昨今のAI技術の急速な進化を肌で感じる人も多いのではないでしょうか。特にChatGPTは爆発的な広がりを見せており、サービス提供開始からわずか2ヶ月でユーザー数1億人を突破したとも言われています。
最近のAI技術の急速な進化を肌で感じる中、AI技術を活用することでイベントの運営をより良くできるようになる / なってきているのではないかと考えるようになりました。
そこで今回はChatGPTなど生成AIと会話をしつつ、イベント運営をより良くするためにどのような使い方が考えられるか考察してみました。
ChatGPTとは?
ChatGPTは、OpenAIが開発した自然言語処理技術の一種であり、大量の自然言語のデータを学習し、人間のような自然な文章を生成することができます。OpenAIが提供するAPIを通じて、多数の企業や個人が利用しており、この記事のプラットフォームであるnoteもベータ版のAIアシスタント機能を一部ユーザーに提供開始しています。
日経新聞の記事によると、NVIDIAの創業者ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は1月にアメリカの大学の講演でChatGPTについて「AIにおける、iPhoneモーメントだ」と強調したと言います。iPhoneがスマートフォンとアプリの普及をもたらしたように、自然な文章や画像をつくり出す「生成AI」の社会実装が進むと予想しているのです。そして長年研究されてきた技術を世界中の人が手軽に試せるようになったとも言っています。
このようにChatGPTは社会に大きな変化、影響を及ぼす可能性のあるサービスなのです。
イベント運営にChatGPT/生成AIを活用する切り口
イベントの運営には、企画の検討から、会場の選定(オンラインかオフラインかの選定含め)、イベントページの作成、当日のオペレーション、事後アンケートの内容決めなど実に様々な検討事項があります。当然、当日イベントの参加者とのコミュニケーションをより活性化したり、イベントの進行に関しての準備も多くありますが、本記事では、オペレーション周りを中心に考察を進めたいと思います。
企画のブレインストーミングをする時
イベントの企画を考える際のブレインストーミングにおいて活用できます。例えば、イベントに3名の登壇者を呼んでイベントを開催することが決まっている場合、どのような形式にするかの検討が必要ですが、ChatGPTに「イベントの企画の考え方について登壇者3人で話すイベントを開催する場合のイベントの企画案を7-10個考えてください。」という質問をすると企画案として下記回答が返ってきました。
この回答はあくまで企画案なので、この企画案をヒントにマーケットのニーズや登壇者の得意ジャンルなどによって具体的な企画案を練っていく必要がありますが、様々な切り口を可視化することで、多角的に検討するためのベースの叩きになります。
またChatGPTのOpenAI社のGPT-3を活用したNotion AIで同様の質問をしたところ下記回答が返ってきました。
生成AIを活用し、イベントのテーマを複数リストアップすることで様々な角度でテーマを検討することが可能となりますね。
ちなみにNotion AIはつい先日2月22日に正式リリースされたばかりの生成AIサービスです。
どのような人に登壇してもらうかを検討する時
また、イベントの大枠のテーマが決まっている時に、どのようなタイプの人に登壇を依頼するべきかを考える際にもChatGPTは活用できます。例えば、ChatGPTに「イベントの企画について話すセミナーを開催する時におすすめの登壇者を教えてください」と質問すると下記回答が返ってきました。こちらも下記の回答をベースに具体的な人物を検討していくことが可能になります。
上記の回答を見ていただければ分かると思いますが、実に多様なジャンルの候補をリストアップしています。普段自分たちだけでは思いつかないような切り口もChatGPTとの会話を通じて見つけられるのではないでしょうか。
イベント開催に最適な時期の調査をする時
また、イベントの開催時期に迷った場合にも、質問をしてみると考え方のヒントがもらえるかも知れません。具体的に質問するほど、回答も具体的になる傾向があります。例えば、「イベント主催者をターゲットにしたイベントの企画の考え方についてのセミナーを開催する場合、何曜日の何時頃に開催するのが良いですか?」と質問すると下記回答が返ってきました。
ドンピシャの回答ではありませんでしたが、開催日時の考え方の切り口のヒントにはなりそうですね。
イベント開催する際に準備するToDoリストを作成する時
イベントの概要が固まってきたら、次にイベント運営の具体的なオペレーションの確認が必要になります。オンライン開催の場合とオフライン開催の場合で内容も異なりますし、抜け漏れがあると当日参加者や登壇者にも迷惑をかけ、参加満足度を大いに損ねてしまうリスクもあるので注意が必要です。
「イベント当日の会場の準備のTo-Doリスト」をお願いしたところ下記回答がありました。
このようにベースのToDoリスト作成を聞くことで抜け漏れの発生確率は減らすことが出来ます。ただし、質問の仕方によってリストの内容は変わってきますし、全く抜け漏れが無いわけではないので、あくまで"叩き”を作るという意識を持つことが大事です。
このようにイベント運営に関する様々なポイントで生成AIを活用することが出来ることが見えてきました。まだ他にも多くの活用方法がありますが、本記事ではここまでとしたいと思います。
ちなみに「コロナ禍における100人参加予定のトークイベントの当日のスタッフの準備リスト」という更に条件を明確にした質問をしたところ、受付スタッフ、設営スタッフ、運営スタッフ、登壇スタッフという各セクションごとの複数のアクション項目が回答として返ってきました。
ChatGPT/生成AIを活用する際の注意点
ChatGPTなどの自然言語処理技術を活用したサービスは、人間の言葉のニュアンスや文脈を理解することができない場合があります。また、同様の内容であっても質問の仕方のちょっとした違いによって回答が異なるケースがあり、生成AIの回答を鵜呑みにせずに人がしっかりと確認する必要があります。イベント運営者がChatGPTなどの生成AIに依存しすぎることで、参加者のニーズや要望を見落とす可能性がある点も注意が必要です。
また質問が曖昧であったり一般論的なものだとざっくりとした回答が返ってきます。質問をする際は細かい条件、設定などを記載し質問した方がより求めているものに近い回答が得られやすくなります。
まとめ
本記事では、イベント主催者がChatGPTなどの生成AIサービスを活用する方法について考察しました。生成AIサービスを活用することで、イベントのテーマ決めや登壇者候補の切り口、当日のToDoリスト作成など、イベントを運営する上で必要な様々なアクションを効率化することが出来ます。しかし、生成AIからの回答は万能ではありません。ブレインストーミングをする際の土台づくりや、ToDoリストのベースを作成するなど、一番時間がかかる「最初の一歩」を強力にサポートしてくれるサービスであることを認識し、依存しすぎるのではなくうまく活用することが重要です。
そしてこうした人とAIの協働が、より良いイベント体験を生み出していくことに繋がればと願います。
今回は数多くのアクション項目があるイベント運営の中でも、テーマ決め、登壇者決め、イベント日時の検討、当日のToDoリスト作成という限定された内容についての考察しました。私もまだまだ生成AIの活用に関して入り口に立ったばかりなので、少しでもさらに多くの素敵なイベントが生まれていくために、今後どのように生成AIを活用するのが良いのかこれからも研究を進めたいと思います。