○○が増えると大企業病?
「オープンイノベーション」という言葉をよく聞くようになった。専門の部署や担当をおいている大企業も多くなり、CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)を立ち上げスタートアップへの投資やインキュベーションプログラムを提供する企業も増えた。
では実際に会社が期待するような新規事業が増えたかというと、そうでもないという声もよく聞く。それはなぜか?
オープンイノベーションの担当者に必要なスキルは、自社として何をすべきか、何のためにパートナーシップを結ぼうとしているのか、そのことを知り尽くしていることです。社内に埋もれている技術を生かしたいのか、あるいは、既存事業とのシナジーはなくてもいいからもうかることをしたいのか、といったゴールを明確に持って、それを軸に判断していく必要があります。意外と、大企業のオープンイノベーションの担当者は、本人も何をするためにパートナーシップを結ぼうとしているのか、はっきり理解していない場合も多いと思います。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/238739/032600287/
毎晩どこかで開催されるイベントに出てみると、毎回見かける顔がちらほらある。もちろん有益な情報交換をしている人もいるが、中にはただの「名刺コレクター」と化している人もいる。話を聞いてみても、何がしたいのか、本人および所属企業の期待値がまるで見えないのだ。
「オープンイノベーション」を「大企業病を打破するためのツール」と捉えている会社も多い。もちろんそのような効果が「結果として」存在し得ることはあるだろう。しかし、そのためには企業自身がゴール(達成条件)を明確に持って、それを軸として判断していく必要がある。オープンイノベーション担当を任命するときも、社内でのコミュニケーション能力だけを評価しているだけでは、パートナーシップに落とし込むことは難しい。なぜならば、ここにこそ「大企業病」の本質が隠れているからだ。
それと、同じチームに長くいると、暗黙知が多くなってアウトプットが減ってしまうんです。ーーー暗黙知が多くなると、アウトプットが減る?村上:ええ。いろいろなことを言語化しなくなると、アウトプットが減るんです。なんとなく、「あれやっておいて」と言うだけで、「あれ」が分かる状況というのは、日々の仕事はスムーズに回ると思います。だけど、他の部署の人と新たなプロジェクトをやったり、社外とパートナーシップを組んだりすると、「あれ」では通用しない。
「暗黙知」、「空気を読む稟議決裁フロー」、「肩書はないが大きな影響力を持つ謎の人物」等々、これらは大企業病の進行具合を測るバロメーターであろう。安易に社外に解決を求めるのではなく、まずは社内の仕事の進め方を見直す。そして目的と期待値をはっきりさせた上で、社外との共創によりイノベーションを起こす。まずはそのような意識で、世の中に新たな価値を提供してみてはどうだろうか。