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「22歳の新社長」、人手不足経済のお手本では?

カレーハウスCoCo壱番屋=ココイチのフランチャイズ(FC)店などを経営する群馬県太田市の会社が22歳のバイト出身女性、諸沢莉乃さんを新社長に抜擢:

発端は2月の同社PRかな↓ 驚愕の事業継承!!と自分で驚いてる😁

"メディアの皆様へ
事業承継、後継者育成、人財育成に関するご質問、寄稿・取材
のご要望がございましたらお気軽にお声掛けください!"

と書いた通りの展開に🌸🌸 PRなのを感じさせないいい文章だ。

このスカイスクレイパー社は、創業した西牧大輔社長26歳でココイチの独立制度により設立。「26歳も22歳もそう違わない」ともいえるが、それにしてもだ。しかも最初に決めたのは20歳になったばかりの頃。


①人手不足経済のお手本

上記のPR文から経緯を整理すると、

・西牧社長は53歳で引退と決め、50歳を前に後継者を探し始める
・だが、経営意欲の高いスタッフは独立していく(独立支援してる)
・そこで、次期社長に求める要素を紙に書き出してみた

「現場で汗をかく事を苦にしない事」
「損得より善悪で行動できる人」
「素直に吸収すること」
「スタッフ全員の日報を読んで寄り添えること」
「ありがとう、ごめんなさい、お願いしますが言える事」
「この会社が本当に好きで、西牧の思いを共有できる」


・この条件ならいる!と当時20歳になったばかりのアルバイト諸沢さんが思い浮かんだ

必要な要素を言語化し、書き出す手法が、発想を大転換させている。フランチャイズ店舗の経営とは、基本は本社のマニュアルの地味な徹底実行。新メニューの開発とか斬新なマーケティングとかは不要なのだし、一般的なビジネス経験は要らない。それよりも、好き、思いの共有、といったソフトなものが重要で、それがあるから日々の地味なオペレーションに魂を入れられる、といったところだろう。

この発想は、人手不足で採用が難しい時代にも、会社が必要な採用を行うための、1つのお手本となりうるかもしれない。

去年ごろリクルートワークス研究所が発表した『「働き手不足1100万人」の衝撃』は文字通り衝撃の内容。特に地方では、外食産業などの担い手が圧倒的にたりなくなってしまう。人手不足倒産が普通になる。

そんなビジネス環境で、「最低これだけできればOK」と人材の条件を明確にする=それ以外を緩くできる会社は、生き残りやすくなるだろう。

もちろん、人を見る目、育てる力、というスキルが必要ではある。西牧社長はそのスキルが高かったから、フランチャイズ経営として年商20億円近いレベルまで育ててこれたのだろう。(沿革を見ると ↓ 売上減少が時々ある。既存店が独立していくからかな?)

さらに、結果として、こんな社長さんがいる会社、というフレッシュイメージで、今後の採用はさらにうまくいくようになるだろう。お客さんイメージもよくなる。というかカレーが美味しく感じられそうだ😁

「逆」も成立し、仕事を探す人が、「初任給より、3年後に上がる可能性の大きな仕事」とか求める要素を絞り込むことにも使える。他のいろんなことに応用できる。

②ココイチ創業者53歳の引退の再現である

もう1つの注目点は、「ココイチ創業者の宗次徳二さん引退の再現にも見えること。どちらも退任年齢が53歳だから。

宗次徳次さんは、50歳で社長を辞め会長に(新社長は妻=レシピ作った人)、53歳で会長も辞め(新会長は妻)、経営を完全に離れた。新たに社長に抜擢した浜島俊哉氏は当時43歳ぐらい、19歳で1号店に入った高卒バイト出身社員、くしくも22歳で新店舗(ということは店舗展開ノウハウが全くない頃)に店長として急成長した点も重なる。

(2020年の日経ビジネスのインタビュー)

そして宗次さんは200億円以上という株売却益を、名古屋のクラッシック音楽専門「宗次ホール」などに投じ、超高額楽器を買って若い才能に貸し出し、自らは毎朝7時からホールの掃き掃除をして、と公のための活動に集中している。潔い。

宗次さんは、店がきれいであること、お客さんが喜んでくれること、により真の幸福を得ているのだろう。一貫した行動からわかる。フランチャイジーの西牧社長もたぶんそうで、だから新社長の条件が上記のようになるし、宗次さんと同じ年齢で引退もする。

こうして企業文化は受け継がれゆく

諸沢新社長も良いキャラで、新旧社長の対話動画をみると ↓

2年くらい前、「次の社長やってくれないか」という話に、

諸沢:最初は、ふざけているのかな…(笑)と思ったんですけど、本気だとしても冗談だとしても面白いなと思いました!
高校卒業して大学に通ってない自分にこんなチャンスはどこに行ってもないなと思ったので、冗談で仰っているのならば本気にさせようと思っていました!

冗談だとしても面白い、冗談で仰っているのならば本気にさせよう。

おもしろい😁

創業者の仕事への姿勢が、独立していくFC経営者に受け継がれ、その後継者に受け継がれていく。企業理念、企業文化とは、こういうことなのだろう。

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八田益之(「大人のトライアスロン」日経ビジネス電子版連載中)
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