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これからのビジネスパーソンに必要なスキルは、「変数力」だと思う。

今月の日経COMEMOのテーマは「 #3年後に必要なスキル 」とのこと。

デジタルの進化で、なくなる仕事も増加。
世界経済フォーラムは、2025年までに事務職や工場労働者など8500万人分の仕事がなくなり、データアナリストなど9700万人分の仕事が新たに生まれる、と予測しているらしい。

これまでビジネスパーソンに求められていたスキルが不要になり、私たちにはスキルの付け直しが求められている。

いわゆるリスキリング(学び直し)だ。

デジタルが進化し続ける中、私たちはどんなスキルを新たに身につけるべきなのか。

そんなことを考えていたら、とある大学生から聞いた「意思決定って、面倒臭いじゃないですか」という発言を思い出した。

今日はそんな話。

■コモディティー化された「どれでもいい商品」たち

大学生の発言の背景には「コモディティー化」という日本企業が抱えている課題がある。

コモディティー化とは「一般化」のこと。マーケティング上では、付加価値がなくなり、他社製品と差別化できなくなった状態のことを指す。当然、企業にとって好ましい状態ではない。

そんなコモディティー化によって引き出されたのが、冒頭の大学生による「意思決定って、面倒臭い」という発言だ。

どういうことか。

例えばコンビニでお茶を買おうと思った時、そこには複数企業の製品が並んでいる。しかしどの企業のお茶も、似たり寄ったりだ。

差別性を感じない製品に対して【どれかに決める】という意思決定をしなければいけない。その脳内労力が無駄だ、という主旨の発言だった。

この感覚は、コモディティー化した商品しか生み出せなかった企業の責任と言えるかもしれない。

(Z世代が怠惰だ、なんて話では決してない)

では、こんな状況が加速した場合、世の中はどう変化するだろう。

ここでも登場するのはデジタルの進化だ。AI(人工知能)が、意思決定を代替すればいい。

例えば、AIを搭載したメガネ型デバイスをつけてコンビニに行けば、意思決定することなく自分に合ったお茶が見つかる。

そんなサービスが当たり前になれば、派手なパッケージを作る必要もないし、店頭のPOPや販売員がレコメンドする必要ない。

こうして、デジタルの進化によってなくなる仕事はまた増えていくだろう。

■一般人が、より一般化する

さて、話を #3年後に必要なスキル に戻す。

先ほど「企業の製品がコモディティー化している」という話をしたが、もし意思決定の代替サービスのようなものが定着した場合、次に起こるのは「人間のコモディティー化」ではないだろうか。

これを「一般人の一般化」と表現したらややこしいが、そういうことでもある。

例えば、先ほどのようにAIが「オススメのお茶」を選ぶ場合、AIは

・世の中のトレンド
・ユーザーのこれまでの行動や思考の特徴

を踏まえて最適化された答えを出すだろう。

その答えは個別最適化されているものの、「一般的には」という範疇を超えないし、その判断基準の多くは「過去の自分」だ。

つまり、このAIの判断に従っている限り、予定調和過去の延長線上の人生が待っている。

それはまさに「人間のコモディティー化」とも言えるだろう。

■変数を選択する能力

#3年後に必要なスキル を考える場合、「コモディティー化されたビジネスパーソン」を企業は求めるか?という観点から考えてみたい。

コモディティー化は「どれを選んでもある程度は大丈夫」というお墨付きでもあるが、「決め手にかける」という側面もある。

この先、ビジネスが個の時代に向かうとしたら、コモディティー化されたビジネスパーソンが求められる傾向は減っていくだろう。

では、そうならないために、私たちは今からどんなスキルを身につければいいのか。

キーワードは「変数力」だ。

変数とは

・未知あるいは不定の数や文字記号
・値が変化するもの。定まっていないもの

とのこと。

ここでは、AIが予測不可能なブラックボックス、と言い換えてもいい。

つまり、先ほどのようなケースでC社のお茶を勧められた場合に、全く選択肢に入っていなかったD社のお茶を選択するという行為のことだ。

この選択をすることによって、AIの予測モデルは大きく変化する。逆に言えば、この選択をしなければ「過去の自分と一般論の延長線上」から脱することはできない。

この力こそ、停滞している日本のビジネスに、必要な能力ではないだろうか。
そんな変数力は、個人にも企業にも非連続な成長をもたらしてくれるかもしれない。

まずは明日、買ったことのないお茶を買うところから、はじめてみたい。

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小島 雄一郎
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