新たな出会いを重ね自分の中に多様性を生む。
長島です。第二稿目の今回は、倉成さんのお題に反応してみました。
肩書を複数持つ。私ならそれは新たな組織に属し、新たな出会いの機会を持つことかなと考える。更に新たな出会いの中で、自分の培ってきた力で、何らかの貢献ができる可能性も広がる。自分では当たり前と思っていたことを欲してくれる人がいること、それに対してありがとうと言ってくれる人がいることに気づく。1つの組織で、1つの仕事をじっくりと丁寧に進めることで得られる達成感とは一味違った新鮮な刺激が得られると思う。
おそらく、複数の肩書への興味や関心を持っている人は多いと思う。でも「必要があるか」と問われたら、「絶対に必要」と答える人は少数派だと感じる。一方で、複数の肩書に「Fun to have」と感じる人はかなりの割合だろう。人はどこかで今までとは異なるものに触れたいという願望がある。「きづき」や「驚き」といった新鮮な感覚を持ちたいという生き物だと思う。では、そうした日常を彩っていくには、どんなことから始めたら良いのだろうか。
まず大事なことは、新たな出会いを増やすことだ。やり方はいくつもある。例えば、「シェアハウスに身を置いてみる」だ。
最近のシェアハウスには交流を生み出す様々な仕掛けが盛り込まれている。約1000冊の本が並ぶ共同リビングがあるところや、映画館並の装備が自慢のシアタールームがあるところ。運動部屋、美容部屋、カラオケ部屋を持つシェアハウスなど様々だ。同じ趣味を持つ人が日々集まってくる。ただ、趣味は同じでもそれぞの人のバックグランドは多様だ。趣味でコミュニケーションをとりつつも、この場を上手く使えば、日常という密度の濃い時間の中で、知らず知らずのうちに互いの持つ能力に触れ、多様性が育める。そしてその中から小さな共創の取り組みが始まるケースも少なくない。まずは始めてみることだ。
「何かしらのルーティンを決めてやり続けること」も新たな出会いや仕事につながる。小林さんは、大手企業を退職後、旅好き、猫好きが乗じて、旅をして猫の写真を撮ることを続けていた。
「猫好きは世界中にいて、人がいるところに猫はいる。猫を通じてその国々の人々とコミュニケーションが取れる」と、猫探しを通じて、街の方々が持つ魅力や多様な価値観に触れ続けた。今では美しい街並みに溶け込んでいる猫たちを、写真と文章でつづるフォトブックが人気の旅行作家だ。そして、最近、瀬戸内海の離島で古民家再生のゲストハウスプロジェクトも立ち上げた。「旅と猫と島とカメラ。そこで出会う人と仕事して、ものづくりをして。ずーーっと、好きなものからブレないで生きていたら、流されるように世界が広がっている感覚です」と小林さんは話す。一本筋の通ったこんなマルチワークを是非目指していきたいと思う。
「現在の肩書を拡張して新たな出会いを模索すること」もできると思う。下の記事は偶然という贈り物を楽しむという文脈の記事だが、その中「Gelinaz(ジェリーナズ)」というフードイベントの話が載っている。
38カ国、148人のシェフが参加したそのイベントでは、参加レストランのレシピをシャッフルした上で振り分け、届いたレシピをそれぞれの店の顧客に提供したという。参加したシェフの1人は「レシピを信じて、そこに、私たちのレストランの哲学を組み合わせて仕上げた」、「仕込みの方法はいつもとはまったく異なったが、多くの学びがあった」と話している。まさにシェフという同じ職業の中での多様性を感じた瞬間だ。そしておそらく新たなレシピのアイディアが生まれたに違いない。
そうだ、週の何日か、自分のいる店と競合することがない別のジャンルのレストランで働いてはどうだろうか。こんなマルチワークの機会を作ればシェフが生み出す「食の楽しみ」はもっと広がるはずだ。これはものづくりなどの大企業にも当てはまることだと思う。例えば、エンジニアを一定期間エクスチェンジしてみる。すると、常識に囚われない斬新なアイディアが湧き、新たな商品やサービスが生み出せるのではないだろうか。
肩書を堅苦しく考える必要はない。肩書を持つことを目的にしても仕方ない。肩書は単なる新たな出会いのための機会と捉えれば良いと思う。もちろん、自分のできることを簡単に伝える方法としては、肩書は便利だ。信用にもつながる。でも、本質は新たな出会いを重ねて、自分の中に多様性を育めるかどうかだ。新たな場所に身を置いてみる、自分の好きなルーティンを続ける、ジャンル違いにトライする。やり方は様々だ。どんな形でもいい、今から行動を起こして、出会いを重ね、未来を切り開いていきたい。