ファンケルの_パーソナルワン_を__きょうのPR_と_マーケティングトレース__両視点で分析してみる

ファンケルの「パーソナルワン」を #きょうのPR と #マーケティングトレース の両視点で分析してみる

#きょうのPR というハッシュタグは、PR思考を鍛えるトレーニングとして素晴らしいなと思っており、いつかやってみたいと考えていました。

詳細はサワディーさんのnote「#きょうのPR を通じて、僕が学んだコト」にて!

マーケティングに関わるのであれば、PR領域は無視することはできません。

個人的には下記の3つの視点をもった人材になれると、より市場価値も上がると思っています。

❶メッセージ設計
市場や社会を動かすストーリーをどうつくるのか?

❷コミュニケーション設計
つくったストーリーをどのように伝えるのか?

❸ストーリーと経営の接続
ストーリーと経営をどのようにつなげるのか?

戦略をストーリーに落とし込み、多くのステークホルダーに伝えて巻き込んでいく力を鍛えたい!!!

ということで、自分も #きょうのPR を実践してみます!

テーマはファンケルの「パーソナルワン」について。

<製品詳細>
製品名:パーソナルワン
発売日:2020年2月20日(木)
販売チャネル:通信販売
価格:基本栄養検査キット(尿検査):5,500円(税込)
「パーソナルワン」:約4,000円~約40,000円(参考価格)

商品特徴を整理すると下記2つが特徴であることがわかります。

①食習慣や生活習慣の傾向と尿検査から健康状態を分析
②一人ひとりにオーダーメイド生産

プレスリリースの背景にある市場・社会トレンドについて整理していきます。

市場・社会トレンドをキーワードで整理

❶キーワード①『パーソナライゼーション』
・企業側が会員データを蓄積して「パーソナライゼーション」をプロダクトやサービスに組み込む流れが主流になり、サービスのサブスクリプション化が進む

❷キーワード②『機能性表示食品制度』
・2015年4月に「機能性表示食品」制度が発足し、その影響によりサプリメント市場は拡大

ファンケルは機能性表示食品制度の解禁を生かして、「えんきん」という日本初!目の機能性表示食品というヒットを生み出しています。

ぼやけを緩和しはっきり見るチカラを助けるという機能を訴求しています。


❸キーワード③『人生100年時代
・「人生100年時代」と言われる中で、キャリアを長い時間軸で考える人画増加

市場環境を読み解く主要キーワードはこの3つがありそうです。
プレスリリースに時代を象徴するキーワードを入れ込み、「ニュース性」をしっかり持たせていると感じます。

①パーソナライゼーション
②機能性表示食品制度
③人生100年時代

博報堂生活総研の生活定点で調べてみると、サプリメント需要は拡大傾向にはなさそうです。サプリメントは、健康を気にする一定層が使っていると捉えた方が良さそうです。

競合や代替品の存在について

このパーソナルサプリメント市場にはどんなプレイヤーがいるかを見ていきましょう。

FiNCフィンクのようなスタートアップが若年層向けにはパーソナルサプリメントを提供

また、BASE FOODのような完全栄養食はサプリメント市場を代替する動きとなる可能性はあります。

上記のブランドは、若年層向けの商品でありコミュニケーション戦略をとっていることから、ファンケルと直接競合にはならないと考えられます。

ファンケルの競合を設定するとしたら、パーソナルではなく、既存のサプリメント市場に存在するプレイヤーであり、サプリメントを愛用している顧客のスイッチをどのように促すかが論点であると考えられます。

