サンマが減ると積立金が減る?
肌寒さに秋の深まりを感じますね。美味しいものを食べて風邪に負けないようにしたいところです。
秋の味覚といえばサンマを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。「今年は特に不漁」というニュースを新聞やTVでよく見かけます。どれぐらい不漁かというと、10月9日時点で昨年の13%しか獲れていません。
サンマが減る→漁師さんの収入が減る
サンマが減ると私たちの食卓が寂しくなるだけではありません。漁師さんの収入も減ってしまいます。
不漁のときには漁業共済が収入を補ってくれます。漁師さんの頼みの綱ですが、それもピンチなのだそう。下のコラムには危機の理由が詳しく書いてあります。
漁師さんへのサポートが増える→積立金が減る
記事の内容を少しご紹介します。
豊漁・不漁の波がある漁業は保険によるセーフティーネットがある。平均水準より収入が減った場合、8割までは共済で補填され、さらに9割までは「積立ぷらす」と呼ばれる制度により、漁業者と国とが積み立てたお金から減収がカバーされる。
この「積立ぷらす」の支払い原資である積立金がピンチにある。2018年度は支払いにあてた執行額が266億円と前年の1.5倍に膨らんだ。年度末残高は17年度に比べ4割少ない312億円になった。
今年はサンマだけでなくサケ、スルメイカも昨年より不漁で、漁師さんへの支払いがさらに増える可能性があります。「積立金がピンチ」なのはそのため。セーフティーネットの運用は綱渡りの状態が続きます。
不漁のニュースはよく耳にしますが、あわせて漁業の現状を知ると、一尾400円のサンマを見る目が変わるような気がします。
ニュースの裏側を紹介するコラム「底流」
国の政策や市場の動向などマクロ経済を知っておくと、ニュースの見方が増えますよ。きょうはニュースの裏側や隠れた視点、次の展開をマクロの視点から分析するコラム「底流」から記事をご紹介しました。
(日本経済新聞社デジタル編成ユニット 渡部加奈子)