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海外販路:「マーケットプレイス」の闇とチャンス=初音ミクの場合・ドイツ編

ドイツの大手スーパーが初音ミクのポスターを販売し始めたようです。この大手スーパーはドイツで680店舗を展開するスーパーマーケットチェーン「Kaufland(カウフランド)」。そのオンラインショップで販売が確認されました。

実は正確にいうと、このオンラインショップはいわゆる「マーケットプレイス」と呼ばれるECモールで販売者は外部の出店企業も含みます。つまり、必ずしも大手スーパーが初音ミクのグッズ販売に乗り出したというわけではないのです。(残念!)

今回はこのドイツで販売されている初音ミクのポスターを事例として「マーケットプレイス」の闇とチャンスについて考えてみます。

ドイツの「マーケットプレイス」で販売される初音ミクのグッズ

例えばこういったポスターです。(画像は該当ページのスクリーンショット)

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同じページには類似商品として他の初音ミクのポスターがサジェスト表示されています。検索してみると、フィギュアなど他のグッズも販売されています。しかも、初音ミクに限らず広くアニメのグッズが多数見かけられます。

注意深くページを見るとたしかに販売業者の情報が明示されており、カウフランドではありません。

「マーケットプレイス」と呼ばれるようなECモールに関しては、運営業者(この場合はカウフランド)と販売業者が異なる場合がありトラブルの原因にもなっているようです。このあたりの日本と欧州の事例については次の記事が参考になります。

海外「マーケットプレイス」の闇

様々な販売業者が商品を出店できる「マーケットプレイス」だと気になるのは商品の品質です。ポスターやフィギュアの場合は正規のキャラクターライセンスに基づいているかという点です。上述のポスターについても調べてみました。販売業者と表記されている企業は学習・アートポスターを販売する一般的なドイツの企業でした。オンラインの情報を見る限り非正規の海賊版かどうかは分かりませんでした。

次にこちらを見てください。アニメ『僕のヒーローアカデミア』のフィギュアです。

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価格が低すぎるので海賊版を疑う人も多いのではないでしょうか。しかし、現物を見ない限りはこのオンラインの情報だけでは判断は難しいです。

ドイツで正規品のアニメフィギュアを販売する専門店「Figuya」に聞いてました。

すると、この価格だと海賊版だと断定してもよい。加えてドイツのこの手の「マーケットプレイス」はチェックが緩めで海賊版の出品を頻繁にみかけるそうです。

海外「マーケットプレイス」のチャンス

例えば自社の商品を海外販売する際にこういったECモールの活用は避けるべきなのでしょうか?筆者の答えはナイン(ドイツ語の「ノー」)です。簡潔にまとめてみます。

1)海賊版の流通はそこにニーズがあるからです。どんな作品のどんな商品に人気があるのかという、その国における貴重な市場情報となります。

2)現地の販売業者とコラボしてみるのはどうでしょう。現地サイトへの出品ノウハウを有する現地業者をむしろ味方につければ、巨大ECモールへの販路を確保できます。ヒット商品になれば、カウフランドの実店舗でも扱おうという展開もあるかもしれません。(このあたりの仕組みは今回は詳しく調べていません)

3)さらに踏み込んでいうと、今回取り上げた初音ミクのポスターを販売する業者は自社でライセンスを買い付けてポスターを製作・販売している企業のようです。例えば日本から積極的にキャラクターライセンスの購入を提案してみてはどうでしょう。

今回は以上です。アニメや初音ミクのキャラクタービジネスに関わる方やそうでない方にも広く参考になれば幸いです。
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協力:Figuya

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