ファンケルの戦略・組織を整理

ファンケルの組織特徴や事業計画について整理してみます。プレスリリースの背景にある戦略がどのようになているかを読み解いていきます。

第 2 期中期経営計画(2018~2020 年度)について

「パーソナルワン」に関係ある事業戦略について整理していきます。

まずはファンケルが目指している世界観の整理から。

「VISION2030」

❶美領域
多様な価値観に合わせブランドの多角化を図るとともに、化粧品の枠を越え、「美しくあるため」のファッションやライフスタイル提案型の事業展開を目指します。

❷健康領域
人生 100 年時代をサポートする、新たな健康事業の展開に取り組み、
世の中で最も使用いただけるサプリメントブランドを目指します。

続いて売上・営業利益を中心に定量数字を整理していきます。

●2020年度計画
売上:1,260 億円
営業利益:126 億円
広告投資:年間 150 億円台の広告投資を継続

認知強化、販売チャネルの育成を広告宣伝費/売上高比率を10%以上の水準で将来投資は積極的に行っていく姿勢であることがわかります。

健康食品事業の製品戦略には下記のような記載があります。

お客様お一人おひとりに必要な栄養素をパーソナルに提供するサプリメントを発売し、独自のマーケットを創造します。 お客様お一人おひとりに必要な栄養素をパーソナルに提供するサプリメントを発売し、独自のマーケットを創造します。

ファンケルにとっては、健康食品事業における製品戦略の1つとして出されているプレスリリースであることがわかります。 

パーソナルワンのマーケティング戦略整理

2019年3月期の決算説明資料から、ファンケル全体(パーソナルワン)とつながる部分のマーケティング戦略を読み解いていきます。

戦略①
問診→提供→継続サポートを一気通貫でサポート

ファンケルのパーソナルサプリメント戦略.001

戦略②
ミドル・ヘビー層を囲い込み継続率・アップセル・クロスセル強化

ファンケルのパーソナルサプリメント戦略.002


戦略の成功要因となりそうなもの

上記の社会トレンド、ファンケルの戦略概要から、パーソナルワンが成功するために必要となりそうなものを考えていきます。

①継続サポートの質を担保→人材育成は超重要

このパーソナルサプリメントはLTVを引き上げる、解約率を下げることが優先順位高い指標だと考えることができます。LTVや解約率は、「サポートを行う人材の質」に大きく左右されると考えられるため、このスタッフ育成は重要になってきそうです。

店舗のサポートを付加価値にした事例としては、メガネスーパーの戦略は参考になりそうです。

②店舗誘導を強化

EC接点からのパーソナルサプリメントへの引き上げからは難易度が高そうなので、店舗誘導→店舗接点からの個別対応数を増やすことが重要になりそうです。

コアユーザーが店舗に集まるきっかけづくりも意識していきたいところです。例えば人生100年時代をテーマにした連載企画を実施など。

人生100年時代をテーマにしたコンテンツを、オンライン⇆オフライン両軸で発信強化していけると良さそうだと考えています。

②海外富裕層を固定顧客に

価格帯を考えると、日本人より中国人を中心とした富裕層が顧客としてフィットしやすいと考えます。ファンケルは海外戦略も中期経営計画も強化方針として掲げているため、海外富裕層を開拓するチャネルは優先順位をあげて考えられると良さそうです。

下記の記事にあるような「医療ツーリズム」×「インバウンド」の流れを掴みにいくイメージです。

人生100年時代の打ち出しや、医療ツーリズムは既存市場なので、自分たち独自の市場をつくり、No.1をとる戦略も考えたいところです。

例えば、下記のような書籍にあるワードは参考になりそうです。

スマート・エイジング
スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣

パーソナルサプリメントという商品の土台となる社会文脈をつくるコンテンツをつくっていきたいところです。


PR×マーケティング戦略の読み解きまとめ

以上、ファンケルの #きょうのPR をやってみました。

プレスリリースを深読みする方法としては、この5ステップで考えてみると理解しやすそうです。

❶プレスリリースを読み込む
❷プレスリリースの背景にある市場・社会トレンドを読み解く
❸マーケティング戦略を5Forcesや3C視点で読み解く
❹IR資料から経営・事業戦略(STPや4P視点)を理解する
❺今後の展開について仮説を出してみる

プレスリリースの背後にある経営・マーケティング戦略を理解して、自分だったらどうのようにつなげるか?という視点で分析できると、良い思考の筋トレになると思います!

経営とPRをつなぎ、実行まで落とし込む全体像は、きむかずさんのnoteがわかりやすいので、ぜひ読んで頂きたいです!


※イベント告知

1月27日にマーケティングトレースとのコラボイベントも開催します!

こちらのイベントで、よりPRとマーケティングをつなぐ思考を深く学ぶことができればと思います!

ミクシィ様にご協賛して頂いております!

#きょうのPR については、こちらのサワディーさんのnoteを参考にして頂ければと思います!

最後まで読んで頂きありがとうございました^ ^