越境したら新しい自分に出会えるはず!
「実をいうと、私は人見知りがひどくて初対面の人と話すのがとても苦手なんです」
私がそう伝えると、大抵の人が驚いた様子で、「えー信じられない」といった反応をされます。大勢の前で講演したり、セミナーなどで話したりしているのに人見知りってことはないでしょう・・と笑う方も中にはいらっしゃいます。
ですが、これは事実なのです。
子供の頃は人見知りに加えて人前でうまく話せないため、先生にあてられないよう、できる限り目立たないようにしていました。学生時代もそうでした。そんな私が大きく成長し、弱点を改善する転機がいくつかありました。
・新入社員の頃に米国へ転勤した
・20代後半に英国に1年滞在した
・40代で社会人大学院に入学した
・4年前にサラリーマンを辞めて起業した
それぞれ理由は異なりますが、一つ共通していることがあります。それは、自分という人間が踊り場を迎えたなと感じた瞬間に「慣れ親しんだ環境から離れて新しい世界に飛び込んでみた」ことです。
同じ環境で、気心が知れた仲間と長く一緒にいると、深く考えなくてもある程度は物事を進められたり、卒なくこなすことができるようになります。そんなとき、次のような疑問が浮かんできます。
・「わかったつもり」ではいるが本当は理解していないのではないか
・自分の能力や知識はすでに陳腐化しているのではないか
・自分の伸びしろや可能性が狭まってきたのではないのだろうか
・心から今の状態を楽しんでいるだろうか
それらの問いに対して明確な答えが出せなくなると、慣れ親しんだ環境の外に一歩踏み出し新しい学びを試みる。これを積み重ねることで自身が成長し、結果としてキャリアが開けてきたと考えています。
これは世にいう「越境学習」(ビジネスパーソンが所属する組織の枠を越え学ぶこと。知の探索によるイノベーションや、自己の価値観や想いを再確認する内省を通して成長すること)ですね。
さて、ここまで読んで来られた方は、なぜ越境学習と人見知りが関係あるのかしらと思われるかもしれません。
人見知りの私にとって、知らない人ばかりの新しい場所で活動する、学ぶということはとてつもなく心理的なハードルが高い挑戦。とても不得意なことなのです。
けれども、不安や不得手をあえて獲得していくことこそ、自分を成長させる学びではないかと思うのです。
そして不思議なことに、越境の体験を繰り返していく中で、自分が苦手だと思っていた「知らない人と知り合う、話をする」ことが以前ほど難しいことではなくなり、ためらいが少なくなってきたのです。学びの副次効果とも言えます。
新しいスキルを獲得するリスキリング、キャリア形成のための学び直し・・大学院やビジネススクールに通う、本を読む、人に会いに行くなど学びの目的や手段は人それぞれ。
東京大学の柳川先生がおっしゃるように「リスキリング」を行う前に、
自分の強みや弱みを明らかにし、自身の能力をどう高めていくのか。どのようなキャリアだと幸せに繋がるのか考えてみる。
何より大切なのは、普段から「考える癖」を身に付けること、自分を内省する習慣を持つこと。この自分と向き合う姿勢が良質な学びにつながるのではないかと考えています。
外資系企業で転職しながらキャリアを重ねてきましたが、キャリア形成において明確な目標を立てたことは一度もありません。
自分の能力や可能性を高めることにリソースを投入し、いろんな方との出会いに感謝し、与えられた機会に全力で挑戦する。それを繰り返しながら気づいたら現在のキャリアに繋がりました。
リスキリングや学び直しとは新しいスキルを習得することだけのようにとらえられがちです。けれど、自分の可能性を広げ、より多くの選択肢をプレゼントしてくれる。「自分という資本を最大限に活かす」ことができるようになることではないでしょうか。
そういう視点で「学び」をとらえたら、少しワクワクしますよね。
これまでとは違う自分発見する学びの旅を始めてみませんか?