知ってますか?日本が世界一離婚の多い国だったことを【コラム05】
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知ってますか?日本が世界一離婚の多い国だったことを【コラム05】

荒川和久/「結婚滅亡」著者

タレントの辺見えみりさんが2回目の離婚を発表したことで、ネット上ではいろいろとバッシングが起きているそうです。中には人間性まで非難する声もあるようで、芸能人は大変だなあと思います。

個人的には、他人の離婚に口出しする気持ちが全く理解できませんが、こうしたバッシングの背景には「離婚はよくない」という意識が多くの日本人の中にあるからでしょう。

http://www.cyzowoman.com/2018/02/post_174754_1.html

厚労省の人口動態調査によれば、最新の2016年の離婚数は21万6798件。離婚数が22万件を下回ったのは、実に1997年以来20年ぶりです。人口千人当たりの離婚率も1.73となり、これもまた1997年以来の低水準でした。

しかし、だからといって日本人が離婚しなくなったわけではありません。そもそも離婚数が減るのは当然で、母数となる婚姻数自体が1972年を頂点としてずっと下がり続けているからです。結婚する人が少なくなれば離婚する人も少なくなります。

人口千対離婚率も結婚する人口が減っているので理屈としては同じことになります。現に、離婚数を婚姻数で割った特殊離婚率でみると、1998年以降ずっと30%以上で推移していて、下がってはいません。

ところで、この人口千対離婚率1.73という数値は、世界の中ではどのあたりに位置するのでしょうか。総務省統計局の「世界の統計2016」によれば、72カ国中40位程度(離婚率判明国のみ対象)と、ほぼ中間に位置しています。1位はロシアの4.5(2012年)、アメリカは2.8(2011年)で11位、韓国が2.3(2013年)で17位となっています。

なるほど。やはり日本人は離婚をしない国なんだな。そう思いますか?

いいえ、違います。むしろ日本は離婚大国でした。

離婚率の長期推移グラフを見てください。

© 荒川和久

明治初期の日本の離婚率は、なんと3.38もありました。これは、現在の1.73の倍近いし、現代のアメリカの数字より上です。資料によれば、江戸時代の離婚率は4.8もあったらしいとのこと。現在離婚率世界一位のロシアの4.5よりもはるかに多かったんです。

つまり、日本は、もともと世界トップクラスの離婚大国だったわけです。

離婚だけではありません。江戸時代の日本は、離婚大国であると同時に、再婚大国でもありました。享保15年(1730年)の史料に「世上に再縁は多く御座候」と記述がありますし、土佐藩には「7回以上離婚することは許さない」という規則が設けられていました。逆に言えば、6回までならいいんです。禁止令があるというのは事実の証明です。わざわざそんな規則を作らなければいけないほど、離婚再婚が頻繁に行われていたということです。「子を産めない妻は離縁されたからだ」というご指摘もあるでしょう。しかし、子がいようがいまいが離婚再婚を繰り返していたのが事実です。

三行半(みくだりはん)というのがありますね。これもみなさん誤解されている方が多いのですが、この三行半は、夫が妻に対して一方的に突き付けるものではありません。離婚というものは、双方の承諾がなければできませんでした。決して、夫だけにその権利があったわけではないのです。

また、三行半は、「離縁状」というだけではなく、「再婚許可証」でもありました。江戸時代でも重婚は罪に問われました。だからこそ、離婚の証拠がないと再婚ができないのです。だから、離婚したいと思った妻から夫に対して「早く三行半を寄こせ」と要請した例も多いんです。

江戸時代の離婚事情については拙著「超ソロ社会」でもいろいろご紹介していますので、ご興味のある方はぜひご一読ください。

そんな離婚再婚大国だった日本ですが、1930年代には離婚率0.6という世界でも稀な「離婚しない国」になりました。

その最大の要因とは、1898年(明治31年)に施行された明治民法です。

明治民法の最大の特徴は、それまで武士や豪農など一部で踏襲されていた「家父長制度」を庶民含め国民全体に組み込んだことにあります。それにより、妻は「家」を存続させるためのひとつの機能としてみなされました。この「家父長制度」が、日本人の家族意識や結婚規範などにもたらした影響は大きかったと思います。

江戸時代まで続いていた庶民のおおらかなで柔軟な結婚観は否定され、貞操観や良妻賢母の女性像を是とするものに塗りかえられていきました。家に妻が閉じ込められることで、妻の経済的自立力も奪われてしまいます。江戸期までほとんどの夫婦は「銘々稼ぎ」といった共働き夫婦でした。さらに言えば夫婦別財であり、夫といえど妻の着物を勝手に売ったりはできなかったんです。

庶民にとって、結婚や離婚は、あくまで個人の選択と裁量で決められたものでした。しかし、明治民法によって結婚や離婚は個人の意思の範疇を超えた扱いにされてしまった。

離婚がよくないという風潮は実はここに起因するものであって、日本人の本質というよりたかが100年程度の歴史しかない法律に縛られていたのです。

日本人は、男女とも結婚生活において、それぞれが個人として自由で自立していた人たちでした。「江戸に回帰しろ」なんてことを言うつもりは毛頭ありませんが、現代はそうした歴史を知らずに、結婚や離婚というものを必要以上に重く考えすぎている人たちが多すぎではないでしょうか?

一度結婚したからといってそれに縛られる必要もないし、離婚したからといって、その人の人間性まで否定される謂れなどないんです。

ところで、離婚が一番多い月はなぜか3月です。30年ほどその傾向は変わりません。最近は熟年離婚も増えています。どうぞご注意ください。

© 荒川和久

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荒川和久/「結婚滅亡」著者

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荒川和久/「結婚滅亡」著者
11/13に新刊「結婚滅亡」が発売です!他著書「ソロエコノミーの襲来」 「超ソロ社会」「結婚しない男たち」等。東洋経済等でコラム執筆したり、テレビ・新聞によく出ます。独身研究家として活動させていただいてます。メディア出演・執筆・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージから。