20年間下がり続ける賃金。日本企業浮上の処方箋とは?
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
桜の開花も見られるようになり、日々春の訪れを感じますね。もうすぐ4月、新生活のはじまりに心躍らせている方も多いのではないでしょうか?
春から社会人になるという方もいらっしゃると思いますが、日本の先行きについて不安に思うニュースが相次いで発表されています。
日本の賃金が世界で大きく取り残されている。ここ数年は一律のベースアップが復活しているとはいえ、過去20年間の時給をみると日本は9%減り、主要国で唯一のマイナス。国際競争力の維持を理由に賃金を抑えてきたため、欧米に劣後した。低賃金を温存するから生産性の低い仕事の効率化が進まない。付加価値の高い仕事への転換も遅れ、賃金が上がらない。「貧者のサイクル」を抜け出せるか。
昨今では、企業の内部留保の多さも話題になりました。競争力を維持するために手を付けやすいコストである人件費をコントロールして、利益をつくりだしている構造が見え隠れします。本来であれば、利益を伸ばすために社員の教育に投資をして生産性を上げる、または優秀な人材を採用して事業売上を伸ばすという方法が理想的です。日本型雇用(新卒一括採用、終身雇用。いわゆるメンバーシップ型)においては、解雇を伴う人員調整がしにくいと言われています。よって、賃金でコストコントロールをするというのがやりやすいのでしょう。
一方、市場の競争環境はますますグローバルでの戦いになっています。競争力を維持するためには、企業も社員も日々進化し続けなくてはならない時代になっています。先の記事でも、日本企業の象徴とも言えるトヨタ自動車の例があげられています。
「頑張った人、成長し続ける人に報いたい」。トヨタ自動車は2019年の春季労使交渉で、ベア見直しを含めた賃金体系の再考を提案した。労使で協議を続ける。
新卒を一括採用し、終身雇用と年功序列で、昇進や昇格に極端な違いを出さない。トヨタはこんな日本的な人事・賃金の先導役になってきた。
ところが、電気自動車や自動運転技術などで米IT(情報技術)巨人がライバルとなり、競争環境は激変した。人工知能(AI)といった先端分野は人材の争奪戦になった。「生きるか死ぬかの戦いだ」(豊田章男社長)。危機感がトヨタを「脱ベア」に突き動かす。
変化の激しいIT分野においては、さらにドラスティックな構造改革を開始する企業も出てきました。IT化で生産性が向上したことにより生じた人的リソースの余力を、営業などの事業売上に直接寄与する部門に再割当てするような動きです。
今後のAI化やRPAなどの業務自動化ソリューションの導入が進むことで、このような流れはますます加速することでしょう。このような荒波をどう生きのびればよいか? その答えは、入社間もない若手社員の声の中にあるかもしれません。
入社1〜3年目の若手社員の約4割が、会社における自身のキャリアパスや教育・研修制度に不満を抱えている――。日本経済新聞社と就職情報大手ディスコが1148人を対象に行ったキャリア意識に関する共同調査で、そのような結果が出た。職種を限定しない採用で入社した後、希望する部署や自らの強みを生かして働くことができる環境に配属されない事がモチベーション低下の理由になっているようだ。中には社内でジョブローテーションが繰り返されており専門性が身につかず、自身のキャリアの道筋が見えづらいという不満も上がった。
彼ら・彼女らは、もはや終身雇用が自分たちには通用しないことを知り尽くしている世代。新卒配属や慣例的なジョブローテーションでは専門性が身につかず、今後のキャリアにならないということを感じ取っているのでしょう。
今後のキャリア育成において大事なのは、以下の3つにまとめられるのかなと思います。
・常に市場環境を意識し、キャッチアップする
・市場の中で自身が発揮できる専門性・スキルはなにかを把握し、磨き続ける
・社内外に対してそのスキルや自身のことを発信することで、目に留まる機会(チャンス)を増やす
市場全体としては今後さらに人材不足の状況が見込まれます。その中でどうやって「自分のできること」と「自分がやりたいこと」をバランスさせていくのか。一度きりの人生、楽しく働きながら生きてきたいものですね。
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タイトル画像提供: metamorworks / PIXTA(ピクスタ)
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