大きく支出が減る不要不急の費目を抽出すると、外食、設備修繕・維持、家具・家事用品、被服及び履物、交通、教養娯楽、その他の消費支出となり、支出全体の約51.7%を占めます。

これを踏まえて、緊急事態宣言の発出により一都三県の不要不急消費が一か月止まると仮定すると、通常に比べて最大▲3.3兆円の家計消費が減ることを通じて、GDPベースでは通常に比べて最大▲2.8兆円(年間GDP比▲0.5%)の損失が生じることになります。また、近年のGDPと失業者数との関係に基づけば、この損失により+14.7万人の失業者が発生する計算になります。

実際、緊急事態宣言により自粛を要請して経済活動を止めた昨年4月の経済指標を振り返れば、ヒトやモノが動かなかったことによるダメージがいかに大きかったかがわかります。

内閣府の「景気ウォッチャー調査」で、業種別の2020年4月の現状判断指数を見ると、通常は大体50から40のあたりになる各指数が、緊急事態宣言が発令された4月は急激に悪化していることがわかります。自粛によって家食の特需を受けたスーパーだけが、唯一それなりの水準を保ちましたが、他業種は非常に低くなっているのです。

そして、東日本大震災の時の最悪の数字ですら10以上あった全体の指数が、10を下回りました。中でも最も悪化したのが百貨店であり、営業を止めていたことの影響が大きかったといえるでしょう。次が飲食関連となっており、夜の時間に営業できなかったことが大きかったと推察されます。

続いて低水準だったのは旅行・交通関連、次が衣料品専門店となっている。背景には、外出しなくなったことで、服を買わなくなったということがあるでしょう。このように、人が動くことによって需要が発生する産業にとっては、やはり相当大きなダメージがあると想定されます。

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第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。あしぎん総合研究所客員研究員、跡見学園女子大学マネジメント学部非常勤講師を兼務。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事。専門は経済統計、マクロ経済分析。