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「学生時代に力を入れたこと」をアピールさせておいて、入社後に社員のSNSを禁止するのはなんか違うと思う。

社員個人のSNS利用をよく思わない会社は多い。
大企業になるほどその傾向は強まる。

SNSにはメリットとデメリットがあるが、大企業にとってはデメリットの方が大きいからだ。

でも本当にそうだろうか?
今日はそんな話。

■個人に依存してはいけない大企業

「会社の名前で仕事を取れる」のが大企業だ。
「○○さんに頼もう」ではなく「○○会社に頼もう」と言われるのが大企業だ。

それが「組織」としての正しい姿だし、組織が「個人」に依存してはいけない。

それ故に社員個人のSNS利用が会社の営業ツールや広報ツールになるメリットは理解しながらも、大企業はそのメリットを手放す。

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■炎上リスクは社員の数に比例する

大企業が社員のSNS利用を認めない傾向には、もうひとつ理由がある。
SNSのデメリット、言わずもがな炎上リスクだ。

大企業はその社員数も多く、たった1人の社員が個人SNSで炎上したとしても、その炎は会社全体に広がる。

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抱える社員が多ければ多いほど、1人の個人が迷惑をかける社員数も多くなる。

それ故に会社は「社員としての個人SNS利用を禁ずる」として炎上に対する防火扉を設置する。

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■リスクは背負わないが、メリットはもらう

これまでの大企業の理屈はとてもよくわかる。理解できる。

しかしその理屈が少しずつ通じなくなってきている現実もある。
例えば副業禁止とSNS禁止の関係だ。

例えば会社名を出さずに個人としてSNSを利用していたAさんにSNSを通じて仕事の依頼がきたとする。しかしAさんは会社から副業を禁止されているため、「個人のAさん」として仕事を引き受けることができない。

それ故にAさんはその仕事を断るか「組織のAさん」として仕事を受け、利益を会社に収めることになる。

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どうだろう?

先ほどまで防火扉でリスクを回避した会社がメリットだけ享受しているのは少しズルい気がしてこないだろうか?

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■ガクチカで評価したのはどっち?

また、就職活動時のことを思い出してほしい。

企業の多くは学生に対して「学生時代にがんばったこと(通称ガクチカ)」を訪ねる。
つまり「個人の私」を評価し、その経験や思考が組織に活かせると感じたから採用したはずだ。

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しかし入社した途端、多くの大企業が評価した「個人の私」の芽を摘んでしまう



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なんだか矛盾している気がしてきた。

■そして「組織の私」しかいなくなる

「個人の私」を評価して
「個人の私」を捨てさせて
「組織の私」だけにさせる。

SNS禁止はそんな日本の大企業の傾向の一端なのかもしれない。

しかし先ほどのように「個人の私」が世の中に見つけられやすくなった今、SNSを通じて「個人の私」で食べていけると判断した人は(副業も禁止であれば)どんどん組織から離れていくだろう。

組織が採用の場で「個人の私」で人物評価をしたとすれば、その評価順に組織を去っていくと考えるのが妥当だ。

そして結果的に組織に残るのは「組織の私」しかなくなってしまった社員。それは組織にとって忠誠心の高い社員とも捉えられるが、「個人の私」を失ってしまった社員とも捉えられる。

考えてみてほしい。

そんな人物だけで構成された組織は魅力的だろうか。

今、日本の大企業が声高に叫ぶイノベーションは、個を失い「組織の私」だけで構成された社員から生まれるだろうか。

たかが「SNSの禁止」なんて小さな話かもしれない。
しかしその根底にある考え方はすべてつながっているはずだ。

そして何より考えてほしいのは「組織の私」しかいなくなってしまった「私」は幸せだろうかということだ。

僕はプライベートの場面でも「○○会社の××です」と言ってしまったり、退職後にアイデンティティーを失ってしまうような人が幸せとは思えない。

たかがSNSかもしれないが、これをきっかけに、組織も個人もお互いに依存したり依存させたりしなくてすむ在り方を考えてみる必要がある。

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小島 雄一郎 /リレーションシップアナーキー

モヤモヤしたらパワーポイントで解決する人。本業は若者研究や採用クリエーティブ、ビジネスデザインなど。著書は「広告のやりかたで就活をやってみた」。プライベートは関係性に名前をつけないリレーションシップアナーキー、ポリアモリーやらを実践中。お問い合わせはツイッターのDMからどうぞ。

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