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愚痴を我慢すると結婚できない?

世の中、理不尽なことが多いもので、愚痴りたくなる時というのは誰しもあるものです。

ですが、愚痴りたい時に愚痴っている人は、どれくらいいるでしょうか?愚痴れる相手がいないという場合もあるでしょうが、大抵は、「愚痴ることを我慢する」人が多いからです。

特に、男性。

「愚痴を言うなんて男らしくない」などという「男らしさ規範」に縛られて、じっと堪えてしまう人も多いんじゃないでしょうか?

ところが、この「愚痴を言う」行動と結婚との間には有意な相関があります。愚痴を我慢する人ほど未婚で、愚痴を我慢しないで人に喋る人ほど結婚しているのです。

以下、私が調査した結果をグラフ化しました。愚痴をいうことを「我慢する」と「我慢しない」比率の差分で表示しています。グラフの上側プラス部分は「我慢する」が多い、下側マイナス部分は「我慢しない」が多いという意味です。

20-30代と40-50代とで分けてみると、より傾向がはっきりとします。

結婚に後ろ向きなソロ男・ソロ女は、年代に関係なく愚痴を我慢します。一方、既婚女性(結婚できた女性)は、20代の時から愚痴を言いまくります。おもしろいのは、既婚男性で、20代の頃は愚痴を言うのに、40代を過ぎるとソロのように言わなくなります。愚痴を言える立場ではなくなったからかもしれません。

気になるのは、男はともかく、ソロ女も愚痴が全く言えないということです。このあたり、既婚女性と正反対の特性が見てとれます。


愚痴というのは、いわば、感情の吐露です。よく男性が女性の愚痴に対して、「それはこうすればいいんじゃないか」などと余計なアドバイス(クソバイスと言われます)をしてしまいヒンシュクを買うシーンが見られますが、愚痴は言いたいだけ、聞いてほしいだけなので、理屈で返すのは野暮になります。

思うに、結婚はともかく、恋愛できる男女というものは、感情と感情のぶつかり合いを受け入れた関係性だとも言えます。感情を感情で受けて、それを感情で返してあげる。そういう関係性が、感情にとって心地よいわけです。

「愚痴を言いたい」というのは、何かしらネガティブな感情が心に発生した証拠です。それを「男らしくない」「弱音を吐くのはプライドが許さない」などと、もっともらしい理屈付けをして我慢してしまうという行為そのものが、もはや感情を殺しているのです。

だからといって、なんでもかんでも感情を表に出せばいいかという話ではありません。仕事の付き合いでそんな人がいたら閉口します。

理屈付けをして感情をコントロールできると考えている人は、それこそ理屈で動く典型的な人間の証拠です。理屈を意志という言葉に置き換えても同様ですが、人間は、意志によって行動しているわけではないからです。意志というのは、行動の後付けの理屈によって、「そもそも意志があって動いた」と脳が安心したいだけですから。

というより、理屈付けしないと行動できないタイプの人間は、さんざん考え抜いたあげく、「行動しないという行動」を決断します。せっかくの感情で動こうとして自分を、無理やり理屈によって押さえつけてしまうのです。

自分にも説明できない恋愛感情が沸き起こった時に、「モテないから」「金がないから」「どうせフラれるから」といくつもの理屈付けをして、結局何の行動もしない。それが、男女とも7割も存在する恋愛弱者の典型的なパターンなのです。

恋愛強者は、考えるよりも先に行動しています。

野球にたとえると、恋愛強者というのは、打率がいいのではなく、ヒットの本数が多い人です。つまり、誰よりも多く打席に入っているから、結果としてヒット数が多いんです。打率は1割に満たないかもしれません


とかく、愚痴はよい印象を持たれていません。「一生懸命だと知恵が出る。 中途半端だと愚痴が出る。 いい加減だと言い訳が出る」という武田信玄の名言もあるくらいです。しかし、そんな完全無欠の人生なんて送れるわけがないのです。

愚痴りたいという感情が起きた時点で、それを表に出さないようにしようが隠そうが、もはや同じことです。であるならば、余計なことをあれこれ考えるより、誰かに話してスッキリさせてしまうるほうが、無理のない素直な行動なのです。

とはいえ、言うまでもないことですが、誰彼かまわず愚痴を言いまくってしまうと、結婚できるどころか煙たがれますので、ご注意ください。

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。