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村上隆のストリートカルチャーへの挑戦とラグジュアリーブランドのPOP-UPへの進出

昨日、ラグジュアリーブランドの変質について書きました。

そして、今日、フォーブス・ジャパンの次の記事を読んでいて、はああ、と思いました。この記事と、ぼくが昨日書いたラグジュアリーの話と繋がっているな、と。アーティストの村上隆へのインタビューです。

下記の部分にぼくは、ははあ、と思いました。ラグジュアリーの世界におきている「周縁性への注目と拡大解釈」がアートでも生じているのです。

でも今の時代では、誰がルールを作って、誰がゲームチェンジャーなのか。それは、あなたである可能性もあるんです。
今年4月にKAWSの絵画が香港のサザビーズで1478万ドル(約16億4700万円)という額で落札されたことも、アートの世界で大きな変化が起きていることを決定づける出来事でした。彼はオークションで高値のつく作品を生むアーティストでもありますが、Tシャツやフィギュアを一般の消費者向けに販売して、アジアで大変な人気になっていることは、ご存知の通りです。また、彼が土台を築いた、作品としての玩具「アート・トイ」のマーケットも拡大化が進んでいます。これは、ドーナッツ化現象とでも言えますでしょうか。本来アートの中心になかったストリートカルチャーや、玩具というマーケットが、アートのど真ん中へと移っていく流れの中で、オークション会社やギャラリーがKAWSを発掘したんです。

次の部分がさらに、ラグジュアリーの動向と一致しています。大都市の高級ゾーンにある気取ったギャラリーではなく、ストリートカルチャーの祭典に自分のターゲットがいる、と村上隆は断言しています。

僕は今、アートマーケットの大きな変化を感じています。だから今年のコンプレックスコンではこれまでよりも大きなブースを出展しました。なぜならここが、僕たちが作品を売るメイン店舗だと思っているからです。メインターゲットは、昔からアートマーケットにいるクライアントではない。今日ここに来ているあなたたちです。

現在、ラグジュアリーブランドが注力しているのは、POP-UP ストアです。例えば、プラダは昨年だけで36拠点のPOP-UPを出店しました。新しい場所と顧客を求めて、ブランド側が自ら動いているのです。都会の決まったゾーンに店を構えていれば、それに相応しい客がやってくるーなにせ、客は希少な経験を求めているのだから、というロジックが逆になってきたのです。

つまり、ラグジュアリーの意味が変質しているということです。POP-UPというあり方が、即ち、そのテンポラリーな性格がアクセスへの希少性を生み、ラグジュアリーに必要な「独占性」を客に提供している。これはかなり、従来の路線からすると、えっ!という論理展開です。だって、POP-UPって、どこの企業でもできるわけですから、いわばストリートカルチャーでの勝負に挑み始めた、とのことになったということですね。

しかし、一方で、希少性や高品質あるいは社会的記号というラグジュアリーがもってきた性格を、ラグジュアリーブランド企業は自らの美術館でより強調しています。時代の先端をいく世界的に有名な建築家に設計してもらい、そのなかには時代の先端を物語るコンテンポラリーアートのコレクションが展示する。ストリートカルチャーへの勝負とアート寄りの姿勢は、単なる戦略決定のタイミング時差なのか、それとも両極端をおさえるための戦略なのか。いろいろと判断するための材料を揃えないといけないです。

写真は@nzai_ken 

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