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VRデバイスの進化:コンテナとコンテンツ

VRデバイスの進化

Apple がとうとうゴーグル型端末の発売を発表しました。これまでも、様々なデバイスが生まれては消えてきました。

赤外線アンテナを立てて、ハイスペックPCに繋いでいたのは、7〜8年ほど前。

そこからスタンドアロンで、ゴーグルをかぶるだけになりました。

さらには、VRではなく、実空間をセンシングし、物理空間と連携するようにデータを提示できるMRデバイスが出てきました。

ハードウェアの進化によって、同じソフトウェアであっても、ユーザー体験が劇的に向上するのは、スマートフォンと同じ構造です。

これらの新型デバイスが普及するかどうか。その鍵は、コンテンツだと思います。

器と中身

コンテナとコンテンツの関係を改めて書きたいと思います。これは、スマホ黎明期の時、電子書籍の文脈で、あちこちで力説してきた内容の焼き直しなのですが、まったく同じ状況だと思います。

かつて巻物の時代。たとえば鳥獣戯画のように、大きな1枚の絵に複数の空間と時間が描かれ、それを一方向からスクロールさせて眺めていくというユーザー体験がありました。巻物というコンテナに対して最適化されたコンテンツの作られ方でした。

書籍という構造にコンテナが変わったとき。小説などは、竹簡時代と同じく、文字が並んでいる状態です。書籍というコンテナの特殊性は、任意のページにジャンプできるというハード依存に止まります。ただし、漫画は、ページをめくった際に最初に目に入る場所に大ゴマを配置しますし、雑誌などは大見出しをレイアウトします。これは、ページ単位で読んでいくコンテナに対して最適化されたコンテンツの作られ方です。

電子書籍は、そのコンテナならではのコンテンツが明確に生み出されることなく、紙書籍のエミュレート時代が続いています。一部、縦スクロールに特化した漫画なども生まれてきていますが、まだまだ模索の段階です。

が、電子書籍もままならぬうちに、VRデバイスによって、空間そのものがコンテナ化しました。

空間コンテンツの可能性

空間ごとまるごとコンテナ化するということで、全く異なるコンテンツが生まれる可能性があります。VR空間の中でモニタを覗くようなことは、電子書籍でページめくりのエフェクトと同じようなものかもしれません。新しい表現へのチャレンジに、投資も向いてきています。

全く新しいコンテナならではの、最適化されたコンテンツとはどのようなものになるのでしょうか。それを考えることのできるタイミングにいられる僕たちは、とても幸せです。

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