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ダイバーシティは経営の中核に。ESG投資も後押し

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

先週の3月8日は国際女性デーだったこともあり、各種メディアでも女性活躍に関する記事が多く発信されました。その中では、世界は進んでいて、日本は遅れているという論調が大多数を占めていました。事実そのとおりではありますが、SDGs(国連、持続可能な開発目標)でも引き続きジェンダー平等が課題にあげられている通り、ゴールに向けては道半ばです。

「男性らしさ・女性らしさ」など、日々の生活で刷り込まれた偏見は誰にでもある。国連開発計画によれば、男女の40%以上が男性の方が経営者層に向いており、雇用数が少ない時には男性の方が働く権利があると考えている。放っておけば拡大する偏見に対し、各国は法律や制度を変え、セールスフォース・ドットコムなどは賃金や昇格の平等を毎年確認することで向き合っている。

偏見を伝統や風土、文化といった言葉で肯定してしまえば、蔑視発言や差別行為も容認され、変わることに無頓着となる。

変わることは誰にとっても難しいことです。日本には100年以上続く企業が数多く存在しており、その数は世界一です。そのような企業では「伝統と革新」のバランスをとり、各世代でイノベーションを起こしてきたことで業績を伸ばし存続してきたと言われます。しかし、500年の歴史がある虎屋の黒川社長は、この言葉を自分からは使わないようにしているそうです。

「伝統と革新」という言葉は私も以前よく使っていたのですが、ここ十年ほど自分からは使わないことにしています。「革新」と言えるほど思い切ったことは果たしてどれくらいあるかと考えていたら、おこがましくてそんなことは申し上げられないと思ったからです。そんな大層なことの前に、今、目の前のお客様に喜んでいただくために何をするのかを考え、即座に実行していくことが大事です。それは必然であって、革新ではないと思うのです。

瞬間瞬間の判断が大事であって、基準や枠組みにとらわれ過ぎることがあってはいけない。ただ世の中が刻々と変化しているのも確かなことで、動く世界の中で、自分がふらつかないためには、まず「自分」から行動して変わらなければならないと思っています。

今年の国際女性デーはこれまでになく賛同を表明する声を多く目にしました。ビジネス特化型SNSであるリンクトイン(LinkedIn)の特別企画には、女性のみならず数多くの男性の投稿が目立ちました。まず自分から行動して変わっていく。そのような潮流が生まれつつあるのかなと思います。

企業の多様性は、日本でも2004年ごろから意識され始めていました。近年ではそれが「経営戦略に組み込まれた」、つまりダイバーシティが経営の中核に位置するようになったことがこれまでにない動きです。

企業の多様性は古くからのテーマだが、近年の特徴は「単なる社会貢献ではなく企業価値を高める経営戦略に組み込まれた」(立教大学の尾崎俊哉教授)ことだ。例えば人手不足に直面する物流業界では多様な人材活用が不可欠。「経営環境が激変する中もはや性別や国籍などは意味を持たない」。SGHDの荒木秀夫社長はこう断言する。

株式市場の強い要請も上場企業のダイバーシティー経営を後押しする。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など国内外の機関投資家が、多様性を重視するESG投資に相次いで参入。優良企業に投資マネーが流れ込み、金融情報会社リフィニティブの「グローバル機会均等セレクト・インデックス」は世界株指数を大きく上回るパフォーマンスを示す。

2021年4月に改訂を予定している東証のガバナンスコードでも「中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保」が求められます。

・管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)についての考え方と測定可能な自主目標を設定するとともに、その状況を公表すべき
・多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針をその実施状況とあわせて公表すべき

経済産業省でも2018年に「ダイバーシティ 2.0 行動ガイドライン
実践のための7つのアクション」が公表されました。

https://www.meti.go.jp/press/2018/06/20180608001/20180608001-3.pdf

賛同から一歩進んで、具体的なアクションへ。ひとりひとりが「自分」から行動していくことが、世の中を変えていくことにつながるのではないでしょうか。

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タイトル画像提供:Undrey / PIXTA(ピクスタ)

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