緊張を味方につけるプロのファシリテーション術
Potage代表・コミュニティ・アクセラレーターの河原あずさです。ステージやワークショップ進行のプロとして活動し、数々のファシリテーターの育成も行っています。
さて今日は、プロのファシリテーターが「緊張や人見知り」といかにつきあっているかについて、解説します。
いわば対話のプロとして活動している僕ですが、実は筋金入りの「人見知り」です。初対面の人と目が合わせられないとか、どう接していいのかわからなくなるとかは日常茶飯事です。
そんな人見知りオブ人見知りのぼくが、トークセッションのステージに立つと、どうなるか、容易に想像つくかと思います。緊張感は軽く見積もって倍増しますし、心拍数も上がり「どうしよう」という気持ちもゼロではありません。
しかし、結果として、自分でいうのもなんですが、ステージはうまくいきます。なぜかというと「ステージ上での緊張をうまく自分の味方につけて、不安に負けずに話を進められる」からです。
今日はそんな人見知りオブ人見知りのぼくが、ステージ上でいかに緊張を味方につけ、盛り上がるトーク=対話を生み出しているかについて、ご説明します。参考になったら嬉しいです。そしてご興味わいた方がいらっしゃいましたら、ぼくが講師をしているオンラインスクール「THE MODERATORS AND FACILITATORS」のページをぜひチェックしてみてください!
「人見知りファシリテーター」が語るステージ上の緊張対策
ぼくはオンライン講座「THE MODERATORS AND FACILITATORS」(モデファシと呼んでます)で、ステージ進行=モデレーション+ファシリテーションの技術を教えています。
受講生の中には、自身がステージに登壇する機会があり、その対策として駆け込みで受講される方もいます。みなさん、決まって「あずさん、あと1ヶ月です。緊張します。どうしましょう」とおびえたようにおっしゃられます。
また、そんな受講生からは、ちょっとでもヒントを得たいという一心からか「あずさんは、緊張することないんですか?」という質問をしょっちゅう受けます。その答えは、もちろん「イエス」です。なんといっても、人見知りオブ人見知りですから!ぼくも緊張しますし、ステージに対する不安を全く感じないわけではありません。
でも、人見知りオブ人見知り(だんだんしつこいですね…!)として大事にしていることがあります。緊張している自分を自覚しながら「相手の声と、心のうちの声」に向き合うことです。
そもそも「緊張」や「不安」は一体、どこから来るのでしょうか?この問いに、緊張と不安との客観距離をとる秘訣が実は隠れています。
ぼくなりの答えは「自分自身のうちにある"いい格好をしよう"という気持ち」からくる、ということです。自分のいいところを見せたい、かっこいいところを見せたい、結果を出したい。そんなプレッシャーや「ムラッ気」がステージ上で逆に足枷になってしまうことがよくあり、結果的にプレッシャーに飲まれて「空回り」してしまうのです。
自身のパフォーマンスへの期待値を高く設定しすぎて「期待値に届かなかったらどうしよう…自分が間違ったことを言ったらどうしよう…間違った進め方をしたらどうしよう」という恐怖感を「自分で勝手に」覚えてしまうのは、場慣れしていない進行役あるあるです。
こうした状況を避けるために、ぼくがいつも受講生に伝えていることがあります。
「いい格好をしようとしないでください。そうではなくて「相手といい関係でお話を続けられるようにしよう」と、それだけを心がけてください」
ということです。自分自身の等身大の言葉をつむぎ、シンプルな問いかけをくりかえし、相手の気持ちにとことん寄り添って心を通わせること。それがステージでのコミュニケーションにおいても大事なのです。
ステージ上での心のつながりを築く「ラポール」
ここでお伝えしたい概念があります。「ラポール」です。「ラポール」とは、心の距離を縮め、お互いを理解し、そして共感しあう状態を指します。それは一種の「心のつながり」を言い表す言葉で、このつながりがあるからこそ、相手とのコミュニケーションがより円滑になるのです。私たちが何かを伝えたいとき、または相手を理解しようとするとき、その基盤となるのがラポールなんですね。
もしかすると、「だからどうやってラポールを築けばいいの?」と思われるかもしれません。実は、そんな難しいことではありません。ラポールを築くためには、まず相手の意見や立場を尊重しようとする姿勢が大切です。そして、自分の思いを素直に表現し、相手の感じることを尊重し理解しようとすること。これが、ラポールを築く上での大切な要素となります。
では、ラポールがどのようにステージ上で役立つのでしょうか。例を挙げて考えてみましょう。例えとして適当かはわかりませんが、わかりやすく「お見合いパーティー」に参加する自分をイメージしてみてください。あなたは、その場で「仲良くなりたいな」と思う相手を見つけました。では、相手に対して一体どう接すれば良いのでしょう。どのような行動をとれば、相手との関係を深め、理想的な結果を得られると思いますか?
実はお見合いパーティに独身時代参加して失敗したことのあるぼくの経験から言いますと(苦笑)多くの人が陥る間違いは「自分をよく見せよう」と頑張りすぎてしまうことなのです。
「この人と絶対に仲良くならなくては…!」という強い気持ちから、無理に自分をよく見せて押し出そうとすることで、逆に相手を遠ざけてしまうのです。「あれ、うまくいかない!」と気づくと、なおのこと自分自身を焦らせることになり、話が空回りし、結果としてうまくいかないというわけです。
そういった過去の失敗を経て私が気づいたことは(ああ恥ずかしい…)「相手と仲良くなるためには、まずは自分自身をオープンにし、素直に自分のことを伝えるべきだ」というシンプルな事実です。
これにはコミュニケーション理論でいう「返報性の法則」も関わってきます。返報性の法則とは「自分が自己開示を行えば、相手もまた自己開示を行おうとする」という法則です。つまり「コミュニケーションって合わせ鏡なんですよ」という理論になります。
自己開示とは、自分の気持ちや考えを率直に伝えることですよね。つまり、自分が相手に対して率直に気持ちや考えを伝えると、相手もまた自分のことを率直に語る傾向があるということです。そして、率直な言葉の交換が重なることで、お互いのことを深いレベルで理解し合うことができ、信頼関係を築くことができるのです。それが結果的にステージ上でも、一対一の対話でも、良好なコミュニケーションを生み出すことにつながるのです。
ステージパフォーマンスを上げる「成功循環モデル」
ステージにおいて大事なのは、短い時間で「相手との良好な関係を築く」ことに焦点を当て、自分と相手がお互いに「楽しい!」と思える対話を作り出すことなのです。
人見知りオブ人見知りのぼくは、ステージにおいては「よく見られますように!」という類の期待値は高く設定しすぎず、とにかく「相手が気持ちよく話せる状況を作り出すこと」を目指します。そうすれば、対話があたたまるうちに、自分自身の不安は少なくなり、言葉の交換を通じて、相手との良好な関係を作るための手がかりを探すことができます。
この「良好な関係づくり」こそが、ステージ上で最高のパフォーマンスを発揮するために大事な、唯一無二の要素なのです。
「良好な関係作りがいいパフォーマンスに直結する」という理論も、組織開発の世界ではすでに定着しています。それが「成功循環モデル」です。
「成功循環モデル」は、一言でいうと「関係性の質のよしあしが結果の質を左右しますよ」という考え方です。これはマサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が実証した理論で、組織づくりはもちろん、日々の生活、仕事、さらにはステージ上でのパフォーマンスにおいても重要な意味を持っています。
これをステージパフォーマンスにどう落とし込むと、以下のように説明できます。
まず自分自身と、ステージ上で一緒にいる人々との関係性を良くすることから対話づくりは始まります。大事なのは、相手が心地よく話せる環境を整えることです。その結果、相手の本音がぼつりぼつりと現れだすと、自身の自己開示を重ねることで、「ここだけしか聞けない話」が生まれ、最終的に「いいステージの実現」につながるのです。
しかし、これはただ単に「相手と仲良くする」ことだけを指すわけではありません。それ以上に、お互いに理解し合い、互いに自己開示を行い、心理的安全性を確保することが重要です。これが、成功循環モデルにおける「関係性の質」を高めるための重要なステップとなります。
そして、その関係性の質が高まると、それが結果としてステージ上でのパフォーマンスを向上させるという正のサイクルが生まれます。これが「成功循環モデル」の本質であり、それが私たちのパフォーマンスに深く影響を及ぼすのです。
不安に押しつぶされず、逆にその不安を乗り越えて素晴らしいステージを作り出すためには、この成功循環モデルを理解し、活用することが求められます。自分自身と相手との関係性を高めることで、その結果としてパフォーマンスも上がる。それが、今日お伝えしたい「成功循環モデル」の真髄であり、その理解が私たちの成長に繋がると確信しています。
そんなステージづくり、トーク進行、日ごろのコミュニケーションのいろはを伝えるオンラインスクール「THE MODERATORS AND FACILITATORS」次の期は2023年7月4日開講です。ぜひ下のページからチェックしてみてください!
※編集協力 横田真弓(THE MODERATORS & FACILITATORS受講生)
※この文章は、原文作成にChatGPT(GPT-4)を活用して執筆されています。