ZOZO、ヤフー傘下入りの衝撃。親子上場問題の再燃か
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。昨日は衝撃のニュースが飛び交いましたね。そうです、ZOZOがヤフー傘下入りを発表し、創業社長である前沢友作氏は退任ということです。
ヤフーはTOB(株式公開買い付け)でZOZOを買収する計画だ。川辺社長は買収の意義を「ネット通販事業の営業利益が1.8倍になる。ヤフーは広告事業の1本柱とみられていたかもしれないが、ネット通販を2本目の柱にできる」と説明した。
ヤフーが自社の電子商取引(EC)モール内に新設する「ペイペイモール」に衣料品通販サイト「ZOZOタウン」が出店する。ZOZOは若者の利用が多いため、年齢層が高いヤフーと「相互送客によりシナジーを発揮できる」(川辺社長)。
ヤフー側のメリットは非常に明快。他のヤフーサービスでも獲得できないような若者の新規ユーザーがやってくる上に、ZOZOの既存の売上・利益がそのまま合算できます。長らく続くAmazon、楽天に次ぐ3番手の位置から抜け出す好機となる可能性もあるでしょう。
一方で会見では、ZOZO側のメリットはあまり語られず、前澤氏本人についての話題が大半を占めました。ZOZOの新社長である沢田氏からは、所信表明以上のことは語られませんでした。
前沢氏の後任としてZOZOの社長となった沢田宏太郎氏は「アパレル業界をこれまで以上に盛り上げられることにわくわくしている」と話した。
沢田氏は経営方針として「ZOZOは創業から21年、企業として、そろそろ大人の入り口に立つことを求められている。今後はトップダウンではなく、社員の力、組織の力を生かす」とも説明した。ただ、「つまらない大人になるつもりはない。やんちゃな大人になりたい」と付け加えた。
一般的に「シナジー」というのは、単体で得られる以上の相乗効果を出すことですので、単なる「合算」では困ります。相互送客を例にとれば、(東京の話ですみませんが)新橋駅前にいる人をいきなり原宿に連れて行ったら、喜び勇んで買い物をするのか?というような話です。まぁ、ヤフーのユーザー数自体が大きいので、数のパワーで有り余るメリットはあるのかもしれません。
また、ZOZOTOWNはそれ自体がブランドが軒を連ねるモールです。新設されるペイペイモールの中に入るということは「モールinモール」ですので、出店ブランドとしてはより目立つ上位のモールに入りたくなるでしょう。これを解決するにはZOZOTOWN自体を解体して出店ブランドを直接ペイペイモールに並べ、ZOZOはプライベートブランドに集中するしかありません。今後このあたりの中長期の戦略も明らかになってくると思いますが、その場合のZOZO側のメリットとはなにか?ということはしっかりと説明する必要があるでしょう。
なぜこの点にフォーカスするかというと、今後もZOZO自体の上場が維持されるからです。
ヤフーの傘下に入った後もZOZOは上場を維持する方針だ。親子上場による利益相反の懸念についてヤフーの川辺社長は「少数株主も含め、全株主のためにいかにZOZOの価値を最大化するかに集中する」と述べた。
10月1日より、ヤフーは持株会社化される予定です。Zホールディングス(上場)配下に、ヤフー事業、金融事業等の子会社がぶらさがります。その中には上場会社も含まれ、ASKUL、そして今回のZOZOと続きます。
ヤフーは25日、10月1日付で持ち株会社制に移行し、社名を「Zホールディングス(HD)」に変更すると発表した。持ち株会社傘下で広告や検索などのインターネット関連事業と、金融事業を別々の会社が担う体制にする。スマートフォン(スマホ)決済を成長の柱に位置付けて投資を続けるなか、分社化で金融事業のスピードを高める。
親子上場の弊害については、最近大きな話題となりました。それを印象づけたのは、他ならぬアスクルの経営をめぐる対立でした。
親子上場の弊害を印象づけたのが、オフィス用品通販大手のアスクルとその約45%の株を持つヤフーの対立だ。ヤフーが消費者向けネット通販サイト「LOHACO(ロハコ)」の事業譲渡を申し入れ、両社の関係が悪化した。
2日のアスクルの株主総会ではヤフーと約11%を持つ第2位株主のプラスが岩田彰一郎社長の再任に反対し、岩田氏は解任された。
アスクルは業績と株価が低迷している。ヤフーが社長在任が20年を超える岩田氏の責任を問うたのは株主の権利として理解できる。
解せないのが、ヤフーが松下電器産業(現パナソニック)元副社長の戸田一雄氏や日本取引所グループ前最高経営責任者(CEO)の斉藤惇氏ら3人の独立社外取締役も同時に解任したことだ。
独立社外取締役は、中立の立場から一般株主の利益を守る役割を負っている。仮にヤフーが自分の方に有利な条件でロハコ事業を取得しようとしても、他の一般株主は対抗手段がなくなってしまう。
上場会社であるZOZOとしての独立性を担保しながら、単体ではなし得なかった成長をすることができるのか。どのようにして新たな付加価値を創出していくつもりなのか。ZOZO新経営体制の手腕が問われるでしょう。
ヤフーにとっても、ZOZOおよび前澤さんにとっても、大きな意思決定であったであろう今回の資本業務提携。ちょっと大人になったZOZOがどのような未来を見せてくれるのか? 今後の展開から目が離せません。
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タイトル画像提供:metamorworks / PIXTA(ピクスタ)
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