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魚離れを食い止めるカンタン調理の「焼けてる干物」 島国ニッポンの未来に残す食文化

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

最近、最後に魚を食べたのはいつでしょうか?

例年人間ドックの時期になると普段の運動や食習慣について回答する調査票を記入しなくてはならないのですが、肉や魚や野菜などについて週どれくらい摂取しているかを必ず聞かれます。

わたしは和食が好きなので結構食べている実感はあるのですが、自分で調理しているかというとそうでもないです。コロナ禍で在宅勤務が続いていたころは外食がめっきり減ったため、自炊する回数が激増しました。そのときにはかなりの頻度で魚を調理した記憶がありますし、余剰在庫となってしまった養殖ものをまるごと一匹お取り寄せして楽しんだりもしていました。

食育を兼ねて息子に3枚おろしを教えている様子

日本食の主役といえば、やはり魚。訪日外国人を対象に最も知られている日本の食材を問うと、「マグロなどの魚」が最多だったそうです(農林中央金庫、2023年3月調べ)。しかしながら、国内の食生活に目を向けると主役の座は肉になりつつあり、魚離れが著しい状況がみてとれます。

水産大国といわれた日本の漁業生産量(天然漁獲と養殖の合計)は1984年に1282万トンを記録したが、2021年には3分の1まで減った。70年代から各国が200カイリ水域を設定したことで日本の漁船は締め出され、遠洋漁業が衰退。沖合漁業も主力魚種のマイワシに異変が生じ、海域にいる魚の量(資源量)が激減した。

さらに海水温や海洋環境の変化が波及。2010年以降は水産物の消費を増やす中国などの大型漁船が日本の海域のすぐ近くでも操業するようになり、サンマ、スルメイカなどの漁獲が落ち込んだ。

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魚を調理して思うのは、手間が多いこと。そして、生ゴミが多く出ることに加え、臭いも気になります。切り身であればかなり軽減されますが、生臭さを嫌がるかたも多いと思います。

このような状況の中、メーカー側も工夫を凝らしています。例えば、電子レンジで加熱すればすぐに食べられる調理済みの干物などです。干物はそもそも生魚を調理する手間を減らしたものですが、グリルで焼く際に煙や臭いが出ること、また使い終わった後の片付けが面倒で敬遠しがちという課題がありました。特に集合住宅が増えた現代においては、近所への配慮という側面もあるのかもしれません。

調理の負担を減らした魚の干物が増えている。電子レンジで加熱すれば食べられるよう、あらかじめ焼いておいたり、生ゴミとして捨てられやすい部位を除いたりしている。調理の手間がもともと少ない干物の良さをさらに引き出し、魚離れを食い止める狙いだ。

干物製造の伴助(福島県いわき市)は6月、焼いた干物の真空パック「干物のお惣菜(そうざい)」(7種、参考価格1匹598円)をスーパーや鮮魚店向けに発売した。シマホッケや赤魚、サバ、アジなどを遠赤外線で焼き上げた。袋から出し、皿に乗せて電子レンジで100〜120秒温めれば食べられる。

営業部の小田島義則部長は、レンジでも遜色ない味を実現するため「魚は特に脂のりがよいものを厳選し、通常より乾燥時間を短くしている」と話す。焼く時は「脂を逃さないように低温でじっくり。見た目で食欲が湧くよう、表面はこんがり仕上げている」。

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この他にも五十嵐水産(静岡県沼津市)の「エコひもの」は、あらかじめ頭と尻尾を取ったアジの干物を商品化。フライパンで焼くだけで手軽に焼き魚が食べられ、かつ生ゴミも少なくて済みます。

時短が重要な現代の食生活において、このような製品により再び家庭のメニューの選択肢に魚が入るようになります。海洋資源に恵まれた島国ニッポンの誇る、豊かな食文化。健康にもよいですので積極的に日常に取り入れていきたいですね。

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タイトル画像提供:shige hattori / PIXTA(ピクスタ)

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