SNSは意地悪な場所になっている?
先日、ビリー・アイリッシュの新MVに対するSNS上での苦情のコメントが殺到していることについて投稿で取り上げた。
https://x.com/daniel_takedaa/status/1839950107921523121
この一連の流れの話は、決してビリーに限った話じゃない。毎日何度もSNS上で見かける「あるある」だから取り上げたのですが、まさに「インターネットがどんどん意地悪になってる」という傾向を表す典型例だと思う。
購読しているニュースレター、Embeddedの最近の記事のタイトルが"Yes, the Internet is getting meaner"で、まさに考えさせられることが多いテーマだった。
「もしオンライン上で赤の他人に対してよく見られるような態度で現実世界でも他人と接していたら、すぐに一緒にいるのが難しい不快な人物だと見なされるだろう。友達もいないでしょう。しかし、このような指摘をすること自体、良くても無駄骨を折るようなものであり、受け入れるしかないような状態だ」
チャペル・ローンがスターになったことで受けるようになったハラスメントや嫌がらせ行為に「ノーと言っていいべきだ」というスタンスを取っていることについて書いたことにつながる。
熱狂ファンがハラスメント チャペル・ローンの反論が投げかけた波紋:朝日新聞デジタル
Kateは、ニュースレターでこのように書いている。「私が言いたいのは、オンラインでのやり取りに関してこれまで受け入れてきたことについて、チャペルと同様の"学び直し"に着手できればいいのにということ。あんな風に人に話しかけられると思っていることが変だと思う。」
2022年でも、この話題について触れられている。「いいねやフォロー、その他のエンゲージメントを通じて、彼らは何度もその行為に対して報酬を得てきた。そしてこれまで、彼らとその周囲の人々は、その行為を現実の生活とは関係のないカテゴリーに分類することができたのだ。」
ビリーのMVに対する批判の声も、一昔前のインターネットだったらここまで目立つことはなかったかもしれない。特に現在のXでは、議論を呼んだり怒りの声を集めるようなcontroversialな投稿ほどエンゲージを稼ぎやすく、同時にエンゲージからお金を稼ぐために炎上するような投稿をわざとする人も増えた。
もちろん、昔からインターネットは有毒な場所だったという議論もできるが、2020年のロックダウンの際に(特にアメリカでは)多くのティーンや若者がSNS上でしかニュースを得たりコミュニケーションを取ることができず、悪意のこもった議論をすることが普通だと思ってしまっている側面もある。
インターネット上では、投稿をしている人が何歳なのか、どのようなバックグラウンドの人なのか分かりにくい。文字面だけを見て、それに対して感情的に反応をすることになるが、例えばSNS上のみから「政治意識」を学んだティーンがセレブやアイドルに対して過剰に怒っている場面もよく見かける。
このような一般人の投稿も、ジャーナリストが取材をし編集もされている記事から引用された投稿も、SNS上では同列の「声の大きさ」として並ぶ。このようなインターネットの仕組みによって、ジャーナリストに対しても非常にきつい、攻撃的な言葉が向けられる傾向が増していると言われているし、「匿名性」からくる攻撃性は絶えない。
この件に関しても、そもそも「ファン」が攻撃的にDMをしなければ良かったわけだが、映像監督がレスポンスをしていること自体も批判の対象になっている。アーティストとの距離感がどんどん近くなり、知り合いかのような錯覚を起こしやすいSNSの仕様に関しては注意が必要だ